佐々木はる菜集英社「LEEweb」のコラム連載、時事通信社での特集記事など、海外渡航後も女性目線・ママ目線に強いライターとして国内外のトレンドや社会的な取り組みなどを幅広く執筆中。出産離職や海外転勤など自身の経験から「女性の生き方」についての発信がライフワークで著書にkindle「今こそ！フリーランスママ入門」。ブラジル生活8か月を経て家族でアルゼンチンへ。東京出身、小学生兄妹の母。Instagram／<a href="https://www.instagram.com/halna212/?hl=ja" target="_blank" rel="noopener noreferrer">halna212</a> note／<a href="https://note.com/miraiwotsumugu/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://note.com/miraiwotsumugu</a> HP／<a href="https://miraiwotsumugu.com/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://miraiwotsumugu.com</a>

6月は英語・数学・国語・理科・社会の5教科以外の教科、つまり音楽や体育といった「副教科」について各国の事情をレポートしてもらいます。日本では2022年から小学校高学年で教科担任制が導入されるようになりましたよね。 主要教科含めて専門性の高い授業を目指す、といったところでしょうか。さて、そもそも時間割がない自由な外国では、いったいどんなふうに音楽や体育、図工を学ぶのでしょうか。運動会や音楽会ってあるんでしょうか。今月も各国違ったレポートとなりました。

我が家の子どもたちはブラジルでもここアルゼンチンでも、日本人学校に通っています。ただ、海外赴任が決まって以来「せっかく海外で暮らすならば現地校やインター校に」という思いも持ち続けており、今後を考え今も情報収集＆試行錯誤中でもあります。そんな中、改めて日本の教育の丁寧さとバランスの良さを実感しています。例えば「日本の教科書は無償で質が高い」ということ。 実はブラジルからアルゼンチンに異動する前に知人の先生から「日本の教科書は非常によくできている。自分も勉強したいし、子どもたちにも見せたいので、不要になったものがあれば譲ってほしい」と言われました。

こちらは我が家の娘が現在使っている、日本の「副教科」の教科書です。 多種多様な素材と方法でさまざまな作品をつくる図工や、曲そのものだけでなく背景や歴史などまで学ぶ音楽など、きちんと見てみると今さらながら面白い！日本の小学校では年度初めに新品の教科書を無償でもらいますが、外国ではそれは当たり前ではありません。無償なのに、見やすくわかりやすく質が高い。考えてみたら全ぺージがカラーで、写真や挿絵が美しい点なども素晴らしいです。我が家が経験した学校はどちらも行事が盛ん。日本にいたとき以上に音楽や図工、体育など「子どもたちの作品や発表」を観る機会が多くあるので、いわゆる副教科にも力を入れている印象です。

運動会直前は日に3～4時間の体育の授業があり、子どもたちも自ら休み時間まで練習するなど楽しく熱心に取り組んでいました。 毎日7時間授業で1週間のコマ数も多い中、さすがに体育ばかりやりすぎなのでは…と当初は少し驚きました。けれど、運動会で子どもたちが披露してくれたダンスなどの完成度の高さには、目を見張るものがあり、日本の学校ではなかなかできないことではないかと面白く思いました。 また、日本人学校ではありますが、通常の語学の授業とは別に、現地採用の先生方が英語や現地語を交えて授業する時間もあります。

<h2>外国人が驚いた、日本の「調理実習」</h2>ちなみに今回の記事を書くにあたり現地の友人と日本の副教科にあたる授業について話していたところ、彼女が驚いていたのが「調理実習」についてでした。 多くの学校内にキッチン機能の付いた調理室があり、皆で料理を習う機会があるなんて素晴らしいとのこと。 また別の友人に授業参観の写真を見せたときには、音楽室にあるバラエティ豊かな楽器に感心していました。近年は画一的だとか詰め込み型だとか課題について議論されることが多い日本の教育ですが、海外で暮らしていると、日本のカリキュラムは高水準で、副教科も含めて各教科内容がしっかりしていて、学ぶ幅やバランスが良いと感じます。インターナショナルスクールも魅力的ですが、子どもたちの学びに「日本のカリキュラム」という一つの大きな軸があることに、心強さを感じていることも事実です。<h2> サッカー王国では実はテニスも人気</h2>さて、ブラジルもアルゼンチンも、多くの方がイメージする通りやはりサッカーは人気。

