佐々木はる菜集英社「LEEweb」のコラム連載、時事通信社での特集記事など、海外渡航後も女性目線・ママ目線に強いライターとして国内外のトレンドや社会的な取り組みなどを幅広く執筆中。出産離職や海外転勤など自身の経験から「女性の生き方」についての発信がライフワークで著書にkindle「今こそ！フリーランスママ入門」。ブラジル生活8か月を経て家族でアルゼンチンへ。東京出身、小学生兄妹の母。Instagram／<a href="https://www.instagram.com/halna212/?hl=ja" target="_blank" rel="noopener noreferrer">halna212</a> note／<a href="https://note.com/miraiwotsumugu/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://note.com/miraiwotsumugu</a> HP／<a href="https://miraiwotsumugu.com/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://miraiwotsumugu.com</a>

「世界のお小遣い事情を比べてみた！」 お子さんのお小遣い、どうされていますか？ 海外在住ファミリーレポーターのみなさんに「お小遣いってどうしてる？」と聞いたところ「そもそも小学生だけで買い物に行くことができないから、お金を持たせない」との声が。 なるほど～国によって違うのね。ということで、それぞれのご家庭ではお小遣いをあげているか、各国の子どものお小遣い事情や、 お金の教育はどうしているかなど、世界のお小遣い事情を比べてみました。

現在、アルゼンチンはインフレ年率100％超え。つまり今年1,000円だったものが来年には2,000円になってしまうという、とんでもないハイパーインフレの状況です。 住み始めて半年足らずの私ですが、身の回りのモノやサービスの値段が1ヶ月単位でどんどん値上がることや、スーパーマーケットで札束を目にすることも、もはや日常となっています。

そんな中で、親が子どもに「お金」についてどう伝えているのかは私にとっても気になるテーマ。 「アルゼンチンのお小遣い事情」を中心に、子育て中の現地の方々へ実情を伺ってみました。<h2> 小学生の場合「お小遣い」ありは少数派？</h2>「子どもにお小遣いを渡しているか」という質問に対して多かったのが「お金ではなく、定期的に好きなものを買ってあげている」という答えです。 例えば知人の家で恒例となっているのが、本好きな小学生のお嬢さんと一緒に月1回本屋へ行くこと。そして彼女がハマっている日本の漫画など、少し値が張るものを買ってあげているのだとか。

直接話を伺った知人たちの周りの家族も含め、小学生のうちから日本のようにお小遣いとして現金を渡しているのは少数派で、「欲しいものがあるときにその都度相談して買ってあげる」ことが一般的なようです。私は、そこには主にふたつの理由があるのではないかと感じました。 &nbsp;<h2>小学生が子どもだけで行動することは、まずない</h2>まず一つめは、日本のように子どもだけで学校や習い事に行ったり、遊びに出かけたりはしないということ。 小学校の登下校はスクールバスなどに乗るか保護者が送迎し、我が家の子どもたちが通う現地の習い事でも、必ず先生が保護者を確認しながら引き渡しをしています。日本好きの友人で、よく配信登録制のストリーミングサービスを使って日本のバラエティー番組などを観ているというアルゼンチン人の女性がいるのですが、幼い子どもたちが初めて「おつかい」に挑戦する某人気番組を観たときは、「なぜあんな小さな子をわざわざひとりで買い物に行かせるの？と、意味が分からずぽかんとした」と話していました（笑）外出時には必ず大人が付き添っているため、少なくとも小学生の間は自分たちだけでお金を使うというシチュエーションがほとんどありません。 そのため、子どもに現金を渡そうと考える時期が日本より遅くなるのではないかと感じています。 そしてそれは我が子たちも同じ。日本にいるときはお小遣い制でしたが、ブラジル＆アルゼンチンに来てからは一旦廃止しています。 &nbsp;<h2>「貯金」の意味がない？！アルゼンチンならではの事情</h2>

