<h4>キョウコ</h4>川崎生まれ、横浜育ち。ロサンゼルスやフィラデルフィアでの米国生活を通じ、タイバーシティを色濃く感じ、意識する環境で育つ。大学卒業と共に電機メーカーで商品企画やマーケティング関連職に従事。 女性管理職＆家族帯同（夫、娘2人）のレアな（？）かたちでの海外赴任（英国）。日々すったもんだしながら過ごしています。

グローバルレポート7月のテーマは「多様性」。 英語ではDiversity（ダイバーシティ）と言います。多様性とは、年齢、性別、人種、国籍や肌の色、障害の有無など外的な要因だけでなく、経験、趣味嗜好、価値観や習慣​​など内的な要素も含みます。いろいろな民族によって成り立っている外国と比べて、単一国民国家の日本ではなかなか根付くことが難しい考え方かもしれません。移民大国のアメリカでは古くから人種差別や女性解放運動がなど、社会問題を背景として差別撤廃運動が盛んに行われてきました。スウェーデンなど北欧の国々もダイバーシティ先進国として紹介されますよね。 日本でも近年では企業の人事関係ではとても重要な取り組みになっています。ダイバーシティと同様に重要視されているのがInclusion（インクルージョン）です。インクルージョンとは、「包括」「一体性」といった意味で、多種多様な人々が平等に機会を与えられるという意味になります。そこで、Soda!ファミリーレポーターのみなさんの生活する国々で、多様性を感じることについてレポートしていただきました。

<h2>イギリスって青い目をした白い肌で英語を話す人の国だと思っていたら</h2>我が家の娘が通う小学校は、イギリスの現地公立校です。こちらのYear 3（日本でいう小学2年生）に編入したときから、今日まで日本人の生徒はいません。 たった一人の日本人が、下調べもほとんどせずに、「ザ・ブリティッシュスクール」にボーンと入ってしまった、というのが実態です。 当時、周囲の日本人駐在員の子どもの多くは、私立やインターナショナルスクールに通われている子も多く、イギリスの現地公立校に通われている子が身近にいなかったため、どういう学校なのか全くわからず、家から通学圏で「とにかく早く学校決めなきゃ！」ということだけでこの学校を選びました。 当初、私自身がなんとなくイギリス現地公立校に抱いていたイメージは、青い目をした白い肌で英語を話す「イギリス人」の子どもたちがほとんどを占めている、といった私自身がステレオタイプ化したものでした。 しかし、実際に通いだすと、そこには、さまざまな国から、さまざまな容姿（肌の色、目の色、髪質・髪型）や国籍の子どもたちが通う、私自身のいだく「ザ・インターナショナルスクール」な学校でした。 日本人は私たちだけでしたが、中国、韓国、シンガポールなどのアジア系の子どもたちもいますし、インドやアフリカ、ロシア、アメリカをバックグラウンドに持つ子どもたちもいます。移民の多いイギリスゆえのことかと思います。（昨年の秋以降、香港からの移民が増えているようで、娘が通う小学校にも近年、香港からのご家族が増えているように感じます。）<h2>互いの文化背景等の「違い」をリスペクトする学校教育</h2>学校にいる間は、共通コミュニケーション言語は当然ながら「英語」です。 しかし、学校を離れるとそれぞれの家庭での主言語を家族とのコミュニケーションで使い、各家庭での宗教信仰心を大事にしているようです。 また、学校でもこのように人種、国籍、宗教の違いからくる「多様性」を是とし、小学校の授業の中でも互いの文化背景等の「違い」をリスペクトし、そのための理解を深める教育を行っているのだと思います。 その例の一つですが、我が家の娘も現地校への編入後、英語もままならない中、フランス語やスペイン語を学び挨拶程度のフレーズが言えるようになりました。 また、キリスト教以外の宗教（確か、ヒンズー教だったと思います）を学んできたり、古代エジプトを学んだときには古代エジプト人の恰好（コスプレ）をして登校したり、否応なしに、イギリスに居ながら、「インターナショナル」な多様性（？）をも体感することになり、コスプレ衣装をどうにかこうにか準備する親（私）の方は半信半疑で焦ったものです。

