ほっとSoda情報局

ライター／みっちー イギリス北部スコットランド在住。大阪生まれ、神戸育ち。 大学在学中に北米へ留学し英語と仏語を学ぶ。 大学卒業後、日系商社に勤務。 2011年結婚を機にスコットランドに移住。 2013年に長女、2017年に長男を出産。 現在は子育てをしながら日本語教師として働く一方、 フリーランスライターとして企業様のHP、コンテンツ、ブログ、メルマガなど幅広く執筆中。 趣味は読書、エクササイズ、家庭菜園。

みっちーのスコットランド流子育て<h2>まさか異国の地で母になり、子どもを育てることになるなんて</h2>結婚を機に生まれ育った関西を飛び出し、イギリス北部のスコットランドにある小さな田舎町で子育てをはじめてもうすぐ丸11年。スコットランドに移住することになった当初は、自分がまさか異国の地で母になり、子どもを育てるイメージなんてまったく持っていませんでした。実際に上の子が生まれた2013年はスマホも普及途中で、今のようにたくさんアプリがあるわけでもなく。家族から日本の育児書を送ってもらったり、インターネットから「たまひよ」のような育児情報サイトにアクセスしていました。しかし、日本の育児情報が全てスコットランドでもあてはまるわけではありません。 「こんなベビーグッズ、こっちにはない！」「こんな育児、こっちでは無理！」と子育ての違いに戸惑っていました。初めての子育てに育児の違いも相まって「何が正しくて自分はどうしたらいいのかわからん！」状態。手探りで「自分の子育てスタイル」を模索しながら今に至ります。 その手探り状態はいまも絶賛継続中で「自分の子育てがどうなのか、ぶっちゃけよくわからん！」というのが正直な気持ちです（笑）そんな手探りの中でも思っているのは「日本／スコットランドでは～」とか「まわりはこうだから～」と型にはめるのではなく「『コレ、いいかも！』『これはウチにあってるかも！』と思うことをどんどん真似していきたい」ということ。なので私は住む国や一般論に関係なく、周りを見て「いいとこ取り育児」をしているのかもしれません。

<h2>どうして私はこんなに子どもにダメダメ言ってしまうんだろう</h2>そんな私が、子育ての最初の方に気づいたのが「子どもへの声かけ」でした。 上の子の幼少期、私は「～しちゃダメ」や「～しないで」という禁止文句を四六時中使っていました。公園では、 「お友達のおもちゃは取っちゃダメ。」 「順番抜かししちゃダメ。」レストランやスーパーでは 「ここでは走らないで。」 「触っちゃダメ。」病院の待合室や図書館では 「大きな声出さないで。」家でも 「好き嫌いしちゃダメ。」 「壁にシール貼っちゃダメ。」とにかく毎日ダメ、ダメ、ダメ……の連続。 私はシンデレラに出てくる意地悪な継母か！というぐらい性格の悪い母親でした（笑）「ダメ」と言いたいわけではないのに「どうして私はこんなに子どもにダメダメ言ってしまうんだろう？」と悶々とする日々。子どもには伸び伸びと育ってもらいたいと思っていたはず。そして私自身も穏やかな気持ちで子どもの成長を楽しみたいと思っていたはず。 なのに、「わざとなの？」と思うくらい、私がやってほしくないことばかりするので、子どもから目を離せない。 心に余裕が持てず、楽しさや嬉しさよりもストレスの方がウエイト大、と思い描いていた子育てとはかけ離れた現実にモヤモヤする毎日。

