<h4>石踊 千夏</h4>大阪市出身。22歳で熱帯雨林の保護活動を夢にインドネシアに渡るが、ジャングルに出会えず数年間意味もなく放浪。2000年にバリ島で日本語学校を設立する機会を得る。長男出産を機に息子のためにと託児所を建て、やがてそれが保育園、2020年には小学校をオープンすることに。現在、9歳と6歳の双子の母親兼、校長として理想の小学校づくりに奮闘中。

2024年5月のテーマは「海外の防災・防犯事情を調査してみた」。地震大国日本では、元旦の能登半島地震に続いて各地で地震が多発しており、防災への関心が高まっています。 もしものとき、どうするか、親子で防災・防犯について相談しておきたいですね。海外の防災事情はどうなんでしょうか。 火山が多い国、自然より防犯が重要な国。各国事情によってさまざまですが、多様な視点は日本でも参考になることが多いです。令和6年能登半島地震において、犠牲となられた方々のご冥福を心からお祈りするとともに、被災されたすべての方々にお見舞いを申し上げます。被災地域の皆様の安全と、1日も早い復興をお祈りいたします。

インドネシアという国は、国全体で見ると自然災害が多い方の国ではないかと思います。火山も多く、どこそこの山が噴火したとのニュースもときどき聞きますし、結構大きな地震が起こって、被害がそこそこあったという話も聞きます。 しかしインドネシアは日本の5倍の広さはあるので、そのほとんどが、どこかの外国で起こった出来事のように感じられます。海外に住んだことのある人なら経験があると思うのですが、住んでいる国で何か自然災害や大きな事故や事件があったりすると、日本の友だちや家族が「大丈夫？」と心配の連絡をくれたりすると思うのですが、当の本人は国内の報道に気づくこともなく、日本からのメッセージで何が起こったかを知ることも多いのです。 普通に考えれば当たり前で、日本でも違うエリアで起こった自然災害の影響を受けることは滅多にないと思うのです。私が住むバリ島は、ほとんど自然災害はなく、毎年恒例のように雨季になると起こる洪水くらいですかね。

<h2>バリ島には神様がいるから津波は起こらない？</h2>日本で東北大震災が起こったときには、こちらでも大きな話題になりました。 私の住んでいるエリアは海岸近くでもあるので、津波が起こった際の避難ルートの看板がところどころ立ったりしました。バリ島では、椰子の木より高い建物を建てるのは禁止されているので、どこまでも平野。いったいこの看板はどこを目指そうとしているんだろう…しかしバリ島の人はとても信心深いので、彼らに言わせると「バリ島は神々に守られているから津波は起こらない」そう。

私の運営している保育園で、消防署から隊員さんに避難訓練のセミナーをしに来てもらったことがあります。 そのときも「すぐ隣に立っている鉄塔が、地震が来たときに倒れて来たらどうすべきか？」という問いに関して、「こちら側に倒れてこないように神に祈るしかないですね」って。そりゃそうですけど、ってのが答えだったり。私が不妊治療をしているとき、病院からの治療コースに、『妊娠中に精神科医からの心理カウンセラー』ってのも入っていて、「へー、やっぱり治療後の不安対策も必要だもんな」と少し感心しながら受診したら、ドクターが「無事に産まれるかどうかは神のみ知るですから」。 「カウンセラーも神頼みか！」って、ちょっと感銘さえ覚えてしまいました。

<h2>犯罪率も家の塀も高くないバリの家。頼りになる番犬のおかげ？</h2>さすがに防犯は神頼みというわけにはいかないのですが、実はバリではそんなに犯罪率も高くなく、バリの人の家の塀もそんな高くないのです。しかしやはり狙われやすいのは外国人やお金持ちの家だったりするので、そんな家には防犯カメラを設置したりしています。（ときには見た目だけのダミーだったりするのですが…）そして、道端には、日本では間違いなく野良犬に思われてしまうような犬がよくウロウロとしていたりするのですが、そのほとんどが飼い犬です。 ほとんどのバリの人の家には犬猫がいますが、その飼育スタイルは、日本のそれとはかけ離れていて、『あれは飼われているのか、それとも居候を許されているだけなのか』といった感じです。 しかし、いったん人の気配がすると「ゴンゴン」としっかり吠え、彼ら自身はセキュリティーの役目をしっかり果たしている気持ちでいるようです。

私はいままで犯罪や盗難の被害にあったことはないのですが、一度だけ思い出せば悔しくなることがあります。 10年ほど前に住んでいたエリアは裕福な人も多いエリアで、「ここらのエリアの家で泥棒に入られたことがない家は一軒もない」と聞いてはいたのですが、私が住んでた家は特に立派でもなく、普通の家だったので「まぁ、うちはないな」とたかを括っていました。日本の祖母や家族から譲り受けた指輪や何やらを菓子箱に入れ、わかりやすく洋服ダンスの目立つところに置いていたら、あるとき留守を狙って空き巣に入られてしまいました。 ドラマのように洋服ダンスから服が散らばり落ちていて、外から戻ってきた私がそれを目撃したときは、まさに「ガガーン！」って感じでした。 さらに私がむかついたのは、宝石が入った菓子箱をそのまま持って行かず、ひとつひとつのボックスを開けて、換金化しやすい金だけ持って行ったこと。真珠や宝石がついているプラチナもそのままにして。「何を余裕こいて選り好みしとんのじゃ！」と。 プラチナも真珠も取られなかったことに感謝すべきなのですが「どうせなら慌てて全部持って行けや！」と、ほんとに腹立たしく、いまでも悔しく思います。前飼っていた犬も死んでしまっていなくなったことだし、もうそろそろうちも番犬を飼わないとな。

2024年5月のテーマ「海外の防災・防犯事情を調査してみた」

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