<h4>キョウコ</h4>川崎生まれ、横浜育ち。ロサンゼルスやフィラデルフィアでの米国生活を通じ、タイバーシティを色濃く感じ、意識する環境で育つ。大学卒業と共に電機メーカーで商品企画やマーケティング関連職に従事。&nbsp; 女性管理職＆家族帯同（夫、娘2人）のレアな（？）かたちでの海外赴任（英国）。日々すったもんだしながら過ごしています。

今月のテーマは「ワークライフバランス」海外在住Sodaファミリーレポーター​​の皆さんが、それぞれの国で、仕事と家庭、そして自分自身の生き方をどのようにバランスをとっているのかレポートしていただきました。日本では働き方改革のひとつとして使われているこの言葉。 なんとなく、仕事とプライベートが対局にあるニュアンスがあるのではないでしょうか。けれど、仕事も家庭も生活も、すべて同じ個人の人生に含まれているもの。 近年では、相反する関係ではなく、相互によりよい影響を与えるもの、という意味の「ワーク・ライフ・インテグレーション」という概念が一番新しい考え方とされています。 各国のレポートを読んでいるとこちらの概念の方が近いなと感じました。さて、日本と海外ではどのように違うのでしょうか。※関連記事 内閣府の「仕事と生活の調和」推進サイト <a href="https://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/20barrier_html/20html/charter.html" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/20barrier_html/20html/charter.html</a>コラム「IBM流『公私混同型』の新しい働き方とは」 <a href="https://wwwa.cao.go.jp/wlb/e-mailmagazine/backnumber/033/index.html#p01">https://wwwa.cao.go.jp/wlb/e-mailmagazine/backnumber/033/index.html#p01</a>

<h2>綱渡り的な日々を過ごした日本での私のワーママスタイル</h2> この「ワークライフバランス」という言葉を頭の片隅に置き始めて、はや20年。約20年前、長女の産休・育休で当時1年3か月のお休みを頂いた後、フルスロットルで仕事復帰。 当時、制度はあっても、まだまだ男性（父親）が育休などを取得するカルチャーがなかったため、人事に相談しても、「いやー、男性社員で育休取った人いませんよ」的な返しが来て、 「やばい、こんなことを聞いた私は間違いを犯したかも！！」と不安と後悔でいっぱいになったことを思い出します。そんなときに、当時、英国赴任中の同期男性が、「第2子の誕生のため、1～2週間（だったと思う）のパタニティリーブ（パパの育休）取得のためにお休みします」と連絡を受け取ったことが衝撃的な印象として記憶に残っています。なんと進歩的で海外って感じ！（いまは、本社の方々は男性育児休暇として3か月取得する方々も大勢います。）一方の私は、20件以上の保育園を見学したものの、当時1歳児の枠は園によっては1～2名のみの募集で当然、待機状況。やっと無認可保育園の空きをみつけて、仕事復帰。その半年後に、幸運にも認可園の空きに滑り込み。ただし、距離的に自宅からは車での登園となるため、通勤用に駅前駐車場を借り、登園後には電車に飛び乗り、片道1時間半の通勤。そして、帰りは、その逆のプロセスを踏む。しかも、お迎え時間（毎度ギリギリ）に猛ダッシュ。 常に頭の中はフル回転で全く余裕のない生活。そして、月に一度の海外出張時には実家の両親や主人に娘たちをお願いして、ヘトヘト、ボロボロな日々。 娘たちが就学した後も、学校の行事参加も最低限しかできず、宿題などもほとんど見てあげる余裕がなかったです（反省）。こんな綱渡り的な日々を過ごしてきていた日本での私のワーママスタイル。これを「ワークライフバランス」がとれていると言えるのか、言えないのか。 どうにかこうにか綱渡りな日々をこなしていたので、昨日はワーク70、ライフ30だったな。今日はワーク80、ライフ20。これで良いのかな？と思いつつ突っ走らざるを得ない感じでした。