親戚の家に行くと、子どもが食器やインテリアを壊してしまったり家具や床を汚してしまい「謝る私」が定番の光景になっていました。本当に肩身が狭かったデス（苦笑）そして、気づけば「ダメ」「～しないで」という言葉が口をついて出るようになっていました。子どもの好奇心や自由を制限しているような気持ちになり、「私の子育てって厳しすぎるのか……？」と子育てのやり方がわからず途方に暮れたり、「もしかして、私って毒親かも……。」 「そもそも私はどうして毎日こんなにイライラしてるんだ？」と自己嫌悪に陥ってモヤモヤ。このように「声かけ」で思い悩んでいる時、周りのママたちを見てみると、驚いたことに誰も「ダメ！」や「～しないで！」という禁止文句を使っていないことに気がついたのです。子どもの扱いもすごく上手く見えて、まるでインフルエンサーママのように笑顔で育児している姿が印象的でした。すぐに「真似したい！」と思い、周りをお手本に自分の声かけを意識して変えてみたところ、子どもが扱いやすくなったような手応えがありました。「子どもに対する声かけって、こういうふうに変えられるんだ！」とママとしての自信を少し取り戻せたのと同時に「声かけを変えるだけで、こんなに子どものリアクションが変わるものなのか！」と子どもの反応の違いにもビックリ。自分が意識して声かけを変えることで、子どもの反応が変わる――。そして、子どもの反応が変わることで、私も笑顔で子育てできる時間が増えたのです。そんなスコットランドで私が発見した魔法の声かけテクニックを5つご紹介したいと思います。 &nbsp;<h2>子どもが自分をどんどん好きになるスコットランド流魔法の声かけ</h2><h3>その1　「一緒に仲良く使おうね！」～「してほしいこと」を伝える</h3>

「他の子のおもちゃ取っちゃダメ！」って言わないの？！就学前、公園で遊んでいたときにウチの子が他の子の砂遊びセットを取って使い始めたことがありました。「それ私の！」と取り返そうとする子と、手に持ったおもちゃを離さない我が子。こんなとき、私はいつもマッハで子どものもとへ走り、「他の子のおもちゃ取っちゃダメ！」と子どもの手からおもちゃを取り上げ、持ち主に「ごめんね～」と返していました。 そんなことがいつも起こるので、挙句の果てには一言「アカーーーン！（お祭り男か！）」と絶叫するありさま（笑）いま思えばまわりのママたちには「むっちゃ厳しくてストレスMAXのアジア人ママ」と思われていたかもしれません（笑）しかし別の日、他の子がウチの子のおもちゃを取っても現地のママたちは「他の子のもの取ったらダメ！」なんて言っていなくてビックリしました。他のママたちが言っていたのは、「一緒に仲良く使おうね！（Sharing!）」の一言。 「え？他人のものを取っちゃダメ」って言わないの？と呆気にとられました。こっちの人は怒らないんだ……。 注意とかしないものなのか……。自分の中になかった何かに気づいた瞬間でした。

『してほしくないこと』ではなく『してほしいこと』を言葉で伝えるそんな小さな違和感を持ちながらすべり台を見てみると、子どもたちはみんな順番抜かしをしようとしたり、前の子を後ろから押したり。ちょっぴり危ないシーンもちらほら。「スコットランド人ママたちは、こんなとき、なんて言うんだろう？」 と思ってジーッと観察していると、「順番に滑ろうね」 「自分の順番を待つんだよ」 「前の子が滑り終わるまで待ちましょうね」 「前の子がすべり台の下からいなくなってから滑ってね」と言っていました。「言いたいことは同じはずなのに、私と言い方が全然違うではないか！ 私だったら『順番抜かししない！』とか『前の子押しちゃダメ！』って言っちゃいそうなのに‥‥」と思ったと同時に、伝えたいことは同じでも、別の伝え方があることにハッとしました。こっちのママたちは『してほしくないこと』ではなく『してほしいこと』を言葉にして子どもに伝えているんだと気が付いたのです。これは現地の学校でも積極的に取り入れている声かけ法で 「廊下は走らない」ではなく「廊下は歩きましょう」と言うそうです。 子どもたちが喋ってペアワークが進んでいない時も「しゃべるのやめなさい」ではなく「ノートを開いて、タスクをして。5分後に各ペアずつ発表しますよ」と、子どもにしてもらいたい行動を具体的に指示するそう。「～しちゃダメ！声かけ」から「して欲しいことを伝える声かけ」に変えるときは、自分の考え方やものの見方のクセを変える必要がありました。「してほしくないこと」から「してほしい行動」へ意識を変えることが、簡単なようで意外に難しいのです。しかしこの声かけを実践すると、子どもにとっても、とるべき行動がわかりやすく伝わるのか、コミュニケーションがスムーズになりました。「いつも言ってるでしょ」や「何度言ったらわかるの」なんて言葉も使わなくなりました。もちろん「アカーン！」も封印できるように（笑）<h3> その2　「ここまでは自分でできたね」　～結果ではなくプロセスに注目する</h3>