<h2>「障がい」は「個性」というあたりまえの違い</h2><a href="https://www.seiban-sodasoda.com/contents/global-report/detail/123/" target="“_brank”">先月の記事</a>でお伝えしたように、我が家の娘（次女）には歩行障がいがあります。また、英語を母国語としないための言語コミュニケーション上のハンディもあります。&nbsp; そんな次女の姿を先生方をはじめクラスメイトの子たちがどのように感じて、接しているのか、ときどき気になります。今までのところ、私自身が小学校のイベントに参加する際に垣間見た限りでは、とても「自然」です。 次女は校内の移動には歩行器を使っています。歩行器を使わない子どもたちの自然のリアクションとして、「それなんだろう？」という視線はあって当然ですし、街中を歩く際には、小さなお子さんとすれ違うときなどは、じーっと可愛い目で見つめられます。 学校内においては、すでに歩行器を使用して2年、また、他の学年にも同じように歩行器を使用している生徒もいるため、「この子には歩行器が必要なんだね。」という認識が子どもたちにされているだけ。それ以上でも、それ以下でもない、といった印象です。&nbsp; 次女については、歩行器を使用しているために機動性が高い状況になると動けない場面があります。 その際には、次女についてくださっているアシスタントの先生が多くの場面で支援くださりますが、印象的なのは、クラスメイトのお友達が、「自然」にすっとドアを開けてくれたり、ささーっと帰りの荷物やカバン、上着をとってきて、ひょいっと机の上にまとめてくれたりする光景です。&nbsp; 以前、先生方に「この子たちは、娘のサポートをしてくれる担当の子たちで当番制で対応してくれているのですか？」と聞いたことがあります。先生方いわく「いえ、彼女・彼らは自発的にやってくれています。」とのこと。&nbsp; この言葉にも、娘の障がいについて、構えることなく、それは「違い」であり、その「違い」によって困っているときやサポートできる場面があれば助けるのが当たり前、といったボランティア精神（イギリスはボランティアも盛んです）の表れなのだろうか、と思ったりします。<h2>違いを受け入れてくれるクラスメイトが考案した運動会の素敵なアイデア&nbsp; &nbsp;</h2>

「障がい」を「違い」として捉え、受け入れる傾向を象徴的に感じる嬉しいエピソードの一つにSports Dayという運動会の光景があります。 今年は2年ぶりにSports Dayが先日開催されました。次女にとっては小学校生活最後の運動会です。 Year 6ともなると、最後のリレーで盛り上がります。そのリレーに次女も歩行器で参加しました。もちろん、歩行に「違い」がある次女の参加の仕方はユニーク（リレーのトラックの半分から思いっきり歩行器で走る！）ですが、それは先生方、クラスメイト達が考えてくれたものです。 また、イギリスで人気の卵をスプーンで運ぶ競技（Egg &amp; Spoon）では、あらかじめスプーンに卵を糊で張り付けて固定したものを持って、思い切り走る！そして、今年は1等賞をいただきました！ 誰も、ずるーい、とか、それあり？とかいう人はいませんでした。むしろ、1等賞をとって喜んでいる次女と一緒に喜んでくれていた光景に心が温かくなりました。 次女自身も自分自身がほかの子たちと同じようには走れない、ということでの引け目を感じることなく（きっと）、Sports Dayを楽しむことができたように思います。 このようにイギリスの公立小学校で体験した「多様性」を認め合う教育。 私自身、渡英後に初めて、娘の障がいが明らかになっていった経緯もあり、現時点も親として試行錯誤な毎日の現在進行形です。そのため、イギリスと言えど、今後行く先々や出会う先々での対応や受け止め方の「多様性」や「違い」により、ちょっとしたほろ苦い経験やビタースイートな経験などもあるでしょう。 我が家の次女は7月でイギリスの小学校を卒業しました。次の9月からは中学生になります。イギリスの公立のSpecial school（支援学校）に進学予定です。どんな生活や経験が待っているのか、とても楽しみです。

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