<h2>みっちー</h2>イギリス北部スコットランドの小さな町で、スコットランド人の主人と長 女（8歳）と長男（4歳）の4人で暮らしています。海と山に囲まれた自然いっ ぱいの片田舎から、現地のリアルな教育・子育て事情をお届けします!

年末年始の過ごし方は日本各地で違います。 お正月のお雑煮ひとつとっても、白味噌、赤味噌、しょうゆ味とさまざまで、お餅も丸や四角、焼いたり、焼かなかったり。 これが海外生活となると・・・日々発見や驚きの連続。日本で普通だったことも国によっては失礼にあたったり、その逆も。 1月のテーマは「海外生活カルチャーショック」特集。 各国で暮らすファミリーレポーターの皆さんから、いろいろな発見や気づきを教えてもらいます。

みなさんのお子さんは、習い事をされていますか？スコットランドに住む我が家の子どもたちは、姉弟揃ってスイミングレッスンに通っています。スコットランドは日本の学校と違い、夏の体育の授業でプール指導がありません。そのため水泳はレッスンに通うか、親が自力で教えるかどちらかです。そして人口1万人ちょっとの小さな町に住んでいると、子どものスイミングレッスンですら、申し込んですぐにレッスン開始とはいきません。 通常は長～い「待機リスト」に入れられ、レッスンを始めるまでに1年以上かかることもあります。特に2020年からしばらくは、新型コロナパンデミックでプールの利用が規制されていたこともあり、待機リストは膨れ上がるばかり。「2年待ってやっとレッスンがスタートできた！」という親御さんもいらっしゃいました。我が家は最寄りのレッスンの「待機リスト」に入って空きが出るのを待っている間、隣町までレッスンに通っていました。

1時間に1本しかないバスに揺られ40分かけて隣町まで。レッスンの終わる時間や着替えにかかる時間によっては、長い時間バスを待つこともありました。スイミングレッスンに行って帰ってくるのに4時間ほどかかることも！私の住む田舎町では、とにかく最寄りのレッスンに空きが出るまでに長～い道のりがあるのです。 &nbsp;<h2>スコットランドのスイミングレッスンってこんな感じ！</h2>スコットランドのスイミングレッスンは週に1回、30分のレッスンです。私たちが住んでいる地区のレッスンの月謝は£25（※約4500円）ほど。レッスンは4つのレベルに分けられています。

レベル1 水深約75cmの赤ちゃん用プールでのレッスン。 レベル2 大人用プールの水深約1.2m側でプールサイドから反対側のプールサイドまで泳げるようになるのがゴール。 レベル3 大人用プールの水深約2.4ｍ側でプールサイドから反対側のプールサイドまで泳げるようになり、泳ぐ距離を伸ばしていくステージ。 レベル4 25m止まらず泳げるようになるのがゴール。

各レッスンの定員は8人までという少人数制です。ちなみに大人用のプールは水深が1.2m～2.4mあるのですが、足がつかなくても台などは使用しません。子どもたちはプールサイドに掴まって先生の指示を聞きます。レベル1～4を終えると、レッスンを辞める子、レベル4をずっと続ける子、そして選手を目指すユースコースへと進む子に分かれていきます。 &nbsp;<h2>子どものスイミングレッスンで驚いた5つのこと</h2><h3>1. &nbsp;先生はプールに入らない</h3>スイミングレッスンでまず最初に驚いたことが、先生はプールの中に入って指導しないこと！そのため先生は水着を着ていません。短パンにTシャツ姿で、プールサイドから指導します。

先生がプールに入らないことでヒヤッとしたこともありました。 まだレッスンに通い始めたばかりのころ、長女が背泳ぎをしながら水深2m以上の深いところに行ってしまったのです。 プールサイドからも離れていたので親の私は「溺れるのでは……？」ヒヤヒヤに。すると焦った先生は5mぐらいの棒をプールサイドから伸ばして大声で「これに掴まりなさ～い！」と。「こんなときでも先生は飛び込まないんかーい！」と心の中でツッコミを入れずにはいられませんでした（笑） &nbsp;<h3>2. スコットランドで「水泳帽」はかぶらない</h3>

