<h4>石踊 千夏</h4>大阪市出身。22歳で熱帯雨林の保護活動を夢にインドネシアに渡るが、ジャングルに出会えず数年間意味もなく放浪。2000年にバリ島で日本語学校を設立する機会を得る。長男出産を機に息子のためにと託児所を建て、やがてそれが保育園、2020年には小学校をオープンすることに。現在、9歳と6歳の双子の母親兼、校長として理想の小学校づくりに奮闘中。

今月のテーマは「ワークライフバランス」海外在住Sodaファミリーレポーター​​の皆さんが、それぞれの国で、仕事と家庭、そして自分自身の生き方をどのようにバランスをとっているのかレポートしていただきました。日本では働き方改革のひとつとして使われているこの言葉。 なんとなく、仕事とプライベートが対局にあるニュアンスがあるのではないでしょうか。けれど、仕事も家庭も生活も、すべて同じ個人の人生に含まれているもの。 近年では、相反する関係ではなく、相互によりよい影響を与えるもの、という意味の「ワーク・ライフ・インテグレーション」という概念が一番新しい考え方とされています。 各国のレポートを読んでいるとこちらの概念の方が近いなと感じました。さて、日本と海外ではどのように違うのでしょうか。※関連記事 内閣府の「仕事と生活の調和」推進サイト <a href="https://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/20barrier_html/20html/charter.html" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/20barrier_html/20html/charter.html</a>コラム「IBM流『公私混同型』の新しい働き方とは」 <a href="https://wwwa.cao.go.jp/wlb/e-mailmagazine/backnumber/033/index.html#p01" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://wwwa.cao.go.jp/wlb/e-mailmagazine/backnumber/033/index.html#p01</a>

私は日本で働いた経験がないので、日本の一般的な「ワークライフバランス」がわからないのですが、それでもやはり20歳過ぎまで日本で育ってきたので、日本人の考え方に随分縛られてきた時期がありました。<h2> 「仕事をしない旦那」から「家を守ってくれる旦那」に変化した私の考え</h2>私が働き始めたのは28歳くらいのとき。 それまではきちんと働いていなかったわけですが、インドネシア人のパートナーもずっと仕事をしておらず、何とか彼に稼ぐ道をつけようと、家具職人の弟子入りをさせたり、ナマズを養殖してみたりと、いろいろ試してみました。誰かに「旦那さんは何をしているの？」と聞かれるのが怖くて恥ずかしくて、とにかく稼げてなくても良いから何か仕事をしてほしいと強く思っていました。 が、しかし、考えてみれば彼も家で何もしていないわけではなく、家事はもちろん、役所や銀行に行ったりと、外国人である私ができない書類関係や雑多な用事をあれこれやってくれているわけです。 何がきっかけだったか覚えていないのですが、逆に働かないで家を守ってくれれば良いという考えに切り替わり、いまはそれをも行き過ぎ「茶だせ、風呂沸いたか」みたいなところまでいって、バランスが取れてないかもしれないですね笑

<h2>「男は家で財産を守り、女が外で働く」がバリの文化</h2>そしてバリ島では文化的に「男は家で財産を守り、女が外で働く」とも言われています。 引っ越してきた当時、女の人が工事現場で重い土やレンガを頭に乗せて運んでいるのを見て、ちょっとした衝撃を受けたのを覚えています。いまでこそ共働きの家庭が特別なことではなくなりましたが、ここでは働かないお父さんも、当たり前のように受け止められている感じがします。特にバリ島には、いろいろな国の人がいます。いまではノマドワーカーやオフィスに行かない人たちも増えていて「あなたたちはどうやってお金を稼いでいるのか？」というような人たちもいるので、子どもたちにとって、家族のかたちに対する固定観念はここではできにくいと思います。

<h2>個人と仕事の時間をきちんと線引きすることでライフバランスを保つ</h2>

そして、家族と過ごす時間をとても大事にしているなとも感じます。 仕事と家族の時間をはっきりと線引きしていて、休日に仕事関係のメッセージを送ったりすることも滅多にありません。何年も前の話になりますが、休みの日になる土曜日に、会社の創立記念パーティーでヴィラを借りて、食事やゲームをして楽しく過ごしたわけですが、そのあとその日分の残業手当を請求され「おい、会社の誕生日をみんなで楽しく祝ったんじゃないのぅ？」と悲しくなったのを覚えています。 そんな人たちなので、よっぽどのことがない限り残業はせず「じゃ、また明日」なんて、上司である私にも何の遠慮もせずさっさと帰って行ったりもするのですが、学校現場の人間として、日本の教育現場は、先生たちのライフバランスを犠牲にして成り立っているんだなと、しみじみ思ったりします。さぁ、明日は月曜日、みんな楽しい週末を過ごせたかな、と、頭に冷えピタ をはり、頭に痛みを感じながら、さて、私は明日出勤できるのかしら。。

2023年11月のテーマ「ワークライフバランス」

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