<h4>石踊 千夏</h4>大阪市出身。22歳で熱帯雨林の保護活動を夢にインドネシアに渡るが、ジャングルに出会えず数年間意味もなく放浪。2000年にバリ島で日本語学校を設立する機会を得る。長男出産を機に息子のためにと託児所を建て、やがてそれが保育園、2020年には小学校をオープンすることに。現在、9歳と6歳の双子の母親兼、校長として理想の小学校づくりに奮闘中。

2024年4月のテーマは「妻でもママでもない私が、ごきげんになれる時間」。子どもの成長は嬉しいし、家族で過ごす時間は幸せですよね。 けれども家事、育児、仕事、その他もろもろ、お母さんはとにかく忙しい！ それは世界中どこでも同じ。だからこそ、自分だけの時間を大切にしたい。 今回は、自分がごきげんになれる時間をどう過ごしているのか、聞いてみました。

思い返すと、子どもができる前も仕事はしていたけど、なんと自分のための時間が多かったことか。起きる時間もたいてい遅めで、出勤する時間もまちまちで、食事もほとんど外食だったと思う。いまは勤務形態が変わったとはいえ、休みの日であれ息子が早起きするので、好きなだけ寝るということはまぁなく、食事も彼らの栄養を考えるので、基本家でつくるようになった。 そう思うと、彼らのおかげで健康的な生活習慣ができているのだろう。<h2>私には趣味がない…</h2>今回「母でもない妻でもない自分の時間」というテーマということで、「自分だけの時間って何してるかな…？」と考えたら、すぐ思い浮かんだのは「私趣味ないからなぁ」ということ。 ずいぶん以前、まだ子どももいず、田舎の方に住んでいたころは鶏とか、家鴨とか、犬やら猫やら家じゅう動物だらけで、特に鶏が大好きだった。

インドネシアにはいろいろな種類な鶏がいます。頭がアフロになっているのやら、模様や色がとても特徴的だったりと、すごく魅力的です。なので、それらを掛け合わせて、「どんな雛が産まれてくるんだろう」とワクワクしながら、孵化する様子をよく観察しました。 ちょっと余談になるのですが、インドネシアで動物や植物などを呼ぶときに、おもしろい共通点があります。たとえば鶏。とても短足で小ぶりなものは、日本語に訳すと『日本鶏』。芝生なんかも葉っぱが短いものは『日本芝』など。小さめなものには『ジャパンなんとか』みたいな呼ばれ方をしていて、ちょっと失礼やなと思ったりしまう笑。 そして不思議なもので、子どもができてから、あんなに好きだった動物に、まったく一切瞬時にして興味も愛情もなくなってしまいました。いまは旦那の趣味の魚と鳥は家にいっぱいいるのですが、最後に飼っていた犬が死んでしまってからは、未だに動物を飼いたいとは思わないのです。というわけで、趣味を失ってしまった私はいまも趣味を見つけられずにいます。

<h2>「いまは私の時間です」と割り切っていたけれど</h2>休みの日も、やり残した仕事がある日以外は、子どもたちをどこかに連れて行ったりしているので、ほとんど時間を持て余すことはありません。なので仕事から帰って夕飯を食べてから寝るまでの時間が、子どもから解放される時間かなと。その時間帯は子どもたちのスクリーンタイムにもしています。私も大抵疲れているので、ゆるーく体操したり、ネットで情報番組を見て世間の情報を自分の中でアップデートしたり。週末の夜の場合は、頭を使う必要がないバラエティ番組か、ネットフリックスで映画を見たりもしていました。 そしてその時間帯に子どもが「ママ、見て」と声をかけられても、自分の中で「いまは私の時間です」と割り切っている私は、いい加減に返事をしたり、真剣に何かを見てるときは「いまはお母さんの自由時間なんだから邪魔しないで」と言ったりもしていました。でもその考え方や、時間の過ごし方を先日変えることにしました。

<h2>母からの長い長い説教メッセージで気がついた大切なこと</h2>先月の学校の休暇中、息子を日本に一人で帰国させました。 彼にとってはおばあちゃん、私の母の元で過ごさせることにしました。その間、私は学校の通常授業が休みなので、「手をつけることができなかったいろいろな仕事を片付けられるぞ」と思っていたのだけど、デング熱になってしまい入院することに。結果1週間以上仕事も休むことになりました。そしてその間、息子と過ごす日本の母から長い長い説教のメッセージが送られてきました。「あたなは自分の子をどんな風に育てるんだ」、「まったく躾も習慣もついてないじゃないか」と、それはそれは何度も何度も、長い長い説教のメッセージが送られてきました。デング熱の高熱で身体的にやられ、精神的にもそれを読むのはしんどく「ええ加減にしてくれ、ほんまわかったから」と返信もせずにいたのだけど、母は諦めなかったのです。 そして1週間以上ベットで過ごす中で私もいろいろ考えました。やっぱりこれからは子どもにもっと関心を示し、時間を一緒に過ごすべきだなと。 いままでは早起きして自分の勉強をしたり、何とか自分を向上することばかり考えていたのだけど、しばらくそれをスローダウンしても良いかなと。泣いてもわめいても彼らと過ごせる時間、彼らが「ママ、ママ」と言って求めてきてくれる時間は人生の中であと少しの間だけ、もっとそれを大切にしようと。

そう気持ちを切り替えたら、不思議なもので、ガミガミと彼らに切れそうになることもなく、彼らを中心に考えた生活を送れるようにしようとすることができてきました。ところで私たち家族は、パンデミック中に電気代を節約するために一緒の部屋で寝ることにしました。以来、それぞれの部屋で寝るタイミングを逃し、いまでも5人一緒の部屋に寝ています。私はもうすぐ8歳になる双子の真ん中に挟まれて寝ていて、毎夜毎夜「暑いな狭いな」と夜中に何度も目覚めはすれど、起きているときはキャーキャーバタバタうるさい彼女たちが、すっかり静かに眠りについている寝顔を左右に眺める瞬間がとても幸せに感じるのです。しかしこのままだと、私が子離れできなくなるな…

2024年4月のテーマ「妻でもママでもない私が、ごきげんになれる時間」

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