二つめは「お小遣いを貯めて欲しいものを買う」という行為が、あまり現実的ではないこと。 目当ての物を手に入れるために頑張ってコツコツ貯金したとしても、その間にものすごい勢いで商品の値段自体が上がってしまうのです。 そのため「貯めていた」という行動を評価して親が少し足してあげるなど、インフレ状況に合わせて調整が必要となり「それならば欲しい物が出てきたときに相談しよう」という流れになりがちなことは、理解ができます。 &nbsp;<h2>「電子マネー」の取り扱いは、全世界同時多発的な新たな悩み？</h2>昨年ブラジルに住むようになり驚いたのが、日本よりも格段にキャッシュレス文化が進んでいたこと。スマホやカードひとつで簡単に支払いや送金ができ、露店のような小さな店でも現金払いをする機会はほとんどありませんでした。実は今回私が「お小遣い」と聞いてまず思い浮かんだのが、「電子マネーをどう取り扱うか」という問題でした。 まだ日本にいたとき、小学生になった子どもたちの周りで耳にするようになったのが「塾への交通費としてチャージしていたお金を、勝手に使ってしまった」「コンビニでお友だちに悪気なくおごってしまった」といった電子マネーにまつわるトラブル。 我が家も、近場ですが息子が電車に乗って塾に通っていたため、何かあったときのためにと常に少し多めにチャージしていました。使うときは必ず連絡するという約束は守られていましたが、現金を渡すのとはまた違った難しさがあると感じたことをよく覚えています。

アルゼンチンでは「中学生になったらスマホを買ってあげる」というご家庭が多く、同時にスマホ決済できるシステムも使い始めるため、やはり同様のトラブルが出てくると聞きました。おそらく全世界で子育て中の親たちが、多かれ少なかれ電子マネーとの付き合い方を試行錯誤しているのではないでしょうか。自分たちが子どものころにはなかったものだからこそ「我が家も今後どうするか考えなければ」という自戒の念も込めつつ、興味深く思いました。 &nbsp;<h2>「お金の教育」の第一歩は、親自身のお金との向き合い方？！</h2>恥ずかしながら私は、お金関係の話に苦手意識があります。 でも、アルゼンチンは経済の混乱に加え為替レートも2種類あるという特殊な状況で戸惑うことも多く、これまでよりもお金について考えざるを得なくなり、買い物などのたびに家族で話す機会も増えました。すると長男はどんどん変化する「円」「ドル」「ペソ」の関係を面白く感じたようで、為替レートがわかるアプリを使ってみたいと頼まれたり、学校で2種類のレートについて自分なりの見解を述べたりと、まだ簡単な理解ではありますが「経済」に興味を持つきっかけになっているようです。

最後に、お金や経済について子どもたちにどう伝えているのか、現地の知人に問いかけた際の答えが印象的だったため、ご紹介します。「正直、あまりに不安定な部分が多く、私たちも状況に合わせて対応していくことで精一杯なところがあります。 稼いだお金も貯めたお金もどんどん価値が下がるので、ドルへの換金や投資、もしくは長く使えるものを購入するなど現金は早めに手放すことが多く、冗談半分で『トイレットペーパーで貯金するアルゼンチン人』なんて言い合っていますよ（笑） 子どもたちへのお金にまつわる教育が大切なことはよくわかりますが、このような状況ということもあり、恐らく日本やアメリカなど諸外国と比べて遅れているのではないかと思います。 でも、子どもたちは思っている以上に親のことをよく見ている。 こうやって日々私たちが懸命に試行錯誤する姿を見ることが、何よりの学びになるのではないかと思っています」 もちろんこれは知人による一つの意見で、人や家庭によって状況はさまざまだと思います。私が見聞きしていることは一部分に過ぎず、この国への理解はまだまだ足りないと自覚もしています。

ただ、短い期間ですがアルゼンチンに住み、現地でお金について考えた私が改めて実感しているのが、当たり前のことかもしれませんが「親のお金との関わり方」こそ我が子へ何より大きく影響するということです。生きていくために必要な「お金」、私自身もこれから改めて知識をつけていかねばと、身が引き締まる思いでいます。

2023年9月のテーマ「世界のお小遣い事情を比べてみた」

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