<h4>Kay</h4>東京都出身、一男一女の母。 大学卒業後、国内IT企業、法律事務所、外資エンタメ企業勤務を経て、 2021年より家族4人で北京市に滞在中。 2022年末まで中国の厳しいコロナ政策下での生活を経験。 現在は現地の大学にて中国語を勉強中。 書道、料理、中国茶など中国の文化を楽しんでいます！

12月のテーマは「世界の本と読書事情」。 今年も残すところあと1ヶ月。仕事に家事、何かと気忙しい年末ですが、年末年始は家族の時間でもあります。 お子さまと本を読む時間をつくってみてはいかがでしょうか。 海外在住Soda!ファミリーレポーターのみなさんには、下は5歳から上は大学生まで、幅広い年齢のお子さまがいらっしゃいます。 各国で子育て中のみなさんに、お子さまが好きだった本や、おすすめの本を紹介してもらいました。 英語の勉強に役立つ本もありますよ。ぜひ参考にしてみてください。

我が家の子どもたちは、現在2回目の海外生活中。 多言語環境で子育てする親にとって、母国語の読書の機会を確保するのは最優先課題です。一時帰国では必ず書店で大量に本を購入。ほかにも、定期的にAmazonで購入して送ってもらったり、日本人会や大使館の図書館を利用したり。最近では電子書籍も加わり、子どもたちは読書好きに育ってくれました。

我が家の子どもたちが幼少期にお気に入りだった絵本から、中国の子どもたちに人気の本まで、ご紹介します。<h2>中国語でも翻訳されているかこさとしさんの絵本</h2>

絵本のクラシックとも言えるかこさとしさんの絵本。 自分自身も幼いころ大好きで、多く読んできた記憶があり、自然と子どもと読む機会も多くなりました。魅力はなんと言ってもその絵！子ども騙しでかわいいだけではない、圧倒的な画力で、細かいところまで描き込まれた絵本は、何度読み返しても新しい発見があります。 たとえば、子どもたちは『からすのパンやさん』のたくさんの種類のパンの絵を見て、「どれが食べたい？」「これにしよう、あ～ん、モグモグ」と、文字を読めるようになる前から絵を楽しんでいました。『からすのパンやさん』のように、本を読み始めたばかりの年齢の子どもたちに、身近な生活のストーリーのお話から、高学年になっても楽しめる『人間』、『川』など自然科学にまで及ぶ幅広いかこさとしさんの世界。まさに名作ばかりです。かこさとしさんの絵本は中国でも出版されており、絵本なら私も読めるかしらと『おたまじゃくしの101ちゃん』の中国語版を一冊購入してみました。中国画のような風合いと中国語の翻訳文が雰囲気ぴったりではないでしょうか。

<h2>『大どろぼうホッツェンプロッツ』三部作と『クラバート』</h2>長男が小学校低学年のころ大好きで、数えきれないほど読んでいた、プロイスラーの『大どろぼうホッツェンプロッツ』3部作。個性的な登場人物たちの少し滑稽で躍動感のあるストーリーはもちろん、おばあさんがつくる美味しそうな食べ物など、ドイツの世界観、アート性の高いイラストなど魅力いっぱいのシリーズです。小学校高学年になり、児童文学を読み始めた長男が特にお気に入りになったのは『クラバート』。こちらは少しダークな雰囲気もあるファンタジーですが、何度も読んでいた長男が、ある日「『ホッツェンプロッツ』と同じ作者だ！！」と気付き驚きました。全く知らずに読んでいたのに、何か惹きつけられる共通の魅力があったのかもしれません。このような、点と点が繋がる瞬間も読書の楽しみのひとつですね。<h2> 『窓際のトットちゃん』は中国でもベストセラー</h2>

子どもたちの祖父母世代から愛読されている、黒柳徹子さんの不朽の名作。中国でも2003年に発売され、日本の2倍の発行部数を記録しているベストセラー書籍になっています。 実際に、どの書店に行っても児童書コーナーのすぐ目に着くところに置いてある印象です。自分が子どものころにトットちゃんの視点になりきって見た、生き生きとしたトモエ学園の世界を、全く環境の異なる現代の中国に生きる人たちも読書を通じて体感しているのかな、と思うと不思議な気分になります。以前、長女の学校で、読書週間に児童書をその国出身の子どもが各国の言語で朗読するという行事がありました。 その際担任の先生に勧められ、娘がみんなの前で日本語で朗読したのも『窓際のトットちゃん』の一節でした。余談ですが、この読書週間の行事は、原語の朗読を聞いて意味が分からずとも、各国の友だちが普段会話する言葉と違う言語で朗読する姿に触れる機会は、子どもたちにとってきっと印象深く得難い経験だったのではないかと思い、親の目線からは感動でした。

<h2>中国には古典や歴史が身近に感じられる児童書が豊富</h2>中国の教科書には小学校1年生から多くの古典や故事が出てきますが、書店に行っても古典文学や歴史、故事を子ども用に読みやすく絵本や漫画にアレンジした書籍が豊富です。 たとえば日本人にも馴染みの深い三国志や西遊記、故事成語を解説したものなど。日本にいるときよりも、古典や歴史が生活の身近にあるように感じます。

<h2>中国の子どもたちに大人気のシリーズ『故宫里的大怪兽（故宮の大怪獣）』</h2>また、中国の文化や歴史を背景とした新しい書籍も多く刊行されています。 大人気の18冊シリーズが『故宫里的大怪兽（故宮の大怪獣）』（2015年）と比較的最近出版されています。

舞台は故宮（北京の紫禁城）で、主人公の11歳の女の子が故宮に何百年も住むペガサス、鳳凰、獏などの想像上の神獣たちと出会い…と物語が展開していくファンタジー児童文学です。 普段、名所旧跡を訪ねても、子どもにとっては敬遠し見過ごしてしまいがちな歴史、建築物、神獣などに、読書を通して楽しみつつ触れられるのは素晴らしいと思いました。こちらは親の私も中国語の勉強兼故宮観光の楽しみのため、少しずつ読んでいきたいと思っています。子育てを通して、また新しい本と出会えるのは幸せなことだと感じます。

2023年12月のテーマ「世界の本と読書事情」

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