<h4>ポーン</h4>生まれも育ちも仙台。牛タン＆笹かま大好き。アメリカで大学生活を過ごし、通訳の仕事をしながら旦那と出会い、結婚。専業主婦歴20余年。下は5歳児から上は大学生まで、4児の母。スターバックス発祥の地シアトル在住子育て中。（おかげでコーヒー飲めるようになりました！）チェスは初心者。クイーンになりたいポーン、ただいま精進中。

そろそろクリスマスや年末年始を意識する季節となりました。 そこで、今月は各国のプレゼント文化についてレポートしてもらいした。 みなさんは、お誕生日、父の日、母の日、そしてクリスマス…プレゼント、どうしてますか？実は日本と海外では『プレゼント』に対する価値観が違ったりします。 お国柄やファミリーレポーターの方々の家庭事情などが垣間見えるレポートです。

今月、10月のテーマは「プレゼント」です。クリスマスまで2か月以上もありますが、アメリカでは夏休みが終わるとコストコにクリスマスツリーやラッピングペーパーが売られ始めます。 やっと夏が終わり、秋の気分を楽しんでいるのに、気が早いなぁと毎年感じますが、クリスマスはプレゼントを買う方も売る方も一大イベントです。気合いを入れて、早めに勝負…もとい、準備をしたい人がたくさんいるのでしょう。

<h2>11月からのクリスマスショッピングで1年分の赤字を黒字に？</h2>雑貨屋さんでバイトをしていたときに店長に教えてもらったことですが、1月から10月までのお店の売り上げは赤字で、11月あたりからのクリスマスショッピングで一年分の赤字を黒字にひっくり返しているそうです。 恐るべきクリスマスパワー。アメリカ人のクリスマスにかける気合いは生半可なものではありません。私が子どもだったころのクリスマスは、サンタさんに一つプレゼントをお願いして、いい子にしていると枕元にそのプレゼントが置いてあるというものでした。 「いい子にしないともらえない。」「ひとつだけもらえる。」「当日の朝までわからない。」そんなワクワク・ドキドキを感じながら楽しみにしていたのを覚えています。 サンタさんなんて本当にいるんだろうかと疑って、プレゼントが隠されていないかクリスマスイブに家じゅうを探し回り、どこにもないプレゼントにサンタさんの存在を確信したことも良い思い出です。 自分が母になり、子どもができたら同じようなクリスマスを過ごすのだと思っていましたが、アメリカ人の旦那と結婚したことで私のクリスマスは大きく変わってしまいました。<h2> クリスマスプレゼントは誰から？</h2>まずは、最初の大きな変化の一つです。「サンタさんから一つだけプレゼントがもらえる」クリスマスが「家族・親戚・友だちから大量のプレゼントをもらう」クリスマスになったことです。 それは子どもが生まれて初めてのクリスマスでした。 クリスマス前にいくつものパッケージが義母や義妹から家に届き、その中には新しいパジャマ、新しい本、新しいコップ、新しいキッチン用品、新しいおもちゃ、ギフトカード、お菓子etc…これが子どもの人数分＋私たちの夫婦分届いたのです。 ありがたいけど、これは多すぎるのでは…という莫大な量のプレゼント。 そこに、孫をかわいいと思うのは私も一緒！と日本の母も参戦。数えきれないプレゼントでクリスマスツリーの下がごった返していたことを思い出します。

日本と異なり、アメリカのお店ではプレゼントのラッピングをしてくれないのでそっちでラッピングしてね、と言われたこともしばしば。 義母用のラッピングペーパー、義妹用のラッピングペーパーと準備をし、せっせとラッピングをする毎日をクリスマスまで過ごしていたのでした。 赤ちゃんだった子どもたちが大きくなり、欲しいものがしっかりと認識できるようになると、また新たな変化、問題が発生しました。義母がクリスマス前に何が欲しいのか本人たちに聞くようになっていったのです。 「欲しいものはひとつだけサンタさんにお願いする」このシステムが成立しなくなっていきました。 子どもたちはとても賢く、計算高いので「こっちをおばあちゃんが買って、こっちはサンタさん、日本のおばあちゃんはアレかな。ママとパパにはアレを頼もう。」クリスマス前にその品物と担当が書かれたメモをつくったりするようになってしまったのです。 クリスマススピリットを全く感じない現実的なやりとりに、げんなりする私と、年に一回だからと大盤振る舞いしたい義母。 お礼の電話をしつつ、毎年もらいすぎて申し訳ないから、やんわりと「次からはこんなにいらないです」と言ってみても「クリスマスくらいいいじゃない？これがクリスマスよ！」と断られる。このやりとりを何年もくり返したのも義母が亡くなった今では懐かしい素敵な思い出です。

ただ、やはり物を大切にするという視点で、プレゼントはひとつくらいがちょうどいいのでは、という思いはいまでも消せません。 あれもこれも欲しい。欲しかったら頼めばもらえるということが、子どもにとっていいとは思えないのですが、子どもたち＋旦那家族VS私の多数決、プラス「ここはアメリカ。郷に入っては郷に従え」とアメリカ式のクリスマスが私たち家族のクリスマスのかたちとなっていってしまいました。

<h2>欲しいものをリクエストするレジストリーって？</h2>アメリカでは、プレゼントの選び方も日本とは異なります。 結婚式や子どもが産まれるときなどに「レジストリー」という自分の欲しいもののリストを共有し、お祝いしたい人がそのリストから贈り物を選ぶというシステムがあります。もらう人は欲しいものがもらえ、あげる側も予算に合わせてもらう人の欲しいものがあげられるという理にかなった合理的なシステムです。

レジストリーが主流なアメリカは、お誕生日に欲しいものはあるか前もって聞いたり、お誕生日会のカードに子どもの好きなものを書いたりするのもあたりまえのようにあります。 とっても合理的でいいとわかっている反面、古くさい日本人の私は、欲しいものをリスト化して渡すなんて図々しくてできないと、レジストリーの経験がありません。あげる方も欲しいものがわかって、もらう方も欲しいものがもらえるって合理的でいい方法なんですけどね…。今年もまたクリスマスがやってきます。子どもたちのプレゼント選びに悩みながら、クリスマスが大好きだった義母のことを思い出すことでしょう。

2024年10月のテーマ「プレゼントについて」

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