ジュースをこぼした子どもに「次はうまくできるといいね」ママ友のお宅へお邪魔したときに、お子さんが自分でコップにジュースを入れようとして派手にこぼしてしまったことがありました。ウチの子もよく飲み物をこぼすことはよくあったので、私は瞬時に「うわ～、テーブル全部ビチャビチャ。床のカーペットまでビチャビチャ‥片付け大変そう‥」とママ友に同情。そんなときでもママ友はイライラした様子なんてこれっぽっちも見せずに「こぼさないように、しっかりと見てたよね。それが大切なんだよ。次はうまくできるといいね」と言葉をかけていて「なんとデキた人間性の持ち主か……！」と感動しました。思えば、イギリス人の義理の母もウチの子どもたちの失敗に対して、いつも 「（結果はどうであれ）あなたは上手くやろうと頑張ったのよね」 と声をかけていたことを思い出しました。そこで気がついたのは、こちらのママたちは「うまくいかなかった結果に目を向けない」ということ。その前のプロセスをしっかりと見て、できていた点を褒めてあげていたのです。それ以前の私はというと、どうしても「うまくいかなかった結果」を見てしまいがち。子どもがコップに牛乳を注ごうとしてこぼしてしまったときも、ついつい 「ちゃんと見てないからでしょ～！あ゛～牛乳臭くなるのにぃ～！」 と小言を言ってしまっていました。だって、掃除をするのも洗濯するのも私の仕事。 後始末を考えると、どうしてもイラッとしたり、「はぁ～」と深いため息が出てしまっていたのです。

できない結果よりできているプロセスを褒めたら子どもが靴紐を練習していた時期もそうでした。 急いでいるときに限って、できない靴紐を結びたがる子どもに 「どうしてこの急いでるときにしたがる？！」とイライラ。 子どもが結局「できない～」とグズるとイライラは最高潮。 「だから、最初からママがやるって言ったでしょ！」「時間ないのにぃ～」と、やっぱり「できなかった結果」を見てしまっていました。ところが現地のママ友は靴紐をしたがる子どもに対して、「ひと結びまでは自分でできるようになったじゃない！いまは時間がないから続きはママがするね」と声をかけていました。 すると、その子も「やだ！自分でする！」と意固地にならず「うん」と素直に靴紐から手を離していたのです。子どもは経験値が少ないからうまくできません。そして不器用です。 この「結果ではなくプロセスを褒める」ことに気づいてからは 「これも練習、練習！回数を重ねたらできるようになる！」と自分のマインドセットを変えることができ、自分もおおらかに構えられるようになった気がします。 子どももブスッとすねたりすることが減りました。いまでは、下の子が盛大に飲み物をひっくり返したとき、身体がピクッ‥‥と反応してしまいつつも、深呼吸、深呼吸。 「こぼさないように注意してたよね。次こそはきっとできるよ（＝頼むから早くできるようになって）！」と言えるようになりました。私も成長した‥‥はず♪ ここまで子どもの行動や活動の場面での声かけのヒントをご紹介しました。 後編では、より子どもの心に寄り添う声かけについて残り3つをご紹介します。

‌