佐々木はる菜集英社「LEEweb」のコラム連載、時事通信社での特集記事など、海外渡航後も女性目線・ママ目線に強いライターとして国内外のトレンドや社会的な取り組みなどを幅広く執筆中。出産離職や海外転勤など自身の経験から「女性の生き方」についての発信がライフワークで著書にkindle「今こそ！フリーランスママ入門」。ブラジル生活8か月を経て家族でアルゼンチンへ。東京出身、小学生兄妹の母。Instagram／<a href="https://www.instagram.com/halna212/?hl=ja" target="_blank" rel="noopener noreferrer">halna212</a> note／<a href="https://note.com/miraiwotsumugu/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://note.com/miraiwotsumugu</a> HP／<a href="https://miraiwotsumugu.com/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://miraiwotsumugu.com</a>

年末年始の過ごし方は日本各地で違います。 お正月のお雑煮ひとつとっても、白味噌、赤味噌、しょうゆ味とさまざまで、お餅も丸や四角、焼いたり、焼かなかったり。 これが海外生活となると・・・日々発見や驚きの連続。日本で普通だったことも国によっては失礼にあたったり、その逆も。 1月のテーマは「海外生活カルチャーショック」特集。 各国で暮らすファミリーレポーターの皆さんから、いろいろな発見や気づきを教えてもらいます。

<h2>南米の年末年始は真夏！日本人としては不思議な感覚です</h2>現在住むアルゼンチンの年越しは日本とは正反対で真夏の時期。クリスマスの盛り上がりに比べるとあっさりしており、夫の会社は1月2日が仕事始めで街もすっかり平常運転です。 南米での年越しは2回目ですが、季節的にも雰囲気的にも、年末年始を過ごしたという感じがしません… &nbsp;

年明け最初のテーマは「海外生活のカルチャーショック」ですが、お正月の過ごし方ひとつとっても日本とは全く違う南米。昨年住んでいたブラジルも、ここアルゼンチンも、引っ越した当初はとにかくびっくりしてばかりでした。そんな違いや面白さをダイレクトに感じられる身近なシーンのひとつが、日々のお買いもの。ブラジル・アルゼンチン両国で経験した、私たちの驚きと発見をお伝えしたいと思います！ &nbsp;<h2>どどん！すべてが大迫力のブラジルスーパーマーケット</h2>

ブラジルで最初に度肝を抜かれたのが、スーパーもカートも巨大なこと。 山積みの野菜や果物、天井まで積みあがった商品に圧倒されました。

週末になると街のさまざまな場所で「フェイラ」と呼ばれる朝市が開かれます。 新鮮な野菜・果物はもちろん、屋外ですが肉や魚をその場でさばく光景にもびっくり。 食べ物から雑貨まで、生活に必要なものはたいてい見つけることができます。

卸売をしている巨大な市場に遊びに行き、活気溢れる場内を数時間かけて回ったことも忘れられない想い出です。

<h2>「牛乳と卵が常温」の衝撃</h2>牛乳と卵といえば、私にとっては買いものから帰ったらまず冷蔵庫へ入れる代表格ですが、ブラジルでは多くが常温で売られています。 「私が常識だと思っていることが当たり前ではないんだなぁ」としみじみするほど、衝撃を受けました。

アルゼンチンでは常温だけではなく冷蔵販売されている牛乳も多く見かけますが、パックではなく袋入り。専用ケースが必需品です。

<h2>レジの順番待ち中に、会計前の商品を食べちゃう！</h2>

南米のレジはとにかくゆっくり。 さらには長蛇の列になっていても、先頭のお客さんとレジスタッフが世間話に花を咲かせている光景も珍しくはなく、それを見てほかの客が怒ることもありません。また我が子たちと顔を見合わせ「あれってアリなの？！」とびっくりしたこと。 それは並びながら会計前の商品を食べている人を見かけることと、「やっぱり買うのやめた」とレジ付近に置きっぱなしになっているたくさんの商品！そして、それらを回収する係の人がいることにも驚きました。 &nbsp;<h2>昔の日本みたい！小さな商店がにぎわうブエノスアイレスの街並み</h2>

「ワンブロックにひとつ以上カフェがある」といわれるアルゼンチン・ブエノスアイレスですが、ほかにも八百屋・肉屋・魚屋など小さな商店が多くあります。 特にお肉は牛肉屋・豚肉屋・鶏肉屋と種類ごとに店が分かれていたり、ハムやチーズ専門店がたくさんあったりするのも特徴的。

軽食・コーヒーなどを売っているお店、「KIOSCO」と呼ばれるコンビニとよろず屋の中間のような雑貨屋（写真左上）、雑誌や花を売るスタンド、露店もたくさんあります。 ほかにも、日本では減ってしまった小さな本屋、文房具店、薬局、手芸屋や布屋、雑貨屋などもいたるところで見かけます。またアルゼンチン人はとても話し好きで、カフェはもちろん商店の店先、公園や道端などあちらこちらで老若男女問わず会話を楽しむ姿が目立ちます。

私が住んでいた東京では、街なかで人々がゆっくりしゃべる光景はあまり見かけなくなっていましたが、いまや死語となったであろう「井戸端会議」という言葉を久々に思い出しました。街並みはヨーロッパのような雰囲気で全く日本と異なるのですが、なんだか私が子どものころに見ていたにぎやかな商店街のようで懐かしさを感じます。

<h2>南米での発見「おしゃべり」と「まぁ、いっか」の力</h2>

現地の友人曰く、「アルゼンチン人の良い点は、誰かの力になってあげたいという思いが強いところ。少し時間ができると連絡を取り合い、困っていたら無理矢理にでも予定をあけ話を聞こうとする」そう。そしていまは政治も経済も本当に混乱しているため、「大変なことも多いからこそ、家族や友だちと集まり語り合う時間が欠かせない」という言葉が心に残っています。日本と比べると大変に思えることも多い暮らしの中で、ブラジルもアルゼンチンも街なかの人々には笑顔が多く見られます。その一因は、もしかしたら何かにつけて集まり「おしゃべり」するという習慣にあるのかもしれません。

びっくりするような出来事が日常的に起こり、ほとんどのことがスムーズに進まない南米に住むようになってから、自分ではどうしようもないことに腹を立てたり心配しても状況が良くなるわけではないと実感し、「まぁ、いっか」と笑って流せることが増えました。そしてそれは日常の些細なことだけでなく、実は自分や家族の人生に関わるような大きなできごとにもあてはまるのではないか、と思うようになりました。「夫の海外駐在同行」という経験はとても貴重で感謝していますが、反面、特殊な環境や先が見えないことからいろいろと不安に駆られるときもあります。 でも結局は、いまの自分にできることを精一杯やるしかなく、あとは起こるできごとに身を任せ、その都度ベストを尽くしていくしかない。 そんな風に考えるようになったことは、私にとっては良い変化。彼らの明るく温かな国民性を通して、これからの人生を前向きに過ごすヒントをもらったと感じています。

最近では、かつて驚いた「非日常」が日常になってきています。 これからも新鮮な視点を忘れず、地球の反対側に住んでいるからこそのおもしろいエピソードや気づきを発信していきたいと思っています。本年もどうぞよろしくお願いいたします！

2024年1月のテーマ「海外生活カルチャーショック」

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