<h4>ポーン</h4>生まれも育ちも仙台。牛タン＆笹かま大好き。アメリカで大学生活を過ごし、通訳の仕事をしながら旦那と出会い、結婚。専業主婦歴20余年。下は5歳児から上は大学生まで、4児の母。スターバックス発祥の地シアトル在住子育て中。（おかげでコーヒー飲めるようになりました！）チェスは初心者。クイーンになりたいポーン、ただいま精進中。

コロナパンデミックによって、世界中の子どもたちを取り巻く環境は大きく変わりました。 国によって違いはあるにせよ、子どもたちの心と体の健康をどう守ればいいのか、改めて考えた方も多いかと思います。 今月は「子どもの健康について」というテーマを選んでみました。 皆さん、お住まいの国もお子さんの年齢も違う中で、何に気をつけているでしょうか。

シアトルも、10月からは朝夕がたいぶ肌寒くなってきました。長袖の上着は欠かせなくなるこの季節、どうしても体調を崩しやすくなります。アメリカに住んでいて、違和感や不便を感じずにいられないのが、医療制度と健康保険の実態です。日本に住んでいたころは、「風邪をひいたら、お医者さんに診てもらう」。これがごくごく当たり前のことで、疑問に思うことも一切なかったのですが、アメリカで子育てをし始めてからは、お医者さんに診てもらうことが格段と減っていきました。 その理由はいくつもあるので、今回はその話から始めていきましょう。<h2> アメリカでお医者さんにかからなくなった理由-その1</h2>

早急にお医者さんに診てもらうために病院に連れて行っていました。しかし、症状に合わせて調薬してもらうことなどはほとんどなく、基本、「市販の解熱剤『Tylenol（アセトアミノフェン）』を飲みましょう。」と言われるのみ。胃腸風邪の場合でも「脱水症状にならないようにスポーツドリンクを飲ませておいてね。」とアドバイスをもらう程度。大病でない診断に安心はするものの、どこかガッカリに近いかたちで診察を終えていたのでした。そんな診療や診断が続いたこともあって、いまでは風邪くらいではお医者さんには行かなくなりました。痛みや発熱で辛かったら、アセトアミノフェン。それが効かなかったら、別の解熱剤のイブプロフェン。解熱剤を常備するようになり、お医者さんはそれでも治らないときや抗生物質が必要そうなときに行くところという大きな意識改革がされました。

<h2>アメリカでお医者さんにかからなくなった理由-その2</h2>日本に比べて、アメリカの保険制度はとても面倒くさいし、医療費が高いということがふたつめの理由です。アメリカではどの会社の健康保険に入っているか、どのプランに入っているか、どの医療機関に行くかによって、患者が支払う負担額が大きく異なります。日本の国民健康保険のように、国が提供している保険はアメリカにはありません。 低所得者には低コストで州から買える保険（メディケイド）があり、基本的な医療費のカバーをしてくれます。また、65歳以上の高齢者および障害者対象の保険（メディケア）があります。 しかし、これらに該当しない一般の人は民間の医療保険を払っており、その保険料や医療費があまりにも高いので、公的保険が税金によってカバーされていることに不公平さを感じたり、反対している人もいるというのがアメリカの残念な現実でもあります。アメリカでは、病院にかかるとき、基本的には自分が加入している保険会社がカバーするネットワークに入っている医療機関から自分に合ったところを選び、診察をしてもらいます。 プライマリケアというかかりつけのお医者さんがいる人も多いですが、そのようなかかりつけのお医者さんがいない人は『walk inクリニック』という予約なしでいける医療機関で診てもらいます。いずれのケースも、自分の加入している保険がカバーしていないネットワーク以外の病院に行ったり、その場で思いがけない検査をしたりすると、後日高い請求書がくることになります。現に、先日、腰を痛めて動けなくなり、救急で検査、痛み止めの注射を打ってもらったのですが、後日の請求書は保険がカバーした金額を引いても、請求額は1,000ドル（15万円）を超えていました。 日本で腰痛のために通院した整骨院は国民保険なしでも毎回数千円。しかも、毎回、確実に改善していくという効果つきです。アメリカの診療費で、あの先生をこちらに呼ぶ飛行機代に充てたいくらいです。

<h2>アメリカでお医者さんにかからなくなった理由-その3</h2>日本だと外科、内科、整形外科、耳鼻科、眼科と自分の症状に合わせて専門医に診てもらうことが可能ですが、こちらでは基本、一般のお医者さんから紹介してもらわないと専門医に診てもらうことはできません。しかも、たとえ紹介をしてもらっても確実に診てもらえるとは限りません。娘が小児科の先生にseparation anxiety（分離不安症）が強いので、セラピーに行ってみたらどうですかと言われたときのこと。セラピストの予約をしようと何度か連絡したのですが、留守番電話でなかなか繋がりません。 これはアメリカの電話あるあるです。コールセンターなどに電話して人と話すまでに1時間待ちとかも珍しくありませんし、「やっと繋がったと思ったら切られる」というのもあるあるなのです。数週間後やっと折り返し電話があり、予約をお願いすると順番待ちに名前を入れておきますと言われました。しかも、順番待ちのリストは1ヶ月するとリフレッシュされて消えるので、1ヶ月待って電話がなかったら、また電話をくださいとのこと。小児科の先生曰く、コロナ後はいままで以上にセラピーや精神科が混んでいるらしく、予約が取りにくいそうです。結局、いま現在もセラピストの予約はとれず、少しずつ改善している娘の様子にこのまま改善していくことを信じて、見守っているというのが現状です。 予約の電話の際に、診察の理由なども詳しく聞かれたので、セラピーを要する緊急性の優先順位が低いと判断されたのかな、とも推測しています。<h2> 子どもたちの心のサポートのため学校にセラピードッグが駐在</h2>

10代の子どもたちの摂食障害も増えているそうで、心に不安を抱えている子どもが増えていることに気付かされました。 小学生や中学生でも体重を気にして食べることができなくなった子どもたちが専門家のアドバイスをもとに回復するための施設があるそうです。現地校には保健室の先生のほか、心のサポートをするためのスクールカウンセラーがいますが、そのほかに今年度からはセラピードッグが駐在するようになりました。 1年生の担任の先生がいつも一緒にいて、説明によると児童とスタッフに寄り添い、心の支えを目的としているそうです。

このように、アメリカと日本では医療や健康保険の制度が大きく異なります。基本的には日本の方がいいなとは思いますが、カリフォルニアに住んでいたころ、生まれたばかりの次男を診てくれた小児科の先生がアングロサクソン系に多い症状を見つけ、対応をしてくれたことがありました。私から見たら全く気にならない小さな症状でした。 手術をし、その後しばらくはヘルメット生活をしたのですが、もしかしたら、日本にいたら気づかなかったのかな、といまでも感謝しています。 どの国にいても、お医者さんは何かあったときにはやはり診てもらえて、治してもらえるありがたい存在なのは変わらないのかもしれません。

2024年11月のテーマ「子どもの健康について」

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