教育のアレコレ

<h4>みっちー</h4>英国スコットランド在住。大阪生まれ、神戸育ち。大学在学中に北米へ留学。 英語とフランス語を学び、卒業後は関西の商社へ就職。結婚を機に英国スコットランドへ移住し、日本語教師として働くと同時に、現地大学の日本語クラスで授業アシスタントを経験。出産後、ウェブライターへ転身。妊娠・出産・育児情報サイトのコンテンツや、海外絵本の紹介記事、ブログの執筆や翻訳業務など、子育てや語学に関する分野のライティングで実績を積む。Soda! Soda! の『グローバルレポート』にて英国スコットランドのリアルな子育て・教育事情も発信中。&nbsp;

私たち親世代の英語は高校や大学受験の必修科目として、「テストで点数を取る科目」でした。 そしてグローバル社会の今、英語は文字通りコミュニケーションツールとして使えるかどうかが求められる時代となりました。同時に、AIによる同時通訳アプリの出現で「言葉の壁」も随分低くなったように思います。とはいえ、日本人の外国人に対するコミュニケーション能力の低さは否めないというのが現状です。 そんな中、ついに！2020年度より、英語学習が小学校から必修になりました。 英語の学習時間は増えましたが、本当に「使える」英語学習になっているのでしょうか？ そんな切り口で、英語の学習方法について、日本人とネイティブではどう違うのかを取材してみました。<h2> 日本の小学校では2020年度に小学校3年生からの英語教育が必修に</h2>

日本の小学校では2011年から外国語活動として、会話を中心とした英語の時間が加わりました。そして2020年度より小学校3年生からの英語教育が必修化されました。小3～4では「英語に親しむ」ことを目標に、週1時間（年間35時間）「聞く・話す」を中心に、 小5～6では「英語によるコミュニケーションスキルを養う」ことを目標に、週2時間（年間70時間）教科の一つとして、日常会話など実践的な英語を学ぶことになりました。 小3からの英語必修化に伴い、小1～2でも年間10時間ほどの外国語活動を設ける小学校が増えてきています。なかなか親からは見えない小学校での英語授業・・・。 いまの小学校の英語の授業って、どんな感じなんでしょう？

英語で数や形、動物の名前の単語を勉強したり、天気の言い方を習ったりしました。英語で自分の名前を書いたりもしました。いつも話したり、歌をうたったり、ゲームをしたりで、宿題は出ません。

フィリピン人の先生で、今はアルファベットの小文字を書く練習をしたり、お道具箱の中身を英語で言ったりしてます。ハサミは Scissors、鉛筆は Pencil、定規は Ruler・・・みたいな感じ。各単元ごとにはお歌もあったり、ゲームもします！あと I like ～って言いながら、好きなものをみんなで話したりしてます。

今は復習をしていて、夏休みどこに行ったかみたいな夏休みの思い出とか、どんな気持ちだったかとかを英語で発表したりしてます。宿題は出ません。3～4年生に比べて、歌とかは少なめです。先生はほぼ100％英語で授業をして、生徒がわからなかったりしたら、ジェスチャーや日本語、日本人の担任の先生を通して日本語で説明してくれます。

新学習指導要領通り、文法よりもコミュニケーションに重きを置いた「話す」中心の授業スタイル。またお道具箱や夏休みの思い出、天気、自分の気持ちなど、身近なテーマを、プリントやゲーム、歌を通して学ぶスタイルが一般的のようです。 &nbsp;<h2>英語圏の小学1年生が最初に習う「フォニックス（Phonics）」</h2>「フォニックス（Phonics）」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか。 「フォニックス」とは、英語圏の国々では小学校に入学するとまず最初に学ぶ「読み書き」の基礎中の基礎。 英語圏では英語学習が「国語」にあたるので、日本の1年生がひらがなを習うのと同じような感じです。ここでは「フォニックス」をいち早く取り入れている大分県のパシフィック・イングリッシュ・スクールにフォニックス学習についてお話をうかがいました。「英語には多くの特別な発音ルールがあるんです。」そう話してくれたのは、代表の原さん。

例えば「A」というアルファベットの場合、
同じ「A」でも隣り合うアルファベット文字によって「ア」と読んだり「エイ」と読んだりします。
例えば・・・　Apple→アップル 　 Age→エイジ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
また別のルールに「サイレント E」というものがあったり。
これは「Kite」や「Tube」のように二つ前にある母音の音を変えるルールです。
語尾の「e」がつくかどうかで、二つ前の母音の音が変化します。
例えば・・・Kit→キット　 Kite→カイト
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
このようなアルファベットの「文字と音の間に存在するルール」を学ぶのがフォニックスです。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
フォニックスを学ぶことで圧倒的にスペルミスが減り、英語の発音が向上するんですよ。
小学校高学年から始まる英語教育がスムーズに身につくための土台にもなります。

フォニックスは3～8歳の間に学ぶのがベストなのだとか。 &nbsp;

ひらがなには音は一つしかありません。「あ」の発音は「あ」です。
ひらがなの50音を覚えた子どもが、英語に存在する多くの発音ルールを学ぶとなると、理解が追いつかなかったり、苦手意識を抱いたりすることがあります。
そのため、ひらがなを習得する前の段階で、フォニックスを覚えてしまうことが重要なのです。

