教育のアレコレ

安田真理子 臨床心理士・公認心理師・ストレスチェック実施者資格 日本心理臨床学会・日本交流分析学会所属 カウンセリングルーム　オフィスウェル代表 湘南で35年以上、医療、教育（スクールカウンセラー）、企業（健康管理室）において心理カウンセラーとして子どもから大人まで多くのクライアントのカウンセリングに従事。 特に教育関係の行政との接点も多く、幼稚園や小学校の現場事情にも理解が深い。 「カウンセリングは心の整理整頓のお手伝い」と、相談者の「困ったな…」「どうしたらいいのだろう？」に寄り添うカウンセリングはクライアントからの信頼も厚い。▼Office Well（オフィス ウェル） <a href="https://www.officewellmy.com/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://www.officewellmy.com/</a>

<h2>夏休み明けに不登校が多いのはなぜ？親にできることは？</h2>文部科学省の「令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校など生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」によると、小学校では不登校の児童が81,498人いるとのことです。ちなみに令和2年度は63,350人 だったので、約18,000人も増えたことになります。しかも、総児童数は年々減少していますので、憂慮すべき数字ですよね。不登校や行き渋りの理由はさまざまですが、長期休みをきっかけに不登校になるケースも多いと聞きます。特に1ヶ月もある夏休み明けは注意が必要。 不登校や行き渋りの原因と対策について、臨床心理士のヤスダマリコ先生にお話を伺いました。

<h2>2学期から不登校になる理由。実は夏休み前にも原因が</h2>1年生は初めての小学校生活、その他の学年も進級して新しいクラスの生活は、子どもたちにとって勉強も友だち関係も意外と緊張していたはず。 頑張って1学期を過ごして、夏休みになってホッとすることにより、実は自分が学校で頑張っていたことに気が付くお子さんもいます。 「自分は無理をしていた」「学校生活はけっこう大変だったんだ…」と自覚してしまうと、 「また大変な思いをするの？」と、学校に行くことのハードルが高く、重く感じられてしまいます。 夏休みが終盤に近づいていくに従って口数が少なくなったり、イライラしやすくなったり、兄弟に八つ当たりしたり、お母さんにベタベタと甘えが激しくなったり… いつもの様子と何か違うと感じた場合は、ストレートに懸念に触れるのではなく、 「何か気になっていることや心配なことがあったら聞かせて」と、最初は軽く声をかけてみましょう。 一気に心配な事を聞こうとしたり、聞こうとするあまり気がついたらお説教になってしまわないように気を付けましょう。お母さん自身も、余裕のない時は控えた方がいいですね。 個別の状況によりますが、夏休みに入る前から気になっていたことがある場合にはそのことを見据えながら。 学校は苦行の場ではありません。学校でどんなことがあったのか、大変に思っていることはないか、ゆっくり聞いてあげましょう。

<h2>生活リズムの乱れによる夏休み疲れを長引かせない</h2>ここ数年の夏の気温上昇は異常ですよね。 夏休みは時間に追われないので、朝もゆっくり。お友だちとのお泊まり会や近所のお祭りなどでついつい夜更かし…。これ、夏休みあるあるですね。 いいんです。夏休みはのんびりダラダラすることも大切。ただ、新学期が始まる少し前から 少しずつリズムを整えていきましょう。 なぜなら、夏の暑さの疲れは子どもでも蓄積されるからです。そして体力の回復には睡眠がとても重要です。 新学期になるとまた、教室で長い時間机に向かって座り、集中して勉強しなければなりません。そのためにちょっと頑張ってまずは早起きして、決まった時間に朝ごはんを食べることから。食べたあとまたお昼寝してもいいのです。決まった時間に起きてご飯を食べて、頭と体を目覚めさせる。それに、早く起きると夜も早く眠たくなりますからね。

<h2>不登校になる前のサインはある？</h2>子どもが不登校になる前によくあるサインとしては、以下が挙げられます。1）学校の話に触れたがらない。または学校の話をすると嫌がる。 2）倦怠感などを訴えることが多くなる 3）眠れない。起きられない 4）口数が減る。または喋り続ける 5）食欲がなくなる、またはお菓子など甘いものを過度に欲しがる。 6）これまでなかった癖、こだわりなどが出てくる。 7）ぼーっとしている、逆にピリピリしているなど、普段の様子には見られないことがある。 8）宿題が出来ていない（これもかなりあります）。 9）子どもの悪戯書きや殴り書きなどに本音が見え隠れすることもあります。

