<h4>キョウコ</h4>川崎生まれ、横浜育ち。ロサンゼルスやフィラデルフィアでの米国生活を通じ、タイバーシティを色濃く感じ、意識する環境で育つ。大学卒業と共に電機メーカーで商品企画やマーケティング関連職に従事。 女性管理職＆家族帯同（夫、娘2人）のレアな（？）かたちでの海外赴任（英国）。日々すったもんだしながら過ごしています。

<h2>渡英3ヶ月後に突然やってきた人生最大のピンチ</h2>2018年秋に渡英し、右も左もわからない中で始まった次女（当時 Year3 日本でいう小学2年生）のイギリス現地校生活。 本当に多くの方々のサポートを頂きながら日々、過ごしてきました。学校の先生方、お友達、ママ友、ご近所の方々、そして、カウンシル（英国の公的な国際文化交流機関）、NHS（イギリスの国営医療サービス事業）の方々。感謝してもしきれないくらいです。 これまでの私は、何でも自分でどうにか対処して、がむしゃらにこなしてきました。 しかし、そんなやり方では物事が前に進まないどころか、途方に暮れる状況に陥ったのが、渡英して3か月後の冬でした。 私の赴任に帯同してきてくれた主人が、なんと、突然、脳出血で倒れたのでした。オフィスで仕事中に救急病院から連絡があり、今すぐに病院に来るように、と。まずは急遽学校に次女を迎えに行き、長女もつれて3人で病院に向かいました。お医者様からの主人の深刻な容態の説明にも、その事態の深刻さを理解しつつも、今後どんなことになるのか全く想像できませんでした。 病状が気になる中、まずは娘の通学と仕事のやりくり問題が浮上。次女の学校の送迎担当の主人がいなくなったので、私自身が登下校の送迎を行うことになりました（イギリスは保護者が登下校時に同伴することになっています）。「8時40分の登校と15時20分の下校」に間に合うように、どうにかこうにか、オフィス通勤と在宅勤務でのやりくりをしていました。駐在員である私は日本との会議がUK時間の朝に集中する為、朝の登校同伴は、時間との闘い。並行して、長女の中学校生活も軌道に乗せるべく四苦八苦。娘達が学校が終わるとその足で、主人の入院する病院に行き、夜遅くに帰宅というヘトヘト生活。

<h2>個性的な次女を柔軟に迎え入れてくれた現地校のお友達に救われた日々</h2>その頃、まだまだ英語なんて全くしゃべれないし、お友達とのコミュニケーションも得意ではなかった次女が、イギリスの現地校で、なぜか人気者になっているとのこと。 先生たちのリップサービスかと思いきや、クラスメートのママからも「今度、Manaをプレイデートに誘いたいと娘たちが言うのだけど良いかしら？」とのお誘い。 シンガポールから移住してきたそのファミリーには、久しぶりの温かいアジアンな夕食を親子でご招待いただき、ホッとできたことを思いだします。 最初は、プレイデートって何？何か持参したり、何か気を付けないといけないのか？と不安だったのですが、 「何もいらないわよ。気にしないで。夕飯は食べれないものある？下校時に娘達と一緒にManaを連れて帰るけど、大丈夫よね？」と、気張らず、ゆるい言葉に甘えました。 また、別の日にも他のクラスメートのママ達から「モーリーがManaを誘いたいって言っているの。良いかしら？ Manaは人気者なのよ」「ジョージもManaとプレイデートをしたいってせがむのだけど、いつなら良いかしら？」とのお声をかけていただき、下校時のお迎えからプレイデートでの夕食までお世話になったのでした。 一方で、学校の方では、次女の様子を心理的な側面、体調などへの影響を観察してくれていました。 登下校時にも、先生方がいつも以上に声をかけてくれていました。”Well done, Mana! Good girl! “ など、事あるごとにポジティブな表現で盛り上げてくださったことで、次女も不安の中、どうにか平常心を保ちながら登校を続けられたのだと思います。

<h2>専門家による特別支援教育サポート（SEN=Special Educational Needs）は感動ものでした</h2>我が家の次女は個性的です。英語がまだまだ外国語なだけでなく、学習進度もスローですし、歩行障がいもあり、クラスのお友達とはペースが違います。 この個性的な次女がクラスメートと一緒の教室で授業を受けるには、どのようなサポートが必要か。 学校のSENCO （Special Educational Needs Co-ordinator）という特別支援教育コーディネーターとなる先生を中心に、担任の先生やカウンシルの相談員をも含めて何度も打ち合わせが開催されました。正直、私は何が起きているのか全体像をつかめず、まるでベルトコンベアに乗っかたかのように、言語セラピスト、認知、理学療法士、NHS（病院関係）などの複数の専門家の方々と次々と打ち合わせが設定されていきました。

そして、結果的に現在、次女は教室の机の椅子（彼女専用）、歩行器、装具、そして、アシスタントティーチャー（次女の担当）のサポートをつけて頂くことになりました。また、最近ではセラピー犬（ムース君）もSENCOチームに加わり、次女を含めた何人かの生徒たちと定期的に一緒の時間を過ごしているようです。 それまでは、たとえ穏やかな性格の犬や小動物であっても、怖くて触れなかった次女ですが、今では自らムース君を撫でることができるようになりました。このイギリスの学校を軸としたSENCOの包括的な一斉の支援体制とその対応力には感謝すると共に、驚きと感動を覚えます。

<h2>個々の状況に合わせてフレキシブルに対応する支援プランの充実</h2>小学校のSENCO主催での今後の支援プラン策定（保護者、学校、カウンシル等との共同策定）に向けての度重なる打ち合わせは、主人が闘病していた時期と重なっていた為、当時は正直、キツかったです。 しかし、一旦、今後の支援プランが決まった後は、SENCO関係者が個々の領域の目標レベルに向けて、連携して粛々と支援策を実行していってくれています。有難いことです。 もちろん、保護者の役割として定義された項目についての達成進度は、保護者の責任になります。 どうしても、母と娘との関係上、甘えも出るため、思った通りに進まないジレンマもあります。しかし、「やれたこと、やったことは、何でもボーナスよ！」という仲良しの理学療法士の方の励まし言葉に安堵しながら、ゆるく、穏やかに過ごす（過ごしたいと願う）日々です。

2022年6月のテーマ「国民性からみる対応力やフレキシビリティ（柔軟性）の違いについて」

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