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【監修】中山　芳一（なかやま　よしかず） 岡山大学教育推進機構　准教授 ＜略　歴＞ 岡山大学教育学部卒業後、1999年当時は岡山県内に男性たった一人といわれた学童保育指導員として9年間在職。そこで、学童保育の研究が将来的な学童保育の充実に必要不可欠と確信し、教育方法学研究者の道へ方向転換する。 以降は、幼児教育から学校教育まで、様々な教育現場と連携した実践研究を進める中、岡山大学で学生たちのキャリア教育や課外活動支援を担当している。そして、20年以上に及ぶ教育実践の経験から、「非認知能力の育成」という共通点を見出し、全国各地で非認知能力の育成を中心とした教育実践の在り方を提唱している。 全国各地の教職員と協働で様々な非認知能力に関する課題解決を行う中で、授業や取組の質的な改善、荒れている学校の立て直しなどにも貢献する。これまでかかわってきた学校園は約100か所を数える。今年7月には文部科学省にて、100名を超える職員研修の講師も務めた。 ＜主な役職＞ ・All HEROs合同会社 代表 ・日本放課後学会 代表理事・岡山県子ども子育て会議 会長・岡山県教育委員会 夢育アドバイザー・文部科学省進路指導審査会 委員 &nbsp;・京都府第3次教育振興プラン検討会議 委員・京都府長岡京市教育委員会 顧問 &nbsp;・大阪府茨木市茨木っ子プラン アドバイザー・（一社）子ども學びデザイン研究所 所長 &nbsp;・（特非）日本放課後児童指導員協会　副理事長　など ＜主な著書＞ ・『「やってはいけない」子育て―非認知能力を育む6歳からの接し方』（2023年、日本能率協会マネジメントセンター、単著） ・『教師のための「非認知能力」の育て方』（2023年、明治図書、単著） ・『家庭、学校、職場で生かせる！自分と相手の非認知能力を伸ばすコツ』（2020年、東京書籍、単著） ・『学力テストで測れない非認知能力が子どもを伸ばす』（2018年、東京書籍、単著） ・『新しい時代の学童保育実践』（2017年、かもがわ出版、単著） ・『コミュニケーション実践入門』（2015年、かもがわ出版、単著） ・『東大メンタル―「ドラゴン桜」に学ぶやりたくないことでも結果を出す技術』（2021年、日経BP、共著） など

目次<ul><li>非認知能力とは &nbsp;</li><li>非認知能力が注目されている背景 ・幼児期に非認知能力を身につけた子どもは将来的に安泰な暮らしができるというデータがある ・個人のウェルビーイングを実現するために重要だと考えられている &nbsp;</li><li>非認知能力が高い人の特徴 ・自己効力感が高い ・精神状態が落ち着いている ・自主性がある ・自己認識が高い ・目標達成に向けて努力できる ・共感性が高い ・いろんな人とコミュニケーションが取れる &nbsp;</li><li>子どもの非認知能力の伸ばし方&nbsp;・肯定的な言葉かけをして褒める ・子どもが自分で決められるような選択肢を与える ・子どものやりたいことが実現できるような環境を整える ・子どもが非認知能力を発揮できるような機会をつくる &nbsp;</li><li>おすすめの非認知能力を鍛える遊び8選 ・ごっこ遊び ・積み木遊び／砂山遊び ・読み聞かせ／読書 ・自然遊び／公園遊び ・ボール遊び ・共通点探し ・お絵描き／工作 ・料理／お菓子づくり &nbsp;</li><li>【専門家に聞く！】子どもの非認知能力に関するFAQ ・周囲に意識を向けられるようになるにはどうすればいいですか？ ・粘り強さを身につけるにはどうすればいいですか？ ・諦めかけたときにどんな声掛けをすればいいですか？ ・怒りっぽいところを治す方法はありますか？ ・自己コントロールを高めるために親はどう働きかければいいですか？ ・社会性の育て方を知りたいです ・やる気を起こさせるスイッチはありますか？ ・自分で考える癖をつけるにはどうすればいいですか？ ・自己肯定感をあげる方法を知りたい ・大きく成長してからでも非認知能力をさらに伸ばすことはできますか？ &nbsp;</li><li>まとめ</li></ul>

