佐々木はる菜集英社「LEEweb」のコラム連載、時事通信社での特集記事など、海外渡航後も女性目線・ママ目線に強いライターとして国内外のトレンドや社会的な取り組みなどを幅広く執筆中。出産離職や海外転勤など自身の経験から「女性の生き方」についての発信がライフワークで著書にkindle「今こそ！フリーランスママ入門」。ブラジル生活8か月を経て家族でアルゼンチンへ。東京出身、小学生兄妹の母。Instagram／<a href="https://www.instagram.com/halna212/?hl=ja" target="_blank" rel="noopener noreferrer">halna212</a> note／<a href="https://note.com/miraiwotsumugu/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://note.com/miraiwotsumugu</a> HP／<a href="https://miraiwotsumugu.com/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://miraiwotsumugu.com</a>

2024年5月のテーマは「海外の防災・防犯事情を調査してみた」。地震大国日本では、元旦の能登半島地震に続いて各地で地震が多発しており、防災への関心が高まっています。 もしものとき、どうするか、親子で防災・防犯について相談しておきたいですね。海外の防災事情はどうなんでしょうか。 火山が多い国、自然より防犯が重要な国。各国事情によってさまざまですが、多様な視点は日本でも参考になることが多いです。 令和6年能登半島地震において、犠牲となられた方々のご冥福を心からお祈りするとともに、被災されたすべての方々にお見舞いを申し上げます。被災地域の皆様の安全と、1日も早い復興をお祈りいたします。

<h2>『防災』より、とにかく『防犯』な南米</h2>ブラジル・アルゼンチンは共に地震が少ない国で、個人的には防災意識の高さはあまり感じません。大雨による道路冠水などは頻繁にあったため、むしろもうちょっと何とかすれば良いのに… というのが正直な感想です。一方で印象的なのが、防犯意識の高さ。 特にブラジルは、外務省の海外安全ホームページにも以下のように書かれており、渡航前は戦々恐々としていました。

「世界的に見てもブラジルの犯罪発生率は非常に高く、日本人も被害に遭っています。また、多くの犯罪には拳銃などの銃器が使用されており、抵抗すれば殺害される可能性も非常に高くなるので、注意する必要があります。凶悪犯罪は、大都市だけでなく、地方都市や日系団体など所在地及び日本人居住区においても発生しています。」 <a href="https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pchazardspecificinfo_2023T094.html#ad-image-0" target="_blank" rel="noopener noreferrer">外務省海外安全ホームページ「ブラジルの危険情報」より引用</a>

そんなわけで今回は『防犯』について書かせていただこうと思います！ &nbsp;<h2>学校の入り口にはジュラシックパークみたいな二重の鉄の門</h2>ブラジルの生活が始まって驚いたのが、日常生活で目にする警備の厳重さでした。 たとえば、私たちが住んでいたマンションには写真のような鉄格子の回転式扉がありました。&nbsp; 入居時に顔写真と指紋を登録し、出入り時は毎回、顔と指紋認証を行います。 ガードマンさんは各入口や敷地内の巡回など、24時間体制で警備してくれていました。

そして当時通っていた日本人学校のエントランスは分厚い鉄の電子扉が二重になっており、はじめて見たときはまるでジュラシックパークみたいだと仰天しました。

耳鼻科や歯医者などは基本的にすべて事前予約制で、いわゆる「飛び込み」の来訪は防犯上NG。 オフィスビルに入っていることが多いのですが、ビルの受付でまず予約を確認、公的身分証明書を見せ顔写真を撮影、パスが発行され、それを使ってゲートを通るとエレベーターがあり各フロアへ行けるなど、管理が徹底されていました。 一軒家は窓の外に鉄格子が入っていることがほとんどでした。

<h2>車には「パニックボタン」が5つ！職場も学校も強盗・不審者対策は念入りに</h2>ブラジルでは郊外に住んでいたため基本的に車移動で、その車には「パニックボタン」が5個ついていました。 名前からして怖いですが、強盗などにあった際こっそり押して外部に助けを求めるもので、そのうち1つはトランクの中にありました。「トランクに入れられる可能性が想定されている」状況自体が恐ろしく、使わずに済むことを願うばかりでした。また夫の会社では配偶者向けに防犯訓練があり、ブラジル人の強盗役が手配され実際に近い状況で訓練をします。 到着後間もない方はショックで泣き出してしまうなど、日本では見たことのない衝撃的な防犯訓練でした…ちなみにブラジル・アルゼンチン共に子どもたちの学校での訓練も、不審者侵入時の対策など、防災ではなく防犯を意識したものが行われていました。<h2> 子どもがひとりで街を歩くことは皆無</h2>ブラジルに比べると、いま住んでいるブエノスアイレスは治安が良く、油断禁物とはいえ普段の生活はすべて徒歩で行動しています。 ただ、どちらの国でも小学生以下の子どもがひとりで歩くということは皆無。ブエノスアイレスは中学生ぐらいからは自分たちで登下校する姿を見かけますが、ブラジルはティーンエージャーでも送迎する保護者が少なくないと聞きました。

我が家も日本では子どもたちに緊急連絡先を書いたIDカードを持たせ、地震時を想定した約束事を決めていましたが、いまはひとりで行動する私も同様のカードを持っています。 ※防災については以前、こんな記事も書かせていただきました。 <a href="https://www.seiban-sodasoda.com/episodes/detail/hotsoda-230822/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">「9月1日は“防災の日”。防災準備を夏休み最後のイベントに！｜防災ポーチリストもご紹介」</a>

<h2>勝手に車掃除・押し売り…最初は怖かった笑える商売</h2>

南米ではじめて経験したのが、信号を待っているときに突然窓掃除を始められたり、ジャグリングなどの芸を見せられたり、フロントガラスに花や雑貨などを置かれたりという商売。もちろんお金を請求されます。&nbsp; 最初はただ怖かったのですが、そのうち慣れてきて「今日の人たちは掃除が丁寧だったね～」などと家族で話す余裕ができるほど、日常茶飯事の出来事でした。それらは笑い話ですが、つまり乗車時でもいつ何があるかわからない状況ということ。 生活する中で防犯意識を高く持つことは必須です。 &nbsp;<h2>「治安は悪いが人は良い」を実感しています</h2>日本も昔よりは治安が悪くなったと思います。とはいえ、南米と比べると安全性の差は歴然です。 治安の良さや清潔で整備された街並み、そして多くの方が「先のことを考え備える」姿勢を持っていることは素晴らしいと、海外に住んで改めて感じています。だからといって、ブラジルやアルゼンチンで、みんなが日々怯えながら生きているわけではありません。 何度か書いてきた通り、両国共におしゃべり好きで陽気な国民性で、店先でも道端でもなんだかんだと集まって話しています。 結果、街なかに笑顔が多いし、基本的に優しく世話好きで外国人にも寛容です。治安を含め政治・経済の不安定さを感じることも多いのですが、その中でどうしていつもあんなに明るいのか不思議にも思うし、そんな笑顔や朗らかさに元気をいただくことも多いです。渡航前、南米に住んだ経験のある方々から口をそろえて「治安は悪いが人は良い。きっと楽しいと思うよ」と言われました。そのふたつは両立するのか？と疑問でいっぱいでしたが、いまは私自身もまさにその通りだと思っています。

2024年5月のテーマ「海外の防災・防犯事情を調査してみた」

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