<h2>子どもが不登校になったときに親ができる対策5つ</h2><h3>1）会話ができる環境を整えましょう</h3>子どもの不登校のサインを見落とさないためにも、日々の会話を大切にしましょう。 注意すべきは、本人が嫌がるのに無理やり気持ちを聞き出さないようにすること。それは、会話ではありません。 「不登校のサイン」がみられたときに、自然に話を聞いてあげられる環境を日頃から整えることが大切です。 「学校に行きたくない」と言い出したら、理由をそれとなく聞いてみるのはいいですが、話したがらないのに無理に聞き出すことは逆効果です。&nbsp;<h3>2）注意深く見守りましょう</h3>本人が話したがらないときは、じっくりと子どもの様子を見ましょう。 日頃から子どもの言動をよく観察していれば、悩みを抱えていることがわかるときがあります。お仕事や家事で忙しいと思いますので、四六時中、じーっと様子を見る必要はありません。 そんなことをされたら子どももたまったものではありませんよね。朝起きてきたとき、ご飯を食べるとき、何気ない日常生活の子どもの様子を観察しておくと、「いつもと違う」様子に気がつくはずです。それが大切なのです。&nbsp;<h3>3）じっくり話を「聴き」ましょう</h3>理由がはっきりとしている場合にはとにかくしっかりと聞きましょう。 何度も言いますが、無理やり聞き出そうとしないで下さい。 決して「問いただす」のはやめてください。 子どもが何かを話したら、とにかく「聴いて」あげてください。不登校の理由に関係ないと思われるようなことの中に、ヒントがあることもあります。ただ「聴く」。これがとても大切なのです。理由がはっきりとしている場合でも、無理やり聞き出そうとはしないこと。 実は本人も理由がわからない…ということがかなり多いです。 このわからない…の中にも「考えたくない」が含まれていたり、勉強が難しい、ついていけない不安ということもかなりあります。自分をそのまま受け入れてくれる場所や存在があることを自覚し、気持ちを親が聞き入れてくれたことで安心して、気持ちが回復する場合もあります。

<h3>4）ゆっくり休ませてあげましょう</h3>子どもが学校に行きたがらないと親は焦りますよね。「ここで休んだら、ずっと行けなくなってしまうんじゃないか」と悩む方が多いと思います。勉強の遅れも心配ですよね。 でも、だからといって無理に行かせるのはやめましょう。まずはゆっくり休ませてあげましょう。特に休み明けで体調が整っていないときは無理をさせることで、体調不良が長引くことがあります。 ひとくちに体調不良と言っても様々な要因があります。まずはフィジカルな問題がないか、かかりつけ医などを受診しましょう。それで安心して体調が良くなるお子さんもいます。 学校を休むことを恐れ過ぎないでください。休んだほうが良いかどうか、子どもを見守り、見極めることが必要です。見極めるのが難しいときに相談できる環境を持っていると心強いですね。 &nbsp;子どもが行きたくないとはっきり意思表示する場合には「無理して行かなくていいよ」と子どもにはっきり伝えてあげると安心します。そのときに避けたいのは、続けて「学校に行かないなら家で勉強をしなさいね」など、学校に行かないなら…という交換条件のような内容のことを言うことです。 「ホッとして良いのか？」 「学校を休むことで家で何が待っているのか…」 そんなふうに心が揺れることで、子どもの心が不安になり「もう何を言っても聞いてもらえない」と自分の気持ちを押し殺してしまう事もあるのです。<h3> 5）学校や専門機関へ相談した方がいい場合</h3>

なかなか体調が戻らないときには、先ほども書いたように、まずはかかりつけの小児科の先生に相談してみましょう。 休みが長引きそうなときは、先生やスクールカウンセラー、養護教諭などで、信頼のおける先生に相談してみましょう。担任や学年主任にかかわらず、ご自身が信頼できる先生にまずは相談してみるといいと思います。先生をよく知らない場合は、先輩ママに聞いてみるのもひとつです。ただし、いずれにしても個人の主観や価値観が出てきます。冷静に聞くように心がけましょう。 また、各自治体にも相談窓口があるので、学校以外の専門家を頼る選択肢もあります。専門家は多くの親子を見ているプロです。子どもの様子やこれから先のこと、ご両親の心配事なども相談できるのでおすすめです。 とにかく自分たちだけで抱え込んで悩まずに、プロを含めて周りの人に頼ることも大切です。身近に相談できる人をつくり、客観的な意見を聞ける環境を整えましょう。

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