そして意外だったのが、レッスンを受けるときの子どもの格好。もちろんみんな水着姿なのですが、日本でお馴染みの「水泳帽」をかぶりません。女の子の中には髪の長い子もいるのに、みんなそのままプールに入ったり、後ろにポニーテールにしてレッスンを受けています。個人的に「髪の毛、邪魔じゃない……？」と思いながら見ています。私も毎週プールに泳ぎに行くのですが、髪の毛が邪魔に感じるのでいつも水泳帽をつけます。プールで私だけが帽子をつけて泳いでいるので、周りの人からは「本格的に競泳やっていたの？」と勘違いされることも（笑）それぐらいプールで水泳帽は着用しないのが、こちらの「当たり前」です。<h3> 3. フォームや息継ぎはあまり重要ではないらしい</h3>

レッスンではもちろん泳ぎ方を教えてくれるのですが、日本のように厳しくフォームを指導されることがありません。まだ25m泳げない段階では、クロールをしている子どもたちが、突然「犬かき」を始めるという謎の現象が起こります。「なぜ急に犬かき？」と思っていたら、みんな息継ぎが上手くできない様子。そのため息が苦しくなると、みんな犬かきを始めます。そんなおかしな泳ぎ方をしていても先生は何も言いません。「何回も何回も息継ぎを練習してるうちにできるようになるから大丈夫～」と大らかに見守って指導してくれます。私は最初子どもたちに「息継ぎはこうして～」とか「こういうふうに泳いだ方が～」と、ついつい「きれいに泳ぐための口出し」をしてしまっていたのですが、犬かきを取り入れながらも不思議と泳げている子どもたちを見ていると、だんだん「泳げているんだし（溺れていないんだし）、ま、いっか」と思えるように。 &nbsp;<h3>4. レベルテストがない</h3>

前述した通りスイミングレッスンには4つのレベルがあります。 しかし！こちらでは、レベルテストのようなものがありません。担当の先生から「お子さんは来週から次のレベルに進んでください」と言われたらレベルアップの合図です。個人的にはテストで判定されるのではなく、一人ひとりのプロセスをしっかり見た上でレベルアップできるのは、子どもにとってプレッシャーがなくて良いと感じています。 &nbsp;<h3>5. 4つの泳法を同時進行で教える謎</h3>日本のスイミングレッスンは水慣れや顔つけの後に、バタ足▶クロール▶平泳ぎ▶背泳ぎ▶バタフライという順番で一つひとつの泳ぎ方を丁寧に習得していくイメージです。スコットランドはクロール、平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライの4つの泳ぎ方を同時進行で習います。しかも赤ちゃん用プールで顔つけやバタ足をしているような段階から背泳ぎや平泳ぎやバタフライを教えるので「クロールもしっかり泳げない段階からバタフライ？！」と目が飛び出るような思いをすることもしばしば。先生と話していると「子どもによって泳ぎやすい泳法が違うから」と早いうちからいろんな泳ぎ方に触れさせるのだそう。泳ぎ方の難易度順に教えるのではなく、すべての泳ぎ方を同時進行で指導しながら自分の好きな泳ぎ方をどんどん上達させていけば良いとのことでした。思えば、夫は「背泳ぎが一番簡単」と言います。私にとって一番簡単なのは平泳ぎです。人によって泳ぎ方の向き不向き／好き嫌いもあるのだから、早い段階からすべての泳ぎ方を教えるというのも、案外悪くないのかもしれません。 &nbsp;<h2>「スイミングはライフスキル」という夫婦間での目的の共有</h2>

子どものスイミングレッスン一つとっても日本と違いがたくさんあって驚いたり、心の中でツッコミを入れたり（※関西人なので）しながら、楽しいカルチャーショックを受けています。夫婦間では「スイミングはライフスキル。プロの競泳選手になるためではなく、海や川に落ちたときにどこか安全な場所まで自分の力で泳ぐことができるぐらいのスキルを身につけるために行っている」と子どものスイミングレッスンの目的を共有しています。 そのため、ちょっとぐらいフォームがおかしくても、謎の犬かきが混じっても「とりあえず溺れずに泳げていたらOK」ぐらい大らかに構えられるようになりました。幸い、長女も長男もスイミングは楽しく通っていて、週末も「泳ぎに行きたい」と言ってよくプールに行っています。個人的には、息継ぎの下手な我が子がする「謎の犬かき」をどうにかしたいとウズウズしているのですが、犬かきを卒業するにはまだ少し時間がかかりそうです……（笑）

2024年1月のテーマ「海外生活カルチャーショック」

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