佐々木はる菜集英社「LEEweb」のコラム連載、時事通信社での特集記事など、海外渡航後も女性目線・ママ目線に強いライターとして国内外のトレンドや社会的な取り組みなどを幅広く執筆中。出産離職や海外転勤など自身の経験から「女性の生き方」についての発信がライフワークで著書にkindle「今こそ！フリーランスママ入門」。ブラジル生活8か月を経て家族でアルゼンチンへ。東京出身、小学生兄妹の母。Instagram／<a href="https://www.instagram.com/halna212/?hl=ja" target="_blank" rel="noopener noreferrer">halna212</a> note／<a href="https://note.com/miraiwotsumugu/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://note.com/miraiwotsumugu</a> HP／<a href="https://miraiwotsumugu.com/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://miraiwotsumugu.com</a>

5月は『親子の距離感』について考えてみました。SNSなどでもときどき話題になる、いつまで親子でお風呂に入るのか、一緒に寝るのか問題。日本では小学生くらいまで親子一緒のお布団で寝る、いわゆる川の字スタイルがポピュラーですが、海外の映画やドラマでは赤ちゃんから子ども部屋があって、夫婦の寝室とは別になってますよね。そもそも欧米と日本では住宅事情も違いますし、もちろん家庭の事情もあるわけなのですが、海外在住Soda!ファミリーレポーターの座談会で話をしていると、その向こうに親子や家族、さらには個人のプライバシーや自立についての価値観の違いがあることに気がつきます。そしてこれは、親子の距離感だけでなく、いろいろな場面で感じることです。日々の暮らしの中で感じたことを、いろんな視点からレポートしていただきました。

子どもが小さいころは親子一緒に眠るご家庭が多い日本に対し、「海外では赤ちゃんのときから親子の寝室は別！」というイメージが強いのではないでしょうか。 実際にこれまで、海外在住や国際結婚をしている友人・知人の話などを聞いていても別々に寝ていることが多く、現在住んでいるアルゼンチンでもきっと親子別室がスタンダードなのだろうと予想していました。しかしこちらで知り合った現地の皆さんに聞いてみたところ「一緒に寝るかどうかは家庭による」という答えが多数でちょっと意外な気がしました。 &nbsp;<h2>「親子一緒の寝室」理由は日本と同じ住宅事情？</h2>アルゼンチンでは今も、一族内の何家族かが一緒に住んでいる場合も多く、部屋数の関係から親子一緒に寝ていることも珍しくはないそうで、なんだかちょっと日本みたいで親近感が湧いてしまいました。

私が今住んでいるブエノスアイレスは、さすが「南米のパリ」と呼ばれるだけある優雅な街並みですが、そこからは想像がつかないほど経済はなかなか大変な状況です。ニュースなどでも取り上げられている通りインフレでモノの値段がどんどん上がり、ちょっとした買い物でも「札束」を出さなければならず、通貨レートも2種類あるなど、生活する中で戸惑ってしまうこともあります。

もともと地震はほとんどなく昔からの建物を改築しながら大切に使う文化があり、更にそんな背景で土地の値段も高くなっていることから、最近ではもともとあった土地の空いている部分（例えば中庭など）に、後から建て増しするケースが増えているのだとか。街中で新しいマンション建設の工事などもよく見かけるため生活スタイルはさまざまだとは思いますが、私が話を聞いたグローバル企業に勤める20代の女性も、おばあちゃん・両親・姉とその息子さん・自分と妹で住んでいるということでした。 &nbsp;<h2>お風呂はやっぱり男女別</h2>一方でお風呂に関しては諸外国と同じく、親子別で入るようになるタイミングは日本よりも早い印象です。厳密に何歳からは子ども自身で入るといった厳しい線引き等は無く、お子さんの成長に応じて親が手伝いながらひとりで入れるようにしていくそう。温泉や銭湯といった他人同士が共に入浴する文化や、異性の親子でも一緒にお風呂に入る日本の習慣は、やっぱりちょっと変わっているように感じると話していました。また私自身が実際に海外で暮らしてみて改めて感じるのは、当たり前のことかもしれませんが日本の浴室と造りが違うという物理的な理由も大きいのではないかということ。 シャワーだけの場合や、バスタブがあったとしても、その中で体を洗うようなスタイルなため、元来お風呂が大好きな私でも入浴時間はかなり短くなりました。ましてや子どもと一緒にゆっくりお風呂に入るという発想自体を持ちにくいと思います。 &nbsp;<h2>寝室、我が家の場合はまだ親子一緒</h2>