近年、「非認知能力」という言葉が教育現場や企業において注目を集めています。従来の知能指数（IQ）や学力テストでは測れない、 「やる気」「忍耐力」「協調性」「自制心」 などの内面的な能力を指します。目に見えない力ゆえ、重要性が理解されにくかった非認知能力ですが、近年では、 人生の成功や幸福に大きな影響を与えることが多くの研究で明らかにされています。この記事では、 「非認知能力とは何か？なぜ重要なのか？」「どのように育むことができるのか？」について、わかりやすく解説していきます。 &nbsp;<h2>非認知能力とは</h2>

非認知能力とは、学力や知識といった認知能力とは異なり、人間性や社会性に関わる能力のことを指します。具体的には、自己効力感、自己制御力、協調性、コミュニケーション能力などが挙げられます。今回、セイバンが独自に小学生のお子さまを持つ保護者242名にアンケート調査をしたところ、「非認知能力を知っている」と回答した方が46.7％（113／242人中）、「非認知能力がなにか知らない」と回答した方が53.3％（129／242人中）となっており、非認知能力はまだ2人に１人が知っているかどうかという状況であることがわかりました。しかし、以前と比べてかなり知られるようになったともいえるでしょう。

とはいえ非認知能力という言葉は、ここ数年、目にする機会が多くなってきたとはいえ、その正確な意味を知らない人が多いといえます。この能力は学校の成績だけでなく、将来の社会生活や人生の質に大きな影響を与える重要なものと考えられています。 &nbsp;<h2>非認知能力が注目されている背景</h2>

そもそも非認知能力が注目されるようになった背景としては、以下のような研究データが発表されたことなどが挙げられます。<ul><li>幼児期に非認知能力を身につけた子どもは将来的に収入が高く犯罪率が低いというデータがある &nbsp;</li><li>個人のウェルビーイングを実現するために重要だと考えられている &nbsp;</li></ul><h3>幼児期に非認知能力を身につけた子どもは将来的に安泰な暮らしができるというデータがある</h3>アメリカの研究によると、幼児期に非認知能力を身につけた子どもは、大人になってからの収入が高く、犯罪率が低いというデータが出ています。これは、非認知能力が将来の社会生活に大きな影響を与えることを示唆しているといえます。参考：<a href="https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/youji/dai1/siryou3-2.pdf" target="_blank" rel="noopener noreferrer">内閣官房｜幼児教育無償化に関する関係閣僚・与党実務者連絡会議｜参考資料</a> &nbsp;<h3>個人のウェルビーイングを実現するために重要だと考えられている</h3>またOECD（経済協力開発機構）によると、非認知能力は個人の幸福感や生活の質を高めるために重要だと考えられています。詳しくは次章で紹介しますが、非認知能力が高い人の特徴として挙げられるのが、自己効力感の高さなどです。OECDの研究結果では、自己効力感が高く目標に向かって努力できる人は、ストレスに強く人生の満足度が高いとされています。つまり、非認知能力が高い人はウェルビーイングを実現しやすいといえるでしょう。参考：<a href="https://www.oecd.org/education/ceri/FosteringSocialAndEmotionalSkillsJAPANESE.pdf#page=12" target="_blank" rel="noopener noreferrer">OECD｜家庭、学校、地域社会における社会情動的スキルの育成</a> &nbsp;<h2>非認知能力が高い人の特徴</h2>

