<h2>みっちー</h2>イギリス北部スコットランドの小さな町で、スコットランド人の主人と長 女（8歳）と長男（4歳）の4人で暮らしています。海と山に囲まれた自然いっ ぱいの片田舎から、現地のリアルな教育・子育て事情をお届けします!

6月は英語・数学・国語・理科・社会の5教科以外の教科、つまり音楽や体育といった「副教科」について各国の事情をレポートしてもらいます。日本では2022年から小学校高学年で教科担任制が導入されるようになりましたよね。 主要教科含めて専門性の高い授業を目指す、といったところでしょうか。さて、そもそも時間割がない自由な外国では、いったいどんなふうに音楽や体育、図工を学ぶのでしょうか。運動会や生活発表会ってあるんでしょうか。今月も各国違ったレポートとなりました。

私が「音楽の授業」と聞いて思い浮かべるのは、小中学校の音楽の時間。「音楽の先生」がいて、音楽の時間になると音楽室へ移動する……。教科書を使って、歌を歌ったり、ピアニカやリコーダーを吹いたり。でも、スコットランドの小学校にはそんな音楽の授業はありません。学校で歌を歌う機会は多々あるものの、音階を習うことも、楽器を触る機会もほぼないかもしれません。そのかわり！スコットランドには日本と全く違った「抽選」による音楽の授業が存在するのです！ &nbsp;<h2>抽選制による音楽の授業。当たるか当たらないかが運命の分かれ道</h2>

スコットランドの音楽の授業は小学4年生からスタートします。 といっても、全員が受けられるのではなく、抽選で各学年30名ほどしか受講できません。我が家の子どもが通う現地校は1学年が約60～70人なので、希望すれば約半数の生徒が音楽の授業を受けられることになります。抽選に当たった生徒は、希望すれば高校卒業までずっと継続して音楽の授業を受けることができます。そのため音楽の授業を熱望している生徒や「子どもに音楽の授業を受けさせたい」と思っている親にとって「音楽授業の抽選」がとても大きな意味を持つのです。長女も音楽の授業の抽選日はとても緊張した面持ちで登校し、下校時には満面の笑みで「抽選当たった～！」と校舎から出てきました。<h2> 音楽の先生は地区の学校を日替わりで掛け持ちするシステム</h2>

音楽の授業は、通常授業の間に行われます。「通常授業の間に……ってどういうこと？」と聞いてみると、通常授業している最中、音楽の授業がある生徒だけが教室からごっそりといなくなるというのです。そして音楽の授業をとっていない生徒はそのまま通常授業を続けます。このシステムをはじめて聞いたときは「音楽の授業を受ける生徒だけ通常授業から遅れないのかな？学力差とか生まれない？」と少し不安に。しかし、スコットランドの時間割は毎日変わること（※）、クラスの大勢がいなくなることから、先生もその点はうまく対応してくれている様子。現地校には常任の「音楽の先生」はおらず、地区内に数人いる音楽の先生が日替わりで各小学校を回って教えに来てくれます。先生の専門によって選べる楽器は変わるものの、授業は本格的なクラシック楽器のレッスンばかり！ &nbsp;（※）<a href="https://www.seiban-sodasoda.com/contents/global-report/detail/sco-mitchy-230213/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">『時間割のないスコットランドの小学校ではこんなふうに1日を過ごします！』</a> &nbsp;<h2>楽器は貸し出し、授業料は無料。本格的なクラシック楽器のレッスンが受けられる！</h2>長女が受けているのはバイオリンの授業です。バイオリンの他にもヴィオラ、チェロ、トランペット、トロンボーンなど学べる楽器はさまざま。

そして、音楽の授業を受けるための特別な費用は一切かかりません。楽器は全て学校から貸し出してもらえるので楽器を購入する必要もなし！日本の音楽の授業を想像していた私は「バイオリンにヴィオラ？！チェロだと！？ピアニカやリコーダーじゃないの？しかも楽器は貸し出し？さ、さすがヨーロッパ～！！」と、それはそれは興奮したものです（笑）クリスマス前には全校集会で各楽器を弾く機会があったり、ときには地区内の音楽の授業をとっている生徒の交流会があったりと、練習の成果を披露する機会もしっかり設けられています。 音楽の授業は週に1回。授業の度に、先生が一人ひとりの楽器を調弦やメンテナンスをしてくれます。

バイオリンの授業はバイオリンの持ち方からスタートし、オンラインの練習教材や教科書を使いながら、少しずつ弾ける音階を増やしていきます。授業についていくために、家での練習も欠かせません。 &nbsp;<h2>音楽の先生に聞いた「楽器を学ぶメリット」とは？</h2>

長女のバイオリンの先生によると、楽器を学ぶことにはたくさんのメリットがあるといいます。楽譜の読み方やリズム感など音楽的なスキルの習得はもちろんのこと、楽器を弾くときの複雑な手／指使いは脳の発達や認知能力を伸ばす効果もあるのだとか。中でも先生が強調していたのが「集中力と忍耐力」の向上。 先生いわく「最近の子どもはデジタル時代に生まれたせいか忍耐力がない子が多い」と感じているそうです。インターネットで知りたい情報や答えが数秒で手に入れられることに慣れてしまった結果、習いごとの成果もすぐに期待することが多く、時間をかけて一つのことを習得しようとするとすぐに飽きてしまう子どもが多いのだとか。楽器を習うメリットを聞いて、音楽の授業の抽選にうまく当たったことにますます感謝したのでした（笑）<h2> 頑張る長女を全力で応援中！</h2>

バイオリンの授業を受け始めて1年ちょっとの長女。今では「きらきらぼし」や「かえるのうた」など簡単な童謡が弾けるぐらいになりました。本人も授業と練習の成果が出てきて嬉しそうな様子。今の目標は大好きなハリーポッターのエンディングテーマ「ハリーの不思議な世界」をバイオリンで弾けるようになることだそう。ローマは一日にしてならず。バイオリンも一日にしてならず。もっともっとバイオリンが上手になるといいな、と思いながら頑張る長女を全力で応援中です。

2023年6月のテーマ「副教科について」

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