<h2>みっちー</h2>イギリス北部スコットランド在住。大阪生まれ、神戸育ち。 大学在学中に北米へ留学し英語と仏語を学ぶ。 大学卒業後、日系商社に勤務。 2011年結婚を機にスコットランドに移住。 2013年に長女、2017年に長男を出産。 現在は子育てをしながら日本語教師として働く一方、 フリーランスライターとして企業様のHP、コンテンツ、ブログ、メルマガなど幅広く執筆中。 趣味は読書、エクササイズ、家庭菜園。

グローバル化が進むなか、企業内の公用語を英語にする会社が増えたり、小学校で英語の授業が始まったり、英語教育のニーズと関心は年々高まっています。とはいえ、日本の英語教育はまだまだ「主要科目のひとつ」として、成績重視です。でも、語学はコミュニケーションのツール。 さて、海外在住ファミリーレポーターの皆さんは、お子さんにどんな語学教育をされているのでしょうか。海外各国で生活するご家庭で、バイリンガル教育をどのようにされているか聞いてみました。

スコットランドに住む我が家の子どもたちは英語と日本語のバイリンガルです。 「子どもとは私の母国語である日本語でおしゃべりしたい」という気持ちと「日本の家族ともおしゃべりできるようになってほしい（日本の家族は全く英語を話せません）」という理由で、子どもが生まれた ときから日本語を話せるような子育てを続けてきました。 &nbsp;<h2>スコットランド生まれの子どもたちの語学力</h2>

我が家の子どもたちは現地の小学校に通い、スコットランド人として教育を受けているため英語はネイティブです。日本語は、話せる＋ひらがな・カタカナの読み書きはOK＋漢字はNG、といった感じで日本語でコミュニケーションはとれるレベル。ワンピースやスパイファミリー、ハイキュー、ポケモンなど日本のアニメやバラエティー番組も日本語で見て理解し、ゲラゲラ笑っています。私は、日本語でコミュニケーションがとれることに重きを置いていて、読み書きは本人たち自由にさせています。長女は最近、小学1年生レベルの漢字が少しずつ読めるようになってきましたが、私から漢字学習をするよう促すことはありません。<h2> スコットランド人の父と日本人の母。国際結婚の我が家のファミリー方針</h2>

子どもが日本語を話せるようになるために、夫婦でとった方針はたった一つ。「私は子どもたちには100％日本語を使い、夫は英語で話す」だけ。語学のように、日本語を「勉強」にするのではなく、日常生活に浸透させてしまうこと。 そして子どもたちにとって日本語で話すことを生活の一部として「当たり前」にしてしまうことを徹底しました。

そのため就学前は私が日本語の絵本を読み聞かせ、夫が英語の絵本を読み聞かせる毎日。 私が子どもに英語を話すことは一切ありませんでした。 　 また育児のほとんどを私が担当し、日本語を使う時間を多くとることはいまでも意識しています。 とにかく母親の私が日本語で話すだけ、という方針を徹底していた我が家ですが、言語学やバイリンガル育児に関する書籍はとにかく読み漁りました。子どもが日本語を身につけていくにあたって、仕事としている日本語教師の知識が役に立つこともあったような気がします。

就学後は日本のアニメが大活躍。子どもを魅了するアニメが日本からたくさん発信されているので、いろんなアニメを楽しんでいます！そして日本語関連のことで子どもが「やりたい！」ということは全力で応援＆サポートするよう心がけています。

また海外在住の日本人の子どもは、日本大使館や領事館に申し込めば無料で日本の小学校の教科書が支給されるシステムがあります！（教科書代は無料ですが、送料は要負担。）日本の教科書は、質も高く、日本語に触れさせるのにもピッタリなので、毎回申し込んで子どもの日本語力アップに役立てています。<h2> 長女が自分で決めた「日本語補習校に行かない」決断</h2>

