<h4>みゆっち</h4>香港駐在2年目、2児の母。東京生まれ富山育ち。山と海と新鮮なお寿司が大好き。早稲田大学第一文学部卒業後、経済産業省に入省。夫の転勤のために退職し、2007年～2010年にロンドン、2021年～香港在住。現在はオンラインにて方眼ノート1Dayベーシック講座と10min FOCUS Mapping®初級・中級オンライン講座を開講しながら、オンラインツアーガイドと東京のFMラジオ局J-WAVEの特派員としても活動中。

<h2>小学2年生もタブレットを使ってアプリを駆使して学習</h2>香港は、2021年の春ごろから空港での検疫エリア以外での感染者がゼロという状態が続いていましたが、2021年の年末に、市中にてオミクロン株の陽性者が確認された後、一気に感染が広まりました。感染者数としては3月上旬がピークで（そのときは、1日の新規感染者数が2万人という報道がありました。）2022年5月現在、120万人ほどの感染者数ですので、香港の人口750万人と比較して、この4か月ほどの間に人口の1割強が感染したような状況でした。そんな中、幼稚園を含む学校への登校が禁止され、オンライン授業に切り替わったのは、最初の陽性者が確認されてから2週間ほど、1日の感染者数が20人ほどの時期でした。 当初は、春節休暇までの3週間をオンライン授業に。という政府発表でしたが、感染者数が増え続けていたことから、登校禁止の規制は延長され続け、結局、4月下旬までの4か月弱がオンライン授業、もしくは春休みという状況になりました。香港日本人学校は、2020年度にもオンライン授業を経験していたため、今回の移行も、とてもスムーズでした。オンライン授業は、Zoomで行われました。また、先生からの課題や宿題の提出は、ロイロノートというアプリを使いました。オンライン初日の授業で、画面をオンにして授業を受けること、家にいても授業中にお菓子を食べたりしないこと、などのお約束を説明されました。

うちの場合は、特に下の子が当時小学校2年生だったため、オンラインでうまく授業が進むのか、と不安に思ったりしましたが、先生方はロイロノートを使って授業の進捗確認のために授業が終わった時点のノートの写真を送るように指導してくれたり、提出した宿題やテストも、早ければその日の夕方、遅くとも翌日の朝までには返信をくれるなど丁寧に対応してくれました。特に、国語や道徳などの授業で、自分の考えや気持ちを書くような内容のときは、画面上で先生からの励ましの言葉を確認することもでき、子どもも喜んでいました。 宿題やノートを提出する際、始めのうちは私が写真を撮って送っていましたが、すぐに子ども自身がタブレットで写真を撮って、その写真を送信する、という作業ができるようになりました。国語のテストのときに、写真の撮り方が斜めだったためか、文字が濃く映っていないので再提出ということもありましたが、それも子どもにとって、良い経験だったと思います。

<h2>オンラインでも楽しみを見つけた授業や学校生活</h2>体育や音楽、図工もオンライン授業でした。体育では、同じく在宅しているきょうだいも一緒に身体を動かせるように、先生が声かけをしてくださる場面もありました。また、登校できていたころは、音楽での鍵盤ハーモニカの活動が制限されていたのですが、逆にオンラインになったため、練習することができた、なんていうこともありました。図工は、家で作品をつくり、立体物などは、いろいろな角度から写真を撮って、ロイロノートで提出しました。3月の修了式が近くなると、お別れ会などをクラスで企画することもありましたが、Zoomのブレイクアウトルームを使って、少人数で話し合う活動もできていたようです。 上の子は6年生だったので、国語や社会などの教科の学習のときも、ときどき、ブレイクアウトルームでお互いの考えを話し合う声が聞こえてきました。オンライン授業の間は、1日5時間の時間割のうち、3時間目か4時間目に「目休めタイム」がありました。その時間は、授業の冒頭だけZoomをつないで、あとは画面をオフにして、読書をしたり、図工の作品の続きをつくったりして過ごすことができました。また、休み時間に、お友だちとチャットで絵文字を送り合ったり、お互いの部屋にあるお気に入りのぬいぐるみを見せ合ったりして、楽しく過ごしていたようです。オンライン授業の間は、家族全員の在宅が続き、この状況がいつまで続くのだろうと、プラスでないエネルギーを感じることもありましたが、先生方と子どもたちの姿から、どんな状況であっても、その場でできることを楽しもうとすることの大切さを教えてもらえたような気がしています。