加えてどちらの国でも盛んなのがテニス。子どもはもちろん大人も習っている方が多く、ラケットを背負って街を歩いている姿をよく見かけます。 両国ともに物価はなかなか高いですが、テニスに関しては日本よりもレッスン料はリーズナブルです。 ブラジルでは、子どもたちが同じプレジオ（マンション）に住むコーチから、敷地内にあるコートでテニスを習っていました。

また、”初心者”レベルにも到達できないまま異動となってしまいましたが、ブラジルでは家族で「カポエイラ」の道場にしばらく通いました。ダンス・アクロバット・音楽・文化など様々な要素を含んだブラジルの伝統的な格闘技で、現地ならではの経験ができました！

今住んでいるブエノスアイレスは「南米のパリ」と言われ、劇場も多く文化的な街なせいか、バレエを始めとするダンス教室が多くあります。娘は最近バレエを、そして私はアルゼンチンタンゴを習いはじめました。親子共に南米で習いごとをする中で感じるのは、こちらの方は楽しみ上手だなということ。現地でのレッスンは最初、特にスポーツ系は半分遊んでいるように見えるくらいの雰囲気で笑い声が絶えません。そして、毎回本当に色々な表現で子どもたちのことを褒めてくれます。 言葉がポルトガル語や英語だからということもあるかもしれませんが、わざとらしさや大げさな感じもなく、子どもたちはずっといいことしか言われていませんでした。日本人は、始めたからには上達を目指し、続けることも大切にする傾向があると思います。かくいう私もまさにそのタイプで、世代的にも親からは「一度始めたら続けなさい！」と育てられてきました。ビアノやバレエなど辞めたくても辞めさせてもらえなかった記憶もあり(笑)、自分はもちろん、子どもたちに対しても「せっかくやるならば」と思いがちです。一方こちらの方々は、子どもたちに好きなことを見つけてもらうため、さまざまな習いごとにチャレンジさせることをよしとしているようです。 小学校中学年くらいまでの低年齢の場合は特に、ちょっと始めてみたものの子ども自身にやる気がなくなったり、向いていないと感じたら、すぐ他の習いごとに変えることも「大いにアリ」だそうです。月謝制ではなく、少し割高にはなりますが都度払いや数回のチケット制を設けているチームやスタジオもよく見かけます。

<h2>習いごとは本人が納得して楽しい、やりたいと思うことが大切</h2>その様子や日本との違いについて現地の先生に話していたときに言われたのが「楽しいことが好きなのもあるけれど、本人が納得しないとやらないのがブラジル人だから」ということ。 言われてみると当たり前のことですが、結局本人が楽しい！もっとやりたい！と思うことが上達の一番の近道で、確かに子どもたちも、例えば休みの日も自ら「みんなでテニスをやろう！」などと誘ってくるようになりました。ただ一方で、どの習いごとに行っても「日本人の子どもたちは優秀」と評価されていることが多かったのも事実。真面目に一所懸命取り組むからこそきちんと上達する人が多いのは、日本人の美徳だなとも改めて感じました。南米での経験をもとに私がより心がけるようになったのは、子どもたちに「～しなさい」と言う機会を減らすことです。 我が子たちの年齢が上がったからということもありますが、習いごとや、時に嫌なこともある勉強に関しても、まずは「なぜ必要か」「なんのために勉強するのか」を話し、本人の意見も聞いた上で、何をいつ・どれくらい・どのようにやるかは、なるべく子どもたち自身に決めさせるようにしています。日々の中ではうまくいかないことも多々ありますが(笑)、せっかく海外に住む機会をいただいているからこそ、日本と海外双方の良いところを子育てに活かしていけるよう、これからも試行錯誤していきたいです。

2023年6月のテーマ「副教科について」

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