スコットランドには日本人の子どもを対象にした日本語補習校が1校だけあります。 補習校の幼児部は満4歳から。小学部は満6歳からスタートです。 駐在ファミリーやバイリンガル教育に熱心なご家庭のお子さんたちは、車で何時間かけてでも毎週土曜日、補習校に通っているそうです。私は長女が生まれた時「補習校に行ってほしい」と思っていたのですが、夫は補習校に関しては反対。 夫は「日本語を『勉強』にしてしまってはいけない」という気持ちから、あくまでも日本語は「学ぶもの」ではなく「生活の一部として気がつけばそこにあるもの」にしたかったようでした。 そこで、まだ何もわかっていないであろう3歳の長女に決めさせることにしました。補習校は毎週土曜日なので、平日5日保育園や小学校に行き、さらに土曜日に補習校に行かなければならないこと。 土曜日はお友だちと遊んだり、家族に会ったりすることが難しくなること。 その代わり、日曜日にお友だちと遊んだり、家族に会えること。 日本語がもっともっと上手になること。 日本人のお友だちもたくさんできること。 日本文化のイベントもあってきっと楽しいだろうこと。補習校に行くにあたってのメリット、デメリットを長女に伝え「あなたはどうしたい？」と聞きました。 3歳の彼女がどこまで理解できたのかは不明ですが、長女は「行かない」と一言。「ママとしゃべって日本語もっと上手になるから、補習校は行かない」とハッキリと言いました。 補習校に行ってほしい、と願っていた私のショックはかなり大きいものでしたが、長女の決断を尊重し補習校には行かず今に至ります。「日本語補習校に行かない」という決断が正解だったか不正解だったかはわかりませんが、あのときの言葉のまま、長女は私といっぱいおしゃべりを楽しみ（毎日私の後ろをつきまとって日本語でマシンガントーク炸裂させます）、日本語はどんどん上達していきました。 同時に友だちや家族との時間も大切にできて、本当にたくさんの友だちに恵まれていると感じています。6歳の長男も長女に続き、補習校に行かずに日本語レベルアップ中です！<h2> 周りのバイリンガルファミリーたちはどうしているのか聞いてみると…</h2>

周りの国際結婚家庭を見ると、子どもの言語に関しても本当にさまざま。ドイツ人のママ友は我が家ととても似ています。親は子どもとドイツ語で話し、家ではドイツのテレビ番組を見るそう。 ドイツはスコットランドから飛行機で2時間ほどなので、連休によく帰省しています。2人のお子さんももちろんドイツ語はバッチリ！フィリピン人のママ友は「スコットランドで育つんだからタガログ語なんて必要ないし、フィリピンは英語でも通じるから」と英語だけで育児中です。タイ人のママ友は「就学前子どもはタイ語を話していたのに、就学したらタイ語話さなくなっちゃった」と。 就学して現地語を話す時間が増えると親の言葉を話さなくなる、というのはバイリンガル育児のあるあるです。ポーランド人のママ友は「子どもが1歳になるときに仕事復帰してベビーシッターに預け始めたら、ポーランド語で話しかけても英語で返答するようになった」と嘆いていました。 ママは子どもにポーランド語で話しかけるので聞いて理解はできているようだけれど、アウトプットは英語なのだとか。カザフスタン人のママ友は子どもに一生懸命カザフスタン語を教えようとしたそう。 しかしお子さんの物心がついた頃に「スコットランドでは誰もカザフスタン語なんて話さないのに、なんで話さないといけないのかわからない！」と言ってカザフスタン語を話すのを止めてしまったそうです。シンガポール人の友人のお宅では、お子さんが10代半ばになったころから中国語を自ら勉強し始めたそう！幸い中国語で会話はできていたようなので、読み書きもスラスラと身についていっているとのことです。家庭によって言語の方針もさまざま。 子どもの性格によっても親の言葉を話せるようになるかもケース・バイ・ケースです。<h2> 子どもに日本語を話してもらいたい。けど見失いたくない大切なコト</h2>

以前、外出先で「子どもが自分の母国語を話さない」と話すママに偶然お会いしたことがあります。そのママにとって子どもが英語しか話さないことが随分とストレスになっている様子。そのとき、大切なことに気付かされました。それは「バイリンガル育児に囚われすぎて、子育てが楽しくなくなってしまうのは勿体ないなあ」ということ。 私も就学前はバイリンガル育児に一生懸命で、子どもを補習校に入れたいと思っていたので、子どもが「補習校に行かない」と言った時は打ちのめされた気持ちになったりもしました。しかし大切なのは、バイリンガルになることや親の言語を話せるようになることよりも「子どもの幸せ」だといまは思っています。 実際に私の周りでは、子どもが親の言語を話す・話さないに関係なくみんなとても幸せそうにしています。 大切なのは言語よりも、その奥にある親子の絆やコミュニケーションの密度なのかもしれません。 我が家の子どもたちが大人になっても日本語を話すのかわかりませんが「子どもの幸せ」にこれからも焦点を当てながら、日本語でのコミュニケーションを大切にしていきたいな…と思っているのデシタ。

2024年8月のテーマ「子どもへの語学教育」

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