<h4>栗尾モカ</h4>横浜で生まれ育つ。美大卒業後、若い時期にたくさん旅行をしたいと思い、航空会社に入社。国際線に乗務する。その後、講談社の雑誌編集部で多くの企画を担当。「ダ・ヴィンチ」でコミックエッセイデビュー後、朝日新聞等で取材・イラストの連載をスタート。

5月は『親子の距離感』について考えてみました。SNSなどでもときどき話題になる、いつまで親子でお風呂に入るのか、一緒に寝るのか問題。日本では小学生くらいまで親子一緒のお布団で寝る、いわゆる川の字スタイルがポピュラーですが、海外の映画やドラマでは赤ちゃんから子ども部屋があって、夫婦の寝室とは別になってますよね。そもそも欧米と日本では住宅事情も違いますし、もちろん家庭の事情もあるわけなのですが、海外在住Soda!ファミリーレポーターの座談会で話をしていると、その向こうに親子や家族、さらには個人のプライバシーや自立についての価値観の違いがあることに気がつきます。そしてこれは、親子の距離感だけでなく、いろいろな場面で感じることです。日々の暮らしの中で感じたことを、いろんな視点からレポートしていただきました。

シンガポール在住記者の栗尾モカです。今回のテーマは「親子の距離感」。日本では小学校低学年のころまで親と一緒にお風呂に入ったり同じベッドに寝る家庭が少なくないとか。そういう我が家も、小6の娘とお風呂こそ一緒に入りませんが、寝る前に一緒にベッドで「本日のおもろい話」をしてワハハと笑ってから寝るのが日課になっています。我が家のゆる目標は「一日一笑」です。寝る前の笑い話は、その日一日を気持ちよく締めくくるため。 たとえば、親子でちょっと言い合いをしてお互いに不機嫌になっても、寝る前には冗談を言い合って一緒に笑うことで仲直り。冗談を言う雰囲気にならないときには「ママも悪かったよ」「次回はこういう風に改善しよう」と先に折れて、翌日に持ち越さないようにしています。どうしてそんなことをするようになったかというと、仲直りをしないまま寝てしまったとき、お互いに険しい顔をして寝ていたから（笑）。おまけに、目覚めたときには気持ちがモヤモヤしていて一日のスタートにふさわしくなかったこと。 睡眠前にスッキリしておくことが大事だなと思ったからです。娘は英語だけで過ごすインター校に通い始めて一年たっていないので、まだ緊張する場面もあるかなと思っています。家庭ではリラックスして欲しいと思っています。&nbsp;<h2> シンガポール人は親子で入浴するのか問題について</h2>話題をシンガポールの親子の距離感に戻します。 ひとことでシンガポール人といっても、中華系、マレー系、インド系の人たちがいます。 そして人種は関係なくさまざまなライフスタイルで過ごしていると思いますが、私の周りのローカルフレンズにプチインタビューをしたところ 「子どもと一緒に入浴はしない。寝室も別」という人ばかりでした。そもそもシンガポールはバスタブ付きのコンドミニアム（マンション）の方が少数で、シャワーだけのタイプが大半です。我が家は「しっかりバスタブに浸かりたい」というお風呂好きな日本人らしい強い希望を持ちつつ物件探しをしましたが、「この間取り最高！」と思っても、バスタブがない部屋はとても多かったです。そんな住宅環境もあり「親子は別々にシャワールームでリフレッシュ」という人が大半でした。 &nbsp;<h2>そういえば、あまり肌を見せないシンガポールの人々</h2>海外の人と話していると「父と娘は一緒に入浴なんて絶対しない」と話す人もいます。 日本では「小学生までパパとお風呂に入っていた」と話す人もいますが、もしかしたらそれは海外の人からすればびっくり案件なのかもしれません。 海外では、性別が違えばたとえ家族であっても肌は見せずに隠すのが普通だという話をよく耳にします。ちなみにシンガポールでは、普段から肌を露出する人をあまり見かけません。それはプールでも。常夏の国なのでコンドミニアム（マンション）のプールにスイミングの先生を呼んでグループレッスンをする人が多いのですが、マレー系の先生が多い気がします。&nbsp;

マレー系のスイミングの先生が女性の場合、ヒジャブ（頭を覆う布。アラビア語においては頭に被るベールといった意味のほかに「貞淑」「道徳」といった意味も持つ）がついた全身を覆う水着を着ています。 男性の場合も上下ラッシュガードで教えており、プールであっても男性も女性もあまり肌を露出しません。親子でプールに入るときも同様で、ラッシュガードを着ている人をよくみます。

<h2>親子の距離が近いのは、なんといっても習いごと</h2>寝室は別、お風呂も別。でも、シンガポール人の親子の距離がググッと近くなるのは、なんといっても知育系習いごとに取り組むときです。日本も同じかもしれませんが、シンガポールにも教育に力を入れまくるママたちが大勢います。 我が子の教育に対する情熱たるや、シンガポールで人気の火鍋よりも熱くスパイシーです！

Novena駅にある、知育の殿堂、ユナイテッドスクエアは放課後や週末には親子が押し寄せるビルで、レッスンの間はカフェで時間を潰すシンガポール人母たちの姿が見られます。 シンガポール人の母親の教育熱心ぶりは有名ですが、私の友人（中国人で、旦那さんはシンガポール人）は、「子どもの英語をしっかり理解するため」毎日英語の家庭教師を自宅に呼んで学んでいます。 「ねえ、今度いつお茶する？」ときいたところ「子どもが帰ってきたあとは、毎日習いごとの送迎があるから、夜になっちゃうな。でも、夜は子どもの学校の宿題をみるから、ええと…」という返事。友人とゆっくりする時間もなかなかとれないとのこと。そんなハードスケジュールでも、子どもはタスクをこなしていっているそう。素晴らしい！世界には本当にいろいろな人がいます。

2023年5月のテーマ「親子の距離感について」

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