ここからは、非認知能力が高い人の特徴を詳しく紹介していきます。<ul><li>自己効力感が高い</li><li>精神状態が落ち着いている</li><li>自主性がある</li><li>自己認識が高い</li><li>目標達成に向けて努力できる</li><li>共感性が高い</li><li>いろんな人とコミュニケーションが取れる&nbsp;&nbsp;&nbsp; &nbsp;</li></ul><h3>自己効力感が高い</h3>自分自身を肯定的に捉え、自分の長所や価値を認識できる人は、自己効力感が高いといえます。 自己効力感が高い人は、自信を持って行動し、困難な状況でも前向きに取り組むことができます。<h3> 精神状態が落ち着いている</h3>感情をコントロールし、冷静に判断できる人は、精神状態が落ち着いているといえます。ストレスや困難な状況でも動揺せず、適切な対応ができます。 &nbsp;<h3>自主性がある</h3>自分で考え、自分の意思で行動できる人は、自主性があるといえます。周りに流されず、自分の価値観に基づいて行動することができます。 &nbsp;<h3>自己認識が高い</h3>自分の長所や短所、感情や行動パターンを理解している人は、自己認識が高いといえます。自分自身を客観的に捉えることで、適切な自己改善ができます。 &nbsp;<h3>目標達成に向けて努力できる</h3>目標を設定し、それに向かって粘り強く努力できる人は、困難な状況でも諦めず、工夫しながら目標達成に向けて取り組むことができます。困難な状況でも諦めず、工夫しながら目標達成に向けて取り組むことができます。 &nbsp;<h3>共感性が高い</h3>他者の感情や立場を理解し、思いやりを持って接することができる人は、共感性が高いといえます。良好な人間関係を築くことができ、チームワークを発揮しやすくなります。 &nbsp;<h3>いろんな人とコミュニケーションが取れる</h3>年齢や立場、文化の異なる人とも積極的にコミュニケーションを取ることができる人は、単に言葉でやり取りをするだけでなく、相手の感情を理解し、自分の考えを効果的に伝えられます。コミュニケーション能力が高い人は、非認知能力の中でも特に「共感力」「問題解決能力」「協調性」といった能力が高い傾向なので、仕事や人間関係においても強みになるでしょう。 &nbsp;<h2>子どもの非認知能力の伸ばし方</h2>

子どもの非認知能力を伸ばすには、家庭や学校での働きかけが重要です。非認知能力を育てるために家庭でできることとして、以下のようなものが挙げられます。<ul><li>肯定的な言葉かけをして褒める</li><li>子どもが自分で決められるような選択肢を与える</li><li>子どものやりたいことが実現できるような環境を整える</li><li>子どもが非認知能力を発揮できるような機会をつくる</li></ul><h3> 肯定的な言葉かけをして褒める</h3>子どもの良いところを見つけ、具体的に褒めることで、自己効力感や自己有能感を高めることができます。「よく頑張ったね」「あなたならできる」など、肯定的な言葉かけを心がけましょう。

【実際の保護者の声】<ul><li>気持ちの切り替えが出来たときは褒める！</li><li>人前では話せないが、家で発表の練習を大きな声でやっているときには、ものすごく褒めてあげる。学校でできなくても、家でできることを動画で担任の先生に見せるなどして、やる気があることを学校と共有し本人を見守っている</li><li>描いた絵を具体的に褒めるようにしたり、一緒に描いたりしている</li><li>子どもの「できた」を尊重したいので、スモールステップでやる気を引き出し、頑張ったところを具体的に褒めてあげている</li><li>できると思えばなんでもできると励ましている</li><li>失敗しても大丈夫なことを植え付けている</li><li>大好きだと伝える。「ここがすごい！」と具体的に伝える</li></ul>

<h3>子どもが自分で決められるような選択肢を与える</h3>子どもに選択肢を提示して、自分で決められるようにすることで、自主性を育むことができます。服の選択や遊びの内容など、子どもの発達段階に合わせて選択肢を用意しましょう。

【実際の保護者の声】<ul><li>その日あったことを聞き、子どもとどのようにすれば良かったか話し合うようにしている</li><li>勝ち負けのあるゲームのときには、前もって負けることもあること、気持ちの表し方を伝える</li><li>自分の支度はできるだけ自分でできるようにする</li><li>「自分から」を促している</li><li>合意形成。「なぜするの？」と本人に聞き、やってほしいことは本人にわかりやすいように説明して、理解してもらうよう努めている</li><li>上手く言語化することができるよう、何事も自分の口で説明できるように意識している</li><li>自分で自分のものごとや好き・嫌いを決められるようにしている</li></ul>