特に3～5歳は右脳の活動が活発な時期なのでフォニックスを感覚的に習得することができます。

そして、フォニックスの学習で大切なのは「繰り返し」とのこと。

フォニックスで大切なことは「繰り返し使うこと」です。
読み、書き、会話など色々な角度から、楽しく集中して繰り返すことで、はじめて自分のスキルとして習得できます。

そのために、本校では歌やゲームなどの遊びを通じてフォニックスを繰り返し使うような学習をしています。

また教える側の教師も大切だと、原さんは話します。

正しい発音で教えられているかどうかも、とても重要です。
日本人特有の英語の発音は、ひらがなとローマ字の関係が原因だと思っています。
ネイティブの正しい発音を繰り返し聞くことが日本人特有の「カタカナ英語」を脱し、国際社会で通じる英語力を育むことに繋がると思っています。

そして、子どもの英語力アップのために、家庭でもできることがあるのだとか！

フォニックスの発音が分かるような歌やチャンツ（※）を歌うことです。
その後、本校ではABCポップフォニックスという教材をつくっていますが、そのような読み書き会話すべてを網羅している教材で週に2回以上英語を学ぶ習慣をつくること。
週1回1時間するよりも週2回30分ずつ学習するほうが、圧倒的に効果があります。

※チャンツとは：英単語や英文を一定のリズムにのせて発声する英語学習法。自然な発音やイントネーション、英語独特の抑揚を身につけられると言われています。<h2> ネイティブの子どもたちが学ぶ超アクティブな学習方法＠スコットランド</h2>私がふたりの子どもたちと暮らす英国スコットランドは英語が母国語です。 子どもたちがどんなふうに英語を学んでいるのかご紹介します。 スコットランドでも、小学校に入ると最初にフォニックスを学びます。 小学校の最初の1年間の国語は、ほぼフォニックスと言っても過言ではありません。&nbsp;

そして小学2年生になってから、本格的な「読み・書き」の学習に突入するのですが、この学習法がユニークなものばかり。<h2> 【スペリング編】ただひたすら書いて覚えるのではない？！アクティブ・スペリング</h2>まず「面白い！」と感じたのは「ミラー・スペリング」と呼ばれるスペリングの学習法。 これは、文字を鏡文字にして書くエクササイズです。普段使わない脳の領域を使う学習法なのだそう。これは文字を間違わずに書けるようになる小学校でも中高学年向けです。&nbsp;

続いて、低学年からでもできる「ピラミッド・スペリング」。「Big」という単語であれば、一番上の段に「B」だけを書き、2段目に「Bi」、3段目に「Big」と1字ずつ文字を増やして、単語を作っていくエクササイズ。単語の構造が学べる学習法です。

最後に「レフト・ハンド・スペリング」。 これは利き手ではない方の手でスペルを書く、という学習法。これも、ミラースペリングと同様、脳の活性化に繋がる学習法。 &nbsp;

このように、スペリングの学習一つとっても、それぞれがとってもアクティブかつユニーク。こういった学習法に馴染みのない日本人の私にとっては、とても新鮮です。<h2> 【ライティング編】語彙力＋表現力＋創造力を結集！クリエイティブ・ライティング</h2>新しい単語を学ぶときは、ただ読んだり、意味を覚えるだけではありません。新しく出会った単語をちゃんと使いこなせるようになることに力を入れるのが、こちらの教育。新しい単語を使って、たくさん作文や作詩をします。

例えば「新しい形容詞の言葉を使って、自分オリジナルのモンスターをデザインして、説明書きを書いてみよう」なんていう作文をします。 そのほかにも、自分オリジナルの短い物語を書いたり、クラスで扱った物語の後半部分を自分で自由に変えたり・・・。

新しく習った単語を使うのはもちろんのことですが、「自由な発想で書く」ことや「自分の言葉で表現する」ことが求められます。<h2> 使える英語、身につく英語のための新しい学習アプローチ</h2>

さて、今回はネイティブの小学生が英語を学び始めるときの学習法を「教える立場」と「学ぶ立場」の両方の側面からお伝えしました。 私が学生時代の英語学習方法といえば、ひたすらに書いたり、読んだり、暗記したり、問題集に取り組むことが多かったような気がします。 英語の授業時間は国語、数学と並び、多くの時間数があるにも関わらず、外国人に会ったら貝になってしまう・・・英語ってそんなイメージでした。スコットランドに移り住み、自分の子どもを通しながら、いわゆるネイティブの子どもたちの英語の学習方法を目の当たりにして「え～！ネイティブってこんなふうに英語を勉強するの？日本と全然違う！面白い！」と、ある種の衝撃を受けました。そんな楽しい驚きを皆さんにもお伝えできたら、と思います。 小学校の英語必修化に伴い、新たな学習アプローチがどんどんと取り入れられつつある昨今、英語だけに限らず、子どもたちがもっともっと楽しく学んでいける環境が整っていくといいなあ、なんて思っています。

◆取材協力 Pacific English（パシフィック・イングリッシュ） <a href="https://abcpopphonicslp.com/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://abcpopphonicslp.com/</a> 創立した1984年から、大分県でフォニックス教育に力を入れているインターナショナルスクール。フォニックス教材「ABC Pop Phonics」も出版。詳細はHPをご覧ください。

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