現在11歳小5息子＆8歳小3娘がいる我が家にとっても、「寝室＆お風呂いつまで一緒」問題は気になるテーマです。ちなみに私たちがどうしているかというと、まず寝室についてはまだ親子一緒です。 海外に来てからはそれぞれに自分の部屋ができ、息子はたまにひとりで寝ることもあります。でも娘は「絶対ママと寝たい！」と主張しており、妹が一緒なら僕も…的な思いや、日本の家に比べ広くて夜はちょっと怖いということ、そして平日は夫の帰りが遅いこともあり、結局は主寝室のダブルベッドに3人で寝ていることが多い（息子は体が大きいほうなのでかなり狭い…）。 親離れ子離れの意味も含めて週末はパパとママで寝るねと言っているものの、結局「一緒に寝たい」とぐずられ、土日のどちらか1日になってしまうことがほとんどです。ただ個人的には「いつかは離れるから、子どもたちが望むならばもうしばらくは一緒でもいいかな」と考えています。私が通っていた小学校は宿泊行事が多く、年3～4回あるその機会が嫌で嫌で、4年生くらいまでは毎回こっそり泣いて家を恋しがっていました。そんな私も中学以降はお友だちの家に泊まりに行きたくて仕方がなく、「外泊禁止」という父とバトルを繰り広げていたので、まだ「ママと寝たい！」と思ってくれているうちから無理に離さなくても良いかなというのが、今の私の思いです。 &nbsp;<h2>お風呂の時間はちょっとデリケートな話もしやすい</h2>親子一緒の入浴に関してもさまざまな考え方があると思います。 ただ私はお風呂という機会は、親子でゆっくり話ができる時間という意味でも大切にしたいという気持ちを持っており、特に「体のこと」、やがて性教育に繋がっていくような少しデリケートなテーマも伝えやすい場所だと感じています。例えばプライベートゾーンにまつわることなど、まず自分が危険な目に合わないため、そして人を不快にさせないための知識などは、小さなころから一緒にお風呂に入りながら伝えてきました。親子なので、大きくなってきたら何でもかんでも話すわけにはいかないけれど、今はインターネットなどもあり成長すればするほど正しくない歪んだ情報にもアクセスしやすくなっていると感じるため、「性」にまつわることをタブーにしすぎないことや、本当に困ったことなどはちゃんと親に相談してもらえるような関係づくりをしたいと考え、年齢に応じて折に触れ話をしてきたつもりでいます。他にも、特に娘に関しては「自分の下着は汚れやすい部分だけあらかじめ手洗いしてから洗濯に出すように」といったマナー的なことを伝えたり、例えば「腕や脚に少し毛が生えているのが気になる」といったちょっとした体の悩みをふと話してくれたりと、大切な時間になっているなと感じます。

娘とはほぼ毎日一緒に入浴していますが、息子とはこの1年くらいで徐々に一緒に入る機会が少なくなってきています。 しかしその理由は、成長に伴う自立や恥ずかしさというよりは「一人で入った方が早く済んで、早く好きなことができる」といったことで、息子自身はまだまだ素直に甘えてくれるし、お風呂上がりに恥ずかしげもなく全裸でうろうろするなどフルオープンな感じです（笑） 私も正直、お風呂の順番が前後するなどでお互い裸に近い状態でいても、まだそこまで抵抗がありません。ただ、だんだんと「自分は良くても周りは嫌かもしれない」とか、海外に来てからはトイレとお風呂が一緒なので「ママは見られると恥ずかしいから、いきなり入ってくるんじゃなくてノックしてね」など意識して伝えるようにしています。 &nbsp;<h2>寝室もお風呂も、いつから親子・男女別にするかは悩ましい</h2>

お風呂に関しては娘×夫、息子×娘が悩みどころ。まだ一緒に入っていることもあり、夫自身は男兄弟で育ったため、娘といつまで入って良いものかわからないと話していました。またもや私が子どものころのエピソードで恐縮ですが、父とお風呂に入らなくなったきっかけのひとつとして覚えているのが、小学校2～3年生のころに温泉でいつものように父と弟と男湯の方に行ったところ、居合わせたお客さんに「あ、女の子がいる！ラッキー」と言われたこと。 それだけのことで、今思うと恐らくその男性はほろ酔いでちょっと悪ノリしただけだったと思うのですが、ものすごく恥ずかしくなり「そうか、私はもう男湯に入っちゃいけないんだ」とハッとしたことが、今思うと「男女の体の差」を意識した始まりだったかもしれません。以前母に、私が父といつまでお風呂に入っていたか聞いたところ、ちょうどそのころから「いつものように父からお風呂入るぞと言われたときに、子どもなりに気を使いながら『今日はひとりで入ろうかな』等と答えるようになった。お父さんはちょっと寂しそうだった」と笑いながら話していました。このご時世なので、我が家も温泉など公衆の場では幼いころから男女別にしていますが、 自宅のお風呂問題についてはまだ答えが出ていません。ただこれも、基本的には本人たちが入りたがるうちは一緒でもいいかなと思っています。 &nbsp;<h2>家族で話し合える関係づくりを大切にしたい</h2>そんなわけで私自身も、いろいろな国やそれぞれのご家庭で「親子の距離感」についてどんな判断をされているのか、とても興味があります！これまで意識して体のことなどを相談できるような関係づくりを心がけてきたので、最近息子とは少し笑いを交えながらも「体の変化が本当に始まったら、別にしなきゃね」などと話しています。 話し合いと言うと大げさですが、このテーマに関しても、そうやって家族でその都度相談しながら一緒に考えていけるといいなと思っています。

2023年5月のテーマ「親子の距離感について」

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