<h2>個人の行動は、自分で考えて自分で決める。</h2>

今回、4か月ほどのコロナ対策のための社会生活に関する制限（ソフトロックダウン）の期間を経験して、香港と日本との違いを感じることもありました。 例えば、2月下旬から、香港でもワクチンの接種歴の確認が強化されました。具体的には、スーパーやレストランなどに入店するときに、スマホでそのお店のＱＲコードを読み込みます。読み込んだ画面上でワクチンの接種歴を確認するというものです。 実はこの制度が始まった当初、ＱＲコードの近くに係員が立っていたので、全員が読み込んでいるのかを一人一人確認して「全員、読み込むように」と無理強いされるのかとドキドキしたのですが、実はＱＲコードをうまく読み込めない方のサポートの係だったと気付いたとき、少し、ホッとしたことを覚えています。 また、2月のほぼ1か月間、すべての美容院は営業停止だったのですが、3月に営業が再開してから、馴染みの美容師さんに伺ったところ、営業停止の間は、接客は制限されていたけれど、スタッフが店に来ることまでは禁止されていなかったので、スタッフの研修期間として過ごしていたと話しておられました。これも、守るべき制度や制限を超えない範囲で、できうる工夫を考えるというのが、香港の人らしいエピソードかもしれないと感じました。 このような状況だったこともあり、我が家も、コロナで在宅が推奨されているとはいえ、育ち盛りの子どもたちが1か月も2か月も家に閉じこもっていることも良くないと思い、1週間に1度は、子ども同士を公園で遊ばせるようにしていました。当時、公園の遊具は使用が制限されていましたが、子どもたちは、鬼ごっこなど、遊具を使わない遊びで楽しく過ごしていました。

<h2>ソフトロックダウンが緩和されつつある現在の香港</h2>2022年4月下旬から、ソフトロックダウンが一気に緩和され、学校への登校も再開されました。1月から営業停止となっていたディズニーランドや動物園、美術館等の観光施設もオープンし、再開当初、とても混雑していたという報道もありました。街に買い物に出かけているときも、外出する人が増えていることを肌で感じます。 我が家の子どもたちも、久しぶりに学校に登校できるようになったことを、とても喜んでいます。学校の再開当初は、長期間にわたる在宅生活の影響で体力低下が感じられたこともありましたが、最近は、通常のリズムが戻ってきているようです。 一方で、昨年までと比べて、子どもたちの学校生活においても、ワクチン接種歴の確認が求められる場面が増えたように感じています。2022年5月現在、中学校の部活動に参加するためには、ワクチン2回の接種証明書が必要ですし、今年度はプール活動が見送られました。 香港においては、まだヨーロッパのようにマスク無しで気軽に外出することはできません。学校生活も含め、室内ではマスク着用が義務付けられており、現在は外での運動時のみ、マスクを外しても良いと言われていますが、マスクを外してランニングをしている方を見かけることは、まだまだ少ないです。 このような状況の中、マスクをすることが、この先しばらくも必須であるなら、そのマスク自体の色や柄を楽しんでしまおうというのが香港です。香港においても、長期間に渡る飲食店の営業時間短縮の影響で、閉店するお店もありますが、繁華街では、その跡地にマスク屋さんが出店されることが多いです。その品揃えの豊富さに、我が家も最近は、カラフルなマスクを楽しんでいます。

また、家族全員が在宅していたころに比べると、行動の自由度は、かなり増しています。香港といえば、高層ビルが立ち並ぶ都市というイメージが強い方も多いかもしれませんが、実は、香港エリアの7割は山で、まわりを海に囲まれている場所であることから、元々、トレイルランや釣りといったアウトドアレジャーも、とても盛んな場所です。今回のソフトロックダウン期間に一番混んでいたのは山だという報道もありました。我が家も、本格的に暑くなる前、気候が良いこの時期（といっても、5月の時点で、既に30度を超える日もありますが）に、自然の中に出かけて、心と身体をリラックスさせる時間を意識的に増やしたいと思っています。以上、日常に戻りつつある香港からのレポートをお届けしました。来月も、どうぞお楽しみに！

2022年5月のテーマ「コロナについて」

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