<h4>石踊 千夏</h4>大阪市出身。22歳で熱帯雨林の保護活動を夢にインドネシアに渡るが、ジャングルに出会えず数年間意味もなく放浪。2000年にバリ島で日本語学校を設立する機会を得る。長男出産を機に息子のためにと託児所を建て、やがてそれが保育園、2020年には小学校をオープンすることに。現在、9歳と6歳の双子の母親兼、校長として理想の小学校づくりに奮闘中。

5月は『親子の距離感』について考えてみました。SNSなどでもときどき話題になる、いつまで親子でお風呂に入るのか、一緒に寝るのか問題。日本では小学生くらいまで親子一緒のお布団で寝る、いわゆる川の字スタイルがポピュラーですが、海外の映画やドラマでは赤ちゃんから子ども部屋があって、夫婦の寝室とは別になってますよね。そもそも欧米と日本では住宅事情も違いますし、もちろん家庭の事情もあるわけなのですが、海外在住Soda!ファミリーレポーターの座談会で話をしていると、その向こうに親子や家族、さらには個人のプライバシーや自立についての価値観の違いがあることに気がつきます。そしてこれは、親子の距離感だけでなく、いろいろな場面で感じることです。日々の暮らしの中で感じたことを、いろんな視点からレポートしていただきました。

「川の字で寝る」という昔からの言葉の通り、バリ島でも私は現在「川の字」の真ん中で寝ています。布団でなくベッドですが。<h2> バリでも川の字で寝ている我が家</h2>バリでも日本と同様ある程度の年齢になるまでは親と一緒に寝るのが普通なようです。 あとは、自分だけの部屋があるかによって、そのうち一人で自分の部屋で寝る子も出てくるようですが、こちらでは少し前まで、子どもが五、六人いるのが一般的な家庭でした。今でもまだ大抵は兄弟が二、三人いますので、一人ずつ一人部屋があるのは結構大きい家に住んでいる裕福な家庭に限られるかもしれません。 実は私の家にも裕福だからというわけではありませんが、息子用、双子の娘用の部屋があり、寝るスペースもあるのですが・・・私がまだ彼らと別で寝ることができずにいるのが正直なところでしょうか。

一つのベッドに一人で寝る方がもちろん夜中に何度も起こされることなく広々と寝られるのでしょうが、彼らのぬくもりを求めているのは親の私のほうかと・・・ あと、インドネシアでは夫婦は一つのベッドに寝るのが一般なようで、今更旦那と二人で一緒に一つのベッドで寝るってのはどうも・・・ そう考えると必ず一人で寝ることができる布団の方がいいですね。<h2> 1日2回トイレ兼水浴び場で水浴びするのがインドネシアの常識</h2>寝るスタイルは日本と似ていると思うのですが、日本のように家族でお風呂に入るということはまずありません。例え子どもが小さいうちであっても、自分で身体を洗うことができない子どもの身体を洗ってあげるだけです。そもそもこちらにはもちろん日本のように『湯船につかる』という習慣はなく、朝起きた後と帰宅後の夕方の一日二度、トイレ兼水浴び場に貯めている水を桶で汲んで水浴びするのがインドネシアの常識です。ほんの数年前まではバリ島でも、ちょっとした郊外の川で、家族やご近所さんと洗濯したり身体を洗ってる姿を見ることがよくあったのですが、最近はシャワーを取り付けている家も多くなってきたようです。

<h2>「裸の付き合い」はありえない！親子でも裸は見せません</h2>日本では「裸の付き合い」という言葉もあるくらいで、家族や親しい間柄、でなくても公衆浴場のようなものもあるくらい、そういう場であれば人前で裸になることにあまり抵抗を感じることはないかもしれませんが、こちらでは例え親子の間柄であってもお風呂に一緒に入ったり、裸を見せたりするようなことはありません。水浴びの際に使う石鹸さえ、一人ひとり別のものを使用し、一緒のものを使うことはありません。 でも私の場合は、子どもたちは7歳にも10歳にもなるので、もちろん一人でシャワーを浴びることができるのですが、髪や身体をきちんと洗ってないのが嫌で、今でも私がシャワーを浴びるタイミングで一緒に入らせることがあります。

子どもとの親子の距離感を考えると、各々の家庭や地域で違うところはあるとは思いつつ、日本のそれと似ているなあと思います。 一方、お風呂に入る（こちらでは水浴びですが）、ご飯を食べる、といった行動は、同じ家族であっても時間や場所、メニューも違ったりします。（<a href="https://www.seiban-sodasoda.com/contents/global-report/detail/id-chinatsu-220907/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">インドネシアでは食事はそれぞれ「好きなとき」に「好きな場所」で食べるのが普通　より</a>） 私の家庭は私が日本人ということもあり、私が都合がよい、心地よいと思った独自の習慣になり、たまに日本の実家に帰ると規律正しい日本の習慣に子どもが合わせることができず・・・そしてわたしも父と母の生活習慣を乱してはだめだとオタオタと焦り、50近くにもなっているのにも関わらず、いまだに親に怒られたりするのです。

2023年5月のテーマ「親子の距離感について」

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