<h3>子どものやりたいことが実現できるような環境を整える</h3>子どもの興味や関心に合わせて、やりたいことが実現できる環境を整えることが大切です。必要な道具や材料を用意し、子どもの自主性を尊重しながらサポートしましょう。

【実際の保護者の声】<ul><li>好きなことはとことんやってもよいと伝えている。それが、苦手なことでもあきらめない気持ちにつながっていくのでは、と思っている</li><li>やりたいと言われたことは極力興味のあるうちにチャレンジできるようにしている</li><li>外に連れ出し、ストレス発散できるようにしている</li><li>とにかくいろいろな人と関係を持つ、本人がしたいと思うことはとことんやらせる、苦手なことに関しては最低限のサポートをしながらやり抜く（GRIT）の3点を特に重点的に行っている</li></ul>

<h3>子どもが非認知能力を発揮できるような機会をつくる</h3>子どもが非認知能力を発揮できるような機会を意識的につくることが重要です。グループ活動や発表の機会を設けたり、困難な課題に挑戦できるようにしたりすることで、非認知能力を意識して発揮することができます。

【実際の保護者の声】<ul><li>団体での競技、個人での競技、どちらも経験させてそれぞれの長所を経験できるようにしている</li><li>集団行動に慣れるためサッカーを習っている</li><li>キッザニアなどで色んな体験したり、習いごとをしたりするなど、学校以外の自分の居場所をつくる</li><li>いろいろな場所に出掛け、さまざまな体験をしている</li><li>できないことができるようになる体験があればと思い、ダンス教室に通い始めた</li><li>非認知能力を育てようと意図しているわけではないが、製作遊びやピアノなど手を使う作業をいろいろしている。また、食品サンプルづくり、ガラスの箸置づくり、おせんべい焼き体験、いちご狩りなど、体験の機会があれば積極的に参加している</li><li>集団行動や、他人を思いやる心を養うため、少林寺拳法を習っている</li><li>ダンス教室に入り、集団で表現する楽しさを感じてもらったり、異年齢の関わりが持てたりできるようにしている。また、放課後の遊びの場に参加し、異年齢での関わりが増えるよう働きかけている</li><li>家庭、学校以外の集団に入れるようにしている。たとえば、学童保育所は４箇所の小学校から集まるところを選んだり、スイミングスクールで親以外から褒められる環境をつくったり、英会話教室で外国人講師から習う機会を設けたり、公文式教室では異年齢が同じ空間で学べるような体験をしている</li></ul>

<h2>おすすめの非認知能力を鍛える遊び8選</h2>

非認知能力を鍛えるには、幼いうちからの働きかけが大切であることがわかったと思います。ここからは、非認知能力を鍛えるためにおすすめの遊びを8つ紹介します。<ul><li>ごっこ遊び</li><li>積み木遊び／砂山遊び</li><li>読み聞かせ／読書</li><li>自然遊び／公園遊び&nbsp;</li><li>ボール遊び</li><li>共通点探し</li><li>お絵描き／工作</li><li>料理／お菓子づくり &nbsp;</li></ul><h3>ごっこ遊び</h3>ごっこ遊びは、想像力や創造力、コミュニケーション能力を育むのに効果的です。子どもが自主的に役割を決め、ストーリーを展開していく過程で、非認知能力が鍛えられます。 &nbsp;<h3>積み木遊び／砂山遊び</h3>積み木や砂山遊びは、集中力や忍耐力、問題解決能力を育てます。試行錯誤しながら構造物を作ったり、創造性を発揮したりすることで、非認知能力が高まります。 &nbsp;<h3>読み聞かせ／読書</h3>読み聞かせや読書は、言語能力や想像力、共感性を育てます。物語の世界に没頭し、登場人物の気持ちを考えることで、非認知能力が養われます。 &nbsp;<h3>自然遊び／公園遊び</h3>自然の中で自由に遊ぶことは、好奇心や探究心、協調性を育てます。友だちと協力して遊ぶ中で、コミュニケーション能力やリーダーシップも身につきます。 &nbsp;<h3>ボール遊び</h3>ボール遊びは、運動能力だけでなく、集中力や協調性、ルールを守る力を育てます。チームプレーを通じて、非認知能力が高まります。 &nbsp;<h3>共通点探し</h3>共通点探しは、観察力や分析力、コミュニケーション能力を鍛えます。友だちと一緒に共通点を見つけ出す過程で、非認知能力が養われます。 &nbsp;<h3>お絵描き／工作</h3>お絵描きや工作は、想像力や創造力、集中力を育てます。自分の思いを形にする過程で、非認知能力が高まります。 &nbsp;<h3>料理／お菓子づくり</h3>料理やお菓子づくりは、計画力や実行力、協調性を育てます。手順を考えて実践したり、家族と協力したりする中で、非認知能力が養われます。 &nbsp;<h2>【専門家に聞く！】子どもの非認知能力に関するFAQ</h2>

