佐々木はる菜集英社「LEEweb」のコラム連載、時事通信社での特集記事など、海外渡航後も女性目線・ママ目線に強いライターとして国内外のトレンドや社会的な取り組みなどを幅広く執筆中。出産離職や海外転勤など自身の経験から「女性の生き方」についての発信がライフワークで著書にkindle「今こそ！フリーランスママ入門」。ブラジル生活8か月を経て家族でアルゼンチンへ。東京出身、小学生兄妹の母。Instagram／<a href="https://www.instagram.com/halna212/?hl=ja" target="_blank" rel="noopener noreferrer">halna212</a> note／<a href="https://note.com/miraiwotsumugu/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://note.com/miraiwotsumugu</a> HP／<a href="https://miraiwotsumugu.com/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://miraiwotsumugu.com</a>

2024年4月のテーマは「妻でもママでもない私が、ごきげんになれる時間」。子どもの成長は嬉しいし、家族で過ごす時間は幸せですよね。 けれども家事、育児、仕事、その他もろもろ、お母さんはとにかく忙しい！ それは世界中どこでも同じ。だからこそ、自分だけの時間を大切にしたい。 今回は、自分がごきげんになれる時間をどう過ごしているのか、聞いてみました。

ブエノスアイレスに住むようになって始めた「アルゼンチンタンゴ」。 タンゴと聞くと華やかで情熱的なイメージを持つ方が多いと思うのですが、意外なことに、週1回のレッスンは私にとって癒しの時間となっています。<h2> タンゴは、100歳になっても踊り続けられるダンス</h2>タンゴといえば、露出度高めの衣装に身を包んだセクシーな女性とイケメンの男性が激しく踊る、色っぽい雰囲気のダンス。 何度かタンゴショーを観に行っていますが、まさにそのイメージ通り！初めて観た9歳の娘が、ダンサー同士のあまりの密着度に衝撃を受け「あの2人は結婚してるんだよね？」と何度も確認していたことも、想い出に残っています （笑）

でもアルゼンチン駐在が決まった際に読んだ1冊の本をきっかけに、それらはあくまでもステージ向けの「ショーダンス」だと知りました。本来のアルゼンチンタンゴは、「ミロンガ」というタンゴのダンスパーティーが開かれる場所に集まる人々が日常的に楽しむ「サロンタンゴ」と呼ばれるもの。 決まった振付があるわけではなく、男性のリードを女性が受けながら即興でつくっていく自由で奥深いダンスで、実は100歳になっても踊る人がいるほど長く続けられるものだと知り、興味を持ちました。現在は、その本を書いた先生のタンゴクラスに通っています。 &nbsp;<h2>人生初のピンヒール！憧れブランドの靴を購入</h2>

タンゴシューズを買いに行ったことも、忘れられない「私の時間」の想い出です。 訪れたのはcomme il faut（コムイルフォー）という、タンゴダンサーの女性2人が立ち上げたアルゼンチンのタンゴシューズブランドのお店。高いヒールのおしゃれなデザインにも関わらず、踊りやすく、歩きやすいためタンゴ用に留まらず日本でも人気を集めています。大きな鏡のある部屋で、目の前にずらっとピンヒールを並べてもらって靴を選んだひと時は、なんだか映画の世界のようでした。

<h2>タンゴで大切なのは「歩くこと」「相手の想いを感じ取ること」</h2>先生がレッスン中によく言うのが「タンゴの基本は歩くこと」という言葉。 しかし、もともとヒールを履かない私が9cmピンヒールで歩くことは想像以上に難しく、せっかく購入した素敵な靴に申し訳ないくらい、ヨロヨロしています。先日は裸足のまま「足全体で地面をつかむように、体重移動を意識しながらゆっくり歩く」練習をしたのですが、それでも体がぐらつくことに驚きました。 バランスの取り方や筋肉不足など課題はたくさんあると思いますが、「綺麗に歩く」ことって奥が深いと毎回痛感しています。

またタンゴはミロンガで初めて会った人と呼吸を合わせて踊るもので、相手の想いを感じ取ることが大切です。初心者の私は、先生と向き合って両腕を取り合い、男性役は後ろへ、女性役は前に歩くという練習をしています。 女性役の人は、リードする男性役の意識や挙動を感じながら、どちらの足をどれぐらいの歩幅で出すかを感じ取って動く必要があります。<h2> タンゴってマインドフルネス？！</h2>先生のお話で心に残っているのが「自分とおしゃべりしながら、どんな体の使い方をしているか感じて」「相手の思いを感じながら、自分の足を出して地面を踏み締めて移動する、その過程も楽しんで」といった言葉です。今までの人生で考えたこともない内容で、印象的でした。私はいつも何かしたり考えたりとぼーっとできないタイプで、好奇心旺盛ともいえますが、気づくと非常に疲れを溜めてしまっている時があります。 でもそうやって自分の体の動きや相手に集中している時間は、ただ休むよりも頭が空っぽになり、体だけでなく心のリフレッシュにもなっていると感じます。最近、先生は「マインドフルネス」についての資格も持っていると伺いました。私は書籍を何冊か読んだ程度の知識しかありませんが、マインドフルネスとは「今現在に集中すること」だと捉えています。「焦らなくていい。ゆっくり、自分の体と心に意識を向ける。そして感じることが大切」そういったタンゴレッスン中にハッとさせられる言葉や考えは、マインドフルネスの考え方に通じるのかもしれません。<h2> 相手と至近距離でのダンス、日本人はドキドキ…</h2>

南米は、例えばそこまで親しくなくても、挨拶時に男女問わず頬と頬をくっつけたりハグしたりと日常生活の中でも他人とふれあう機会が多い文化です。 タンゴは男女が抱き合って踊りますが、そのスタイルを指す「アブラッソ」はスペイン語で「抱擁」という意味。私のクラスは先生も他の生徒さんも女性ばかり、しかも腕を取り合うレベルで抱擁まではしていないのに、つい緊張してしまいます。 先生曰く「日本人はまずこの距離感に慣れることが第一歩」なのだそう。そんな私ですが、「相手と共に歩くこと」を大切にするというタンゴの考え方は、とても魅力的だと感じます。練習では自分の心身に目を向け、実際に踊る際はパートナーと心・体両方を使ってコミュニケーションを取り、パートナーの想いや動きを感じながら「共に歩く」ことができれば、100歳になっても長く続けることができる「タンゴ」。まだ歩くこともままならない私が言うのは偉そうですが、なんだか今の世の中に求められているダンスのような気がしてなりません。ブエノスアイレスにいるうちに「ミロンガ」に行ってみたい！というのが、現在の私のちょっとした夢です。

2024年4月のテーマ「妻でもママでもない私が、ごきげんになれる時間」

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