<h2>みっちー</h2>イギリス北部スコットランドの小さな町で、スコットランド人の主人と長 女（8歳）と長男（4歳）の4人で暮らしています。海と山に囲まれた自然いっ ぱいの片田舎から、現地のリアルな教育・子育て事情をお届けします!

5月は『親子の距離感』について考えてみました。SNSなどでもときどき話題になるいつまで親子でお風呂に入るのか、一緒に寝るのか問題。日本では小学生くらいまで親子一緒のお布団で寝る、いわゆる川の字スタイルがポピュラーですが、海外の映画やドラマでは赤ちゃんから子ども部屋があって、夫婦の寝室とは別になってますよね。そもそも欧米と日本では住宅事情も違いますし、もちろん家庭の事情もあるわけなのですが、海外在住Soda!ファミリーレポーターの座談会で話をしていると、その向こうに親子や家族、さらには個人のプライバシーや自立についての価値観の違いがあることに気がつきます。そしてこれは、親子の距離感だけでなく、いろいろな場面で感じることです。日々の暮らしの中で感じたことを、いろんな視点からレポートしていただきました。

スコットランドで出産して早10年。現地スコットランドや各国のママたちと接しながら感じているのは「いろんな国やいろんな家庭のやり方や考え方があって、育児に『正解』なんてない方が多いんだな」ということ。そんな海外子育ての中で気がついたスコットランドの育児文化が一つ存在します。それは「子どもを独立した一人の個人」として扱い、尊重する考え方が根付いていること！この考え方が無意識のうちに親子関係や親子の距離感と関わってきているような気がするのです。<h2> カルチャーショック！生後6ヶ月で『親子で寝室を分ける』なんて。</h2>

スコットランドでは、赤ちゃんが生後6～9ヶ月になると親子の寝室を分けるのが一般的です。日本のように川の字になって寝ることはせず、親は親の寝室で、子どもは子どもの寝室で寝る家庭が大多数を占めます。赤ちゃんのころから親子の寝室を分けるのは「子どもの自立心を育むため」なんて耳にしたこともありますが、こちらの親がとりわけ子どもの自立心を意識しているわけではない気がする・・・というのが正直な感想。この「親子で寝室を分ける」育児文化は、長い時間をかけてこの国の育児スタイルに根付いただけで、特に深い意味づけはないように感じています。実際、長女が6ヶ月になるころにママ友のお宅へお邪魔すると、どのご家庭も親子で寝室を分けていました。スコットランド国民医療サービス（NHS Scotland）から配布される育児ガイドにも「月齢6ヶ月以降から寝室を分けてもいいです」との記載が。「日本の育児書にはそんなこと書いてなーい！」と長女が6ヶ月になったころは戸惑いましたが、今思えば見えてくることもいくつかあります。まず、生後6ヶ月まで親と同じ部屋で寝ることには安全上の理由があること。スコットランド国民医療サービスのガイドラインでは、生後6ヶ月までの赤ちゃんは親と同室で寝るよう指示されています。これは生後6ヶ月まで乳幼児突然死症候群（SIDS）のリスクが高いと考えられているため。このリスクが大きく下がるのが生後6ヶ月以降なので、この時期を目安に寝室を分ける人が多いよう。言い換えるならば「6ヶ月以降から部屋を離す」のではなく「乳幼児突然死症候群のリスクが高い生後6ヶ月までは親と同じ寝室で寝るべき」と考えている人が多いのです。 &nbsp;<h2>赤ちゃんでも一人の個人として自分の寝室が必要</h2>もう1つ見えてきたことは「子どもと寝室を分ける」ことへの考え方。スコットランドで親と子が寝室を分けることは「新しい家族にちゃんと部屋や家具を整え、与えてあげる」ことに重きを置く人が多いのです。長女が生まれる前、日本ではベビー用品（ベビーベッドや家具など）のレンタルができると知って「スコットランドにもこういうサービスがあったらいいな～」「短期間しか使わないベビーベッドを買うのって経済的じゃない気がする」と夫に話したことがあります。すると夫は「新しい家族にちゃんとした家具や部屋を用意してあげるのは当然でしょ？」と一言。夫は「私たちに自分の寝室があるのと同じように、（例え赤ちゃんであっても一人の個人として）子どもにも自分の寝室が必要」という考え方だったのです。「親と部屋を分ける」のではなく「家族に自分の部屋を与えてあげる／整えてあげる」ことが、スコットランドでは新しい家族を迎えるにあたって大切にしていることの一つなのかな、なんて思いました。そして低年齢から部屋を分けることが、後に個人のプライバシーを守り、一人の個人として尊重し合うことにも繋がっていくのかなあ・・・と思っています。 &nbsp;<h2>スコットランド親子のお風呂事情</h2>

もう一つ日本と海外の育児の違いで取り上げられるのが「お風呂」事情。スコットランドでは、大人でも日本のように毎日お風呂に入る習慣がありません。お風呂の代わりに毎日シャワーを浴び、お風呂に浸かるのは週1～2回。シャワーしか浴びず、お風呂の入らない習慣の人もたくさんいます。そういうわけで、子どもは一人でシャワーを浴びれるようになる7～8歳ごろまではお風呂に入るのですが、親は一緒に入りません。これは、バスタブが日本のものに比べて浅いことや、ユニットバスなのでバスタブの中に入ったまま体を洗ったり洗髪しなければならず、子どもと一緒に入るのは賢明ではない・・・という物理的な理由によって、親子で一緒にお風呂に入る文化が根付かなかったのではないかと個人的に思っています。&nbsp;<h2> 大人も子どももプライベートな空間を整えることで健やかな親子関係が築かれる</h2>

健やかな親子関係を築くためにも、家族一人ひとりのプライベート空間を整えることは大切だと思います。私たちも親である前に一人の人間。自分の空間で自分のことをしたいと思うのが当たり前。なので、我が家では 「ママは一人でシャワーしたいの」 「パパは一人で着替えたいのよ」 と子どもに伝え、ドアが閉まっている部屋に入るときはノックするようにしています。ここも「大人であっても子どもであっても一人ひとりを尊重する」考え方あってのこと。誰にとっても「自分のプライベートな空間」って大切ですよね。<h2> 手探りで子どもとの距離を見極め中！</h2>

スコットランドの育児文化には「子どもを一人の独立した個人として尊重する」という考え方が根付いていると感じていますが、実際のところ、我が家の長男は自分のベッドで就寝しても朝になると親のベッドに潜り込んでいることがよくあります。10歳になる長女もときどき甘えたくなるのか、外で私の手を繋いできたり、ギューッと抱きついてくることも。スコットランド人の夫は「もう◯歳なんだから」なんて言うのですが「子どもだって人間だもの。ちょっと嫌な日があったり、この子なりに悩んだり、時には甘えたくなることもあるよね」と受け止めてあげるように心がけています。「一人の個人として接しつつも、子どもにしっかりと安心感を与えてあげることが親の大切な役割かなあ」なんて思いながら、今日も手探りで子どもとの距離感を見極め中です。

2023年5月のテーマ「親子の距離感について」

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