ここからは実際のアンケート調査をもとに、非認知能力に関して保護者のみなさまから気になるトピックとして挙がった疑問を、非認知能力の分野に詳しいAll HEROs合同会社代表の中山芳一さんに伺っていきます。非認知能力についてよく知らないという方も、日常で出てくる子どもに対する悩みごとや不安を解消するためのヒントとしてお役立てください。 &nbsp;<h3>周囲に意識を向けられるようになるにはどうすればいいですか？</h3>幼児期のころは、どうしても自己中心性やマイペースな一面が出やすいため、周囲に意識を向けることが難しいお子さんも少なくありません。まずは、みんなと一緒に過ごすことに心地よさが持てるようにしてあげてください。また、あいさつや「ごめんね」「ありがとう」などのやりとりそのものを教えていくことも大切です。あとは、一緒にあそぶなど、活動を共にしていく中で、実際に「かして、いいよ」などの折り合いが少しでもつけられるようになったときには認めてあげたいですね。 &nbsp;<h3>粘り強さを身につけるにはどうすればいいですか？</h3>粘り強さや自制心のような力は、セルフコントロールができ始める時期（児童期後半以降）の方が伸ばしやすいため、幼児期の内にはなかなか難しい場合がよく見受けられます。そのため、大人たちは粘り強さのものさしをかなり細かくしておくことをおススメします。たとえば、お子さんが何かに取り組むとき、10分間続けられたではなく、3分間続けられたことを認めてあげたいものですね。 &nbsp;<h3>諦めかけたときにどんな声掛けをすればいいですか？</h3>基本的に追いかけなくて良いです。「残念だったね」「今度は上手くいくと良いね」などの声かけをするにとどめておきましょう。そこからこちらが無理に続けさせようとしても、決して良いことにはならないでしょう。逆に、気持ちを切り替えられたときには、しっかりそのことを認めてあげてください。 &nbsp;<h3>怒りっぽいところを治す方法はありますか？</h3>お子さんが生まれながらに持ち合わせている「気質」という内面的な特徴があります。そのため、感情的だったり、衝動的だったりすると、怒りっぽさという特徴も出てきてしまうでしょう。この怒りっぽさの調整は、どうしても時間がかかってしまいます。そのため、まずは平和な怒りのぶつけどころをつくってあげてください。たとえば、誰の迷惑にもならない場所で新聞紙や段ボールを破りまくる、などです。あとは、落ち着いたときに、さっきはどんな気持ちだったのかを聞いてみて、感情を言葉や絵などにできるよう促すという手立てもおおすすめします。 &nbsp;<h3>自己コントロールを高めるために親はどう働きかければいいですか？</h3>自己コントロールを高めるためには、先ほどの「粘り強さ」や「怒りっぽいところ」についての回答をご参考にしてみてください。逆に、自己コントロールが高すぎて、無理して我慢してしまっているようなお子さんにも注意が必要です。我慢しなくても大丈夫だということを伝えてあげてほしいですし、心もからだも思い切り開放できるような遊びの世界へ誘ってあげたいですね。 &nbsp;<h3>社会性の育て方を知りたいです</h3>社会性は、幼児期の自己中心性が落ち着いてきて、バランスが取れるようになってからでないと難しいかもしれません。また、内向的な気質というものも生まれながらに持ち合わせている場合があります。そのため、幼児期のころから無理して社会性を育てようとすると、お子さんに負荷をかけてしまうおそれもあるでしょう。周囲に意識を向けられるようになるにはどうすればいいですか？でも回答したように、コミュニケーションの具体的なやり方を教えることは大事ですが、あとは保護者の方ご自身が他者とのコミュニケーションを実際に「やってみせる」ということを続けてみてください。 &nbsp;<h3>やる気を起こさせるスイッチはありますか？