<h4>ポーン</h4>生まれも育ちも仙台。牛タン＆笹かま大好き。アメリカで大学生活を過ごし、通訳の仕事をしながら旦那と出会い、結婚。専業主婦歴20余年。下は5歳児から上は大学生まで、4児の母。スターバックス発祥の地シアトル在住子育て中。（おかげでコーヒー飲めるようになりました！）チェスは初心者。クイーンになりたいポーン、ただいま精進中。

2024年5月のテーマは「海外の防災・防犯事情を調査してみた」。地震大国日本では、元旦の能登半島地震に続いて各地で地震が多発しており、防災への関心が高まっています。 もしものとき、どうするか、親子で防災・防犯について相談しておきたいですね。海外の防災事情はどうなんでしょうか。 火山が多い国、自然より防犯が重要な国。各国事情によってさまざまですが、多様な視点は日本でも参考になることが多いです。令和6年能登半島地震において、犠牲となられた方々のご冥福を心からお祈りするとともに、被災されたすべての方々にお見舞いを申し上げます。被災地域の皆様の安全と、1日も早い復興をお祈りいたします。

アメリカの学校で行われる避難訓練には日本同様、いくつかの種類があります。 地震や火災の避難訓練も行いますが、不審者対応のロックダウンを想定したものが、アメリカでは一番身近で現実味がある避難訓練です。毎日のように繰り返される銃撃事件は悲しいことに学校でも起きていて、2021年度、その数は300を超えました。 ときどき、学校に送られてくる銃撃の脅迫による休校などもあり、不審者が学校に侵入してくるリスクがあることを、たくさんの人が心配しながら暮らしています。たとえ不審者が校内に入って来ることがなくても、学校の周りで不審な事件があった場合はロックダウンをします。 実際、うちの子どもたちもロックダウンの経験をしていますが、学校から家にロックダウン中だという連絡が来るのは最悪です。それでも、その連絡と同時に結局何事もなかった、という報告があることに安堵するのです。学校の入り口には常時鍵がかかっています。 カメラで誰が入るのかチェックをしてからドアが開けられるシステムになっているので、警備がしっかりとされていますが、学校での銃撃事件は親にとっても子どもにとっても悪夢でしかありません。

<h2>性犯罪歴を情報公開するメーガン法</h2>

また、アメリカにはメーガン法という連邦法があり、性犯罪歴のある人の登録と情報公開が義務付けられています。 実際、私たちも家を購入するときなどに家や学校の周りに性犯罪者がいるかどうか確認をしました。実際に公開されているサイトへ行くと、本当に性犯罪者が近所にいることに気づかされます。 小学校では基本、子どもたちだけで登下校することはないので安心ですが、中学校くらいからはお友だちと一緒に歩いて帰る子どもたちも増えます。 そういうときは、あの道路やあの家は避けるようにというアドバイスをしますが、それでも不安が拭いきれません。私たちが学校でボランティアをする場合も学区に名前と情報を登録し、性犯罪歴がないことを確認されてから許可が下ります。アメリカでは仕事やボランティアをする時に性犯罪歴や薬物検査が必要なのがスタンダードです。<h2> GPS代わりにアップルウォッチで誘拐から子どもを守るアメリカ人</h2>

それでも、実際に誰かが誘拐されると発動するのがアンバーアラート（誘拐速報）です。 すべての携帯でけたたましい音の警報が一斉に鳴り、どんな車で連れ去られ、どんな子を探しているか情報が流れてきます。飛び上がるほどの音ですが、残念なことに「またか」というほど結構鳴ります。

アメリカの誘拐は、見知らぬ人の連れ去りより身近な人の連れ去りが多いので、どの車で誰に連れ去られたかはっきりしている場合が少なくありません。 日本のように小学生が持つ子ども専用の携帯などはアメリカで売っていないので、GPS代わりにApple Watchをしている子どもたちが増えています。 カバンなどに入れておく携帯よりも腕時計の方が安心ということから、子ども向きだと思っている親が増えてきているようです。 &nbsp;<h2>自然災害に対する意識や防災意識は低い？</h2>自然災害の対策はどうでしょう。 日本に比べたら、アメリカの自然災害に対する意識や防災意識は断然低いのですが、災害が全くないわけではありません。 ここシアトルではすぐ西で二つのプレートが交わっていて、たくさんの断層があることから、ときどき大きな地震が発生します。2001年にはマグニチュード6を超える地震で建物が崩壊し、700人以上が怪我をしました。（あの時の写真で被害を見ると亡くなった人が心臓発作で1名だけなのに驚かされます。）また、1980年にはシアトルとポートランドの間にあるセント・へレンズ山の大噴火がありました。2004年にも火山活動が活発化し、火山灰が降り注いだため、多くの人が警戒しましたが、2008年には終息宣言が出ています。ときどき、次に噴火したら大変なことになるよという話を聞きますが、実際その噴火に備えている人はあまり見ない気がします。 最近、お友だち家族に頼まれて、ご高齢のご夫妻が亡くなった家を片付けに行きました。 そのご夫妻は敬虔なキリスト教徒で、教えに緊急時用の食糧や水を備えるということを信じている方たちでした。ガレージには1970年代の缶詰や保存食、水も大きな樽に3、4つ置いてありました。 もしかしたら、私が知らないだけで非常用の備えを準備している家庭がもっといるのかもしれませんが、周りの人と話してみると日本よりも防災の意識は低そうだなと感じています。

<h2>災害より銃が怖いアメリカ。日本人の助け合いの精神を誇りに思う</h2>学校でも地震や火災用の避難訓練をしていますが、万が一、何かあったとき、本当に怖いのはこの国には銃を持っている人がいるということです。それが一番の懸念点です。想像するのも悲しいけれど、備えも何もない人が銃を持っていたら、略奪なども当たり前のように起きるのでしょう。 旦那が冗談半分で「防災用に備えがあるなんて知られたら、略奪の対象になりそうじゃない？」と言っていましたが、この国なら本当にそんなこともありそうなのが残念です。

日本で大きな地震に見舞われて大変な思いをした経験者がたくさんいると思います。それでも、辛くて大変な環境の中で、お互い譲り合い、助け合っている方を見るとその素晴らしい国民性を誇りに思い、感銘を受けます。万が一、ここで何かあっても同じ日本人として譲り合いの精神や助け合いの精神は忘れないでいたいものです。

2024年5月のテーマ「海外の防災・防犯事情を調査してみた」

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