<h2>英国での「ワークライフバランス」状況はいかに？</h2> 時は経て、2018年秋。イギリス勤務となった私自身は、イギリス生活に慣れることでドタバタした毎日でしたが、ふと気づくと、ローカルメンバーたちは「ライフ重視型」就業。法的にも、価値観的にも納得する日々。 まず、小学校の登下校は保護者送迎が義務付けられています。そのため、15時過ぎになると学校の校門の前で子どもたちが教室から出てくるのを待つ必要があり、共働きのご家庭では、お父さんもお母さんも仕事を切り上げたり、一旦席を外して迎えに行くのが一般的。 そのため「今日の15時からの打ち合わせには出れません」と堂々とおっしゃいますし、皆、了解します。ちなみに、我が家は利用したことはなかったのですが、日本の学童のような位置づけの「アフタースクールクラブ※」というものもあるようです。 <a href="https://chiik.jp/m27af/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">※出典：働くパパママの味方！イギリスのアフタースクールクラブとは？ - Chiik!（チーク） -乳幼児～小学生までの知育・教育メディア-</a>また、感心するのは、周囲の同僚たち（もちろん大人）の就寝時間がとても早いこと。夜22時、中には20時という人も！しかし、朝はめっぽう強いのか、あるいは朝型なのか、朝6時過ぎにはオフィスに来て会社のジムで一汗かいてから仕事開始するメンバーもいます。そして、午後4時過ぎには帰宅する。 基本、残業はしないようで、夕方5時前にはオフィス内はガラガラになります。（もちろん、大事な会議が夕方にセットされたときにはちゃんと出席してくれますが）

小さなお子さんがいる男性社員の中には、午後4時過ぎになると奥様から電話がかかってきて「今日は何時に帰るの？夕飯よろしくね」とのこと。お子さんたちの夕飯（17時半ごろに食べさせる）の準備のために帰宅してきます。 「早く帰らないとカミさんに怒られるので帰るよ！」と言って、育児、家事の役割を果たすためにササッと帰宅します。（もちろん必要があれば残ったり、子どもの就寝後、午後8時過ぎにメールチェックをして緊急の残務対応をされたりはします）そして、有給休暇もばっちり取得・消化します。 私の働く現地法人の会社では、毎年7月に新たに年次休暇が発生するので、6月末までに消化することになります。中には6月に溜まっていた休暇を2－3週間取得して早めのバカンスを楽しむ人もいます。こういう姿を横目で見つつ、まだまだ昭和なニッポンスタイルが残る私の働き方はいまいちイケていないのですが、それでも、日本に居た当時のあくせくと仕事もプライベートも一日に何件も詰め込むがむしゃらな動き方からすると、英国風の時間の流れに大分慣れてきて、人にも優しくなれてきたように思います（笑）。 そして、遅ればせながら（でも、まだまだですが…）、娘たちの学校関係、病院関係などに自分自身が赴き、それぞれの状況を把握、理解できるようになってきました。そして、娘たちや夫ともじっくりと会話し、理解し、向き合い、触れ合うことができるようになったと思います。娘たちと休日に、ソファでベタベタ、ゴロゴロしてまったりしたりしている姿を俯瞰して、母親らしいなぁ、と思ったり（笑）。

渡英当初は、あれも、これもと日本のペースでやろうとして、できないとイラっとしたり、落ち込んだりと悩むことも多々ありましたが、当時先輩だった女性の駐在員の方から 「もう違う環境で毎日、無事生活して、仕事して生きている。それだけで、十分頑張っているんだから！いいの、いいの」という言葉にとても救われたことを思い出します。 最近は、改めてLife for Work ではなく、Work for Lifeであることを意識するようになってきています。そういえば、巷では、「ワークライフバランス」は古くて、「ワークインライフ」（「人生・生活の中に仕事を取り込む」）という考え方が主流になってきているようですね。

2023年11月のテーマ「ワークライフバランス」

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