</h3>一般的に3歳ごろまでは、とにかくやり方をやってみせて、あとはお子さんがやってみることを大事にしてあげてください。そして、お子さんがやってみたときには、たとえできなかったとしても「やってみた」ということを認めてあげてください。大人でも同じですが、やり方を覚えるということと、やってみようとすることは大切ですよね。その上で、4歳時以降になるとどうしてやらないといけないのかという理由についても話し合ってみてください。さらに、5・6歳以降になると、そのことをやるために必要な準備や計画についても考えられるように支えてあげてください。このように、やり方ややってみること（とっかかり）や理由、準備と計画など、案外「やる気」って「気持ち」ではないことが多いんです。 &nbsp;<h3>自分で考える癖をつけるにはどうすればいいですか？</h3>お子さんが「考えてみたいこと」はどのようなことでしょうか？大好きなキャラクターのことですか？食べものや乗りものですか？それとも…。お子さんが興味を持った「考えてみたいこと」について、「どこに？」「どれぐらい？」「どうして？」などの問いを持ち始めたとき、まさに考えていることになるでしょう。私たちは、まず何よりも「考えなければならないこと」ではなく、「考えたいこと」について思い切り問いを立てて、考えを巡らせたいものです。ぜひ、お子さんにとっての「考えたいこと」を大事にしてあげてください。 &nbsp;<h3>自己肯定感をあげる方法を知りたい</h3>「自己肯定感」という言葉は、いろんな意味が含まれた日本の造語です。そのため、この言葉を使うときには気を付けなければなりません。このことを念頭に置き、回答します。何かができるとかできないとか関係なく、自分はここに存在しているだけで大丈夫という感覚（これを自己受容感といいます）の場合は、0歳から3・４歳ごろまでに親が条件を付けずに愛着関係を大事にすることで育まれます。条件を付けないというのは、何かができたからかわいがり、できなかったときにはかわいがらない、という条件付きではないということです。いつも、「あなたはここにいるよ」「あなたはあなたで良いんだよ」というメッセージを肌のぬくもりや言葉かけで伝え続けてあげてください。この3・4歳までの時期は本当に大切な時期なので、何か特別なことをさせようとする前に、くれぐれも条件を付けない愛着関係を最優先でお願いします。 &nbsp;<h3>大きく成長してからでも非認知能力をさらに伸ばすことはできますか？</h3>非認知能力の中には、大人になってからの方が伸ばしやすいものもあるんです。大人になっていくにつれて、私たちははっきりとした意識をもって行動をするようになります。そのため、必要に応じて行動を修正することも可能となるわけです。自制心や他者と協調するような力などは、大人になってからの方が意識して伸ばしやすくなるでしょう。この意識が、適度に働いてくれれば良いのですが、過度にがまんし過ぎたり、相手に合わせようとし過ぎたりすると、今度は本人に負荷がかかり過ぎて、心が折れてしまうことにもつながりかねません。だからこそ、先ほどの自己受容感が必要だったり、自分のことを俯瞰（ふかん）して見ることが必要だったり、自分に負荷をかけ過ぎないようにバランス良く「いい加減さ」が必要だったりするわけです。 &nbsp;<h2>まとめ</h2>非認知能力は、学力だけでなく、将来の社会生活や幸福感に大きな影響を与える能力です。自己効力感、自主性、共感性などの特徴を持ち、子どものころから意識的に伸ばすことが大切です。家庭や学校での働きかけ、遊びを通して非認知能力を伸ばすことで、子どもの可能性を最大限に引き出すことができるでしょう。非認知能力を育むことは、1人ひとりの幸せな人生につながります。ぜひ、本記事で紹介した家庭でできることや遊びを日常生活でも取り入れてみてください。

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