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<h2>歯科医が警鐘を鳴らす子どもの「口腔機能発達不全症」とは</h2>「口腔機能発達不全症」とは、生まれつき障害がないにもかかわらず、「食べる」「話す」「呼吸する」といった口の機能が十分に発達していない状態のことを指すもので、2018年に保険適用になった歯科の病名です。 発見が早ければ軌道修正しやすいため、親が子どもを検診に連れていき、そのたびに口腔の機能を診察してもらうことが大切になってきます。 &nbsp;<h2>成長期のマスク生活の影響？</h2>ーー「最近の子どもは、成長期にマスク生活を挟んだ影響もあるのか、口を閉じることができずポカーンと開いてしまったり、噛む習慣がしっかりできていなくて丸呑みをしてしまうお子さんも多いです」そんな気になるお話を伺ったのは「六本木あおばデンタルクリニック」院長の小室千春先生。このような子どもの異変は、周りの家族が普段の生活の中で気をつけていないと見過ごしてしまいがちです。 小室先生曰く「医院では普段の状況がわかりにくいですし、学校の先生もそこまでケアできないと思います。春休みなど、家族でゆっくり食事をするときに子どもの口の周りの動きをよく見てあげてください」とのこと。 そこで、チェックポイントなどもお訊きしました。 &nbsp;<h2>お子さんは、風船ガムを膨らますことができますか？</h2>

今の子どもが風船ガムを膨らませることができない理由はいろいろ考えられます。 そもそも、風船ガム自体を市場であまり見かけなくなったので、膨らませる機会が減少したかもしれません。 子どもたちが口周りや舌の筋肉を使う機会が減り、口腔機能の発達が不十分なために、お口や舌を上手に使うことができないことも原因です。 風船ガムを膨らませるときには、舌でガムを薄くして、ガムに穴を開けないよう舌を尖らせて前に突き出したり、口唇をすぼませてガムが飛び出ないようにしながら息を吹き込むなど、唇と舌の繊細な動きが必要になります。 舌先を尖らせて前に突き出す（舌に厚みを出す）動作を維持することは、舌にある程度筋肉がないとできないことなのです。 &nbsp;<h2>お口の機能向上を育てる「フーセンガムトレーニング」</h2>フーセンガムトレーニングをご存じですか？ 山口県では歯科医師会をはじめとする自治体・団体と民間企業が連携した官民協働<a href="https://www.kenkousmile.jp" target="_blank" rel="noopener noreferrer">「健口スマイル」推進協議会</a>がさまざまな口腔衛生意識向上事業を行っています。 その中のひとつ、ご家庭でもできるフーセンガムトレーニングをご紹介します。

★ポイント★<ul><li>ガムを1枚入れたら口を閉じ、両方の歯で噛みます。</li><li>味がなくなる少し手前が膨らませやすいタイミング！</li><li>1回5分、1日2回のトレーニングがオススメです。</li></ul>

<h2>子どもの歯の健康状態を家庭で確認するポイント</h2>風船ガムを膨らますことができないのは一例です。お子さんの歯の健康状態を確認するには普段の生活や食卓での動作をよく観察することが大切です。その際のポイントをご紹介します。①ちゃんと噛めているか 食べ物を口に入れてから数回噛んで、丸呑みをするような子どもが増えています。 かつては「30回噛みなさい」と言われていたものですよね。そこまでは難しいとしても、よく噛むことで顎の発達を促すことを伝えましょう。②ポロポロこぼしながら食べていないか ③言葉の発音が曖昧で、舌っ足らずな話し方になっていないか ②と③は、口の周りの筋肉の低下が原因になることがあります。口の周りの筋肉を鍛えるためには、噛みごたえのある食品を食べる習慣も必要になります。 やわらかいものばかり食べていると、気がついたら口元の力が弱くなっていた、ということもあります。 &nbsp;<h2>やわらかく食べやすい食事ばかりでは噛む力は育たない</h2>

ーー「親としては、食事を残さずに食べてほしいと思うだけに、やわらかくて食べやすく、子どもが好きなおかずをつくる家庭が大半だと思います。 食事の時間も忙しい場合が多いと思うので、早く食卓を片付けたいという気持ちもあると思います。その結果、食べにくいものを食卓に出すことが減ってきているのかもしれません。 かつては、スルメイカなどを噛む機会がありました。ガブっとかぶりついて食べるようなお肉を食べたり、ガムを噛んだりしたと思います。 いまの子どもは、そういったことがほとんどないのではないでしょうか。その弊害がからだに表れているんですね」やわらかいハンバーグ、よく煮込んだカレーやシチュー、ラーメンなどは、子どもが大好きなメニューですが、胃に流し込むように食べることができてしまうメニューです。 「子どもが大好物を完食してくれた」と安心する反面、口腔環境に思わぬダメージが起こっていることは盲点だったと気付かされました。では、どういった食材が良いのでしょうか。 「前歯で噛み切るようなお肉や、頭から丸ごと食べられるような魚が良いですね」と、小室先生。メザシなどの魚を「カルシウムをとるために頭から丸ごと食べなさい」と言われ、食べた方も少なくないと思います。 健康にはとても良い習慣なので、子どもたちにもぜひ食べさせてほしいです。子どもから「うるさいよ」と言われてしまうかもしれませんが「よく噛んでね」と、声かけをしたり、おうちの方がよく噛んで食べるところを見せることも大切な習慣になります。<h2> コロナによるマスク生活が影響したと思われる気になる症状</h2>

コロナ禍の間、マスク生活をしてきた子どもたちの中には、マスクの下で口で息をする（口呼吸）癖がついてしまった子どもがいます。 その結果、鼻呼吸を上手にすることができず、マスクを外す生活になっても口をポカンと開いていて閉じることができない子どもが増えているといいます。子どもの口元の様子や、鼻呼吸をすることができているか確認をしてあげてください。①口臭がある マスク生活が原因で口呼吸をすることになると、常に口の中が乾いていることによって匂いが発生する場合がある②歯並びが悪い 成長期の子どもの歯並びは、毎月のように変わります。唇を閉じることができない子どもは、口元が出ている場合も。③くちゃくちゃ音を出して食べる 口を閉じることができない状態で食事をするため音を出して食べてしまう。 以上のような症状がある場合には、かかりつけの歯医者さんに診てもらいましょう。口腔機能発達不全症を放置すると、歯並びや噛み合わせが悪くなり、呼吸にも影響が出て、からだの正常な成長を妨げるリスクがあります。 お子さまの口腔機能の検査や治療は保険診療で受けることができます。気になることがあれば、歯科医師に相談してみてはいかがでしょうか。

小室 千春 先生六本木あおばデンタルクリニック　院長&nbsp; 本口腔外科学会正会員／日本歯科審美学会正会員 2007年に六本木あおばデンタルクリニックを開設。 女性歯科医師ならではの視点で、健康と美容の両面から口元をサポート。 丁寧なカウンセリングと的確なアドバイスに定評がある。 六本木あおばデンタルクリニック&nbsp; <a href="https://www.aobadc.com/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://www.aobadc.com/</a>　 東京都港区六本木7-15-10 A7ビル4F

取材ライター／栗尾モカ

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