教育のアレコレ

みっちーイギリス北部スコットランドの小さな町で、スコットランド人の主人と長 女（8歳）と長男（4歳）の4人で暮らしています。海と山に囲まれた自然いっ ぱいの片田舎から、現地のリアルな教育・子育て事情をお届けします!

<a href="https://www.seiban-sodasoda.com/episodes/detail/kyoiku-no-arekore-231004/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">前編</a>でお伝えしたように、日本では小学校から大学まで国公立に通ったとしても平均1,000万円以上の支出が見込まれます。 受験や進学に備えてどうやって教育資金を準備すればいいのか・・・心配な方も多いはず。調べてみると子育て支援や奨学金制度、学資保険など選択肢はいろいろあります。そこで教育費の「計画の立て方」や「見直し方」などについて、引き続きSOMPOひまわり生命様に教育資金へのアプローチ方法をお伺いしました！また、国際的な視点から世界の興味深い教育費事情もご紹介します。

<h2>教育費の計画の立て方・見直し方、5つのポイント</h2>SOMPOひまわり生命様によると、教育費の計画の立て方・見直し方のポイントは5つ。&nbsp;

① 現状把握 ② 情報収集 ③ 計画 ④ 時間を味方につけてストレス軽減 ⑤ ライフイベントごとに見直す

<h3>①まずは家計がどうなっているか、可視化することで現状把握</h3>今の収支を把握した上で、教育費として「いつまで」に「いくら」必要なのか、「何のために」必要なのかなど、「期間」や「目標金額」「目的」を可視化することがスタートラインだといいます。 家計簿アプリのようなツールを活用しても◎。 &nbsp;<h3>②情報収集は国の支援だけでなく、居住地域の支援も要チェック。</h3>次に情報収集。お住まいの地域のホームページを参考に、子育て世帯を対象とした支援にはどのようなものがあるのか情報を集めます。 受けられる支援は積極的に活用していくことで、家計の負担軽減につながります。 &nbsp;<h3>③目標金額を決めて、無理のない資金計画を立てましょう。</h3>現在の収支と必要な教育費の把握、活用できる支援の情報を集めたら、ご家庭に合った準備方法や金融商品の見極めを進めていきます。目標金額を決め、将来を見据えて支払い可能な金額を設定することも重要ポイント。 ご家庭にピッタリの金融商品がわからない場合は、この段階でファイナンシャルプランナーのような専門家に相談してみるのもオススメです。<h3>④視点を変えて「後からの時間」を味方につけるという考えも</h3>高額な教育費。早い時期から準備を始めるに越したことはありません。 教育資金の準備期間に余裕がある方は時間を味方につけ、早いうちから準備を始めると中長期的にしっかりと準備ができます。また準備期間に余裕がないご家庭の場合は「後からの時間」を味方につけるという考え方も。 「事前にしっかり準備すべき！」という「すべき思考」を捨て「事前に貯めきれなかったら、奨学金を利用してもいい」と視点を変えることも、ストレスを減らすための大切な要素なのだそう。<h3>⑤計画通りに行かなくても大丈夫。ライフイベントごとに見直せばいい</h3>教育資金の準備をスタートさせてからも、計画通りに進まないことはよくあること。SOMPOひまわり生命様によると、出産や入学など子どもに関するものから、自動車やマイホーム購入、転職など親側の出費に関するものまで、大きなライフイベントが見直しのタイミングだそうです。 家計の見直しを行い、必要に応じて金融商品を増やしたり、月々の積立金額を変更することで、より自信を持って教育資金の準備ができるといいます。&nbsp;

<h2>金融商品のメリット・デメリットを理解して、最適な準備を</h2>では、教育資金を準備するためにどのような方法があるのでしょうか？ 教育資金が目的の金融商品をメリット・デメリットと共に紹介します。<h3> ①子ども保険／学資保険</h3>保険会社により「子ども保険」や「学資保険」という名前がついていますが、どちらも教育費の準備を目的とした貯蓄型の保険です。 最大の魅力は親に万が一のことがあった場合、残りの保険料の支払いが免除になることが多いこと。

<h3>②定期預金</h3>まとまった額を一度に預け入れ、満期まで払い戻しができない預金です。 普通預金や積立預金に比べると金利は高く設定されているものの、満期まで引き出せないというデメリットも。

<h3>③積立預金</h3>毎月決まった額を積み立てていく預金。 経済状況に合わせて積立額を変更できる一方で、途中解約する場合にデメリットが。

<h3>④ジュニアNISA／つみたてNISA</h3>貯蓄型とは異なり、投資運用型の金融商品。 税制優遇のメリットがある一方で、マーケットの変動によっては損をするリスクも。※ジュニアNISA、つみたてNISAともに2023年末で制度が終了します。2024年度からは新NISA制度がスタートし、現NISAと投資枠や非課税保有限度額が変わります。 新NISA制度に関しては、金融庁のウェブページをご覧ください。<a href="https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/index.html" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/index.html</a>

仮に子どもが生まれてから児童手当を全額貯蓄していった場合、18歳には約200万円になります。しかし200万円では大学4年間の学費を全てカバーすることはできません。 教育資金は、どうしても複数のアプローチに分けて準備することになるようです。ソニー生命「子どもの教育資金に関する調査2023」では「学資保険」や「銀行預金」で準備されているご家庭がもっとも多いという結果が出ています。<h2> まずは情報収集から。子育て支援を積極的に利用してやりくり上手になる！</h2>

スマートに教育費を準備するためにも、子育て世帯を対象とした支援は積極的に利用したいもの。しかし子育て支援は待っているだけではなかなか情報が入ってきません。そのため、地域のホームページなどで積極的に情報収集することが重要です。 その際に、市町村の子育て支援ページをのぞくと、医療費無料、紙おむつの無料支給、学生の定期代の助成、給食費無料、市営塾無料、公共施設の入場料無料などいろんな子育てサポートサービスが見つかります。【子育て支援例】●児童手当 0歳～15歳の子どもがいる世帯に給付金が支給される制度。 ●児童扶養手当 離婚や死別などにより、ひとり親になった世帯や、親が一定の障害状態にある児童を養育している人に対して手当を支給する制度。 ●幼保無償化 幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する場合、3歳～5歳の3年間は保育施設利用料が無料になる制度。※住民税非課税世帯の場合、0歳から2歳までも利用料が無料になる。 ●高校無償化（高等学校等就学支援金制度）高校授業料の一部または全部を支援する制度。世帯所得や通う学校の種類により、支給の有無や金額が異なる。 ●大学無償化制度（高等教育の修学支援新制度） 所得、資産、学習意欲などの条件を満たした場合「授業料や入学金の減額、免除」や「給付型奨学金」を受けられる制度。 ●高校生等奨学給付金 低所得世帯を対象にした授業料以外の教育費(教科書代や学用品費など)を支援する返還不要の給付金 ●就学援助制度 学校生活で必要な費用の一部を自治体が援助する制度。自治体によっては入学準備金(新入学学用品費入学前支給)として入学準備に必要な学用品費を入学前に支給する制度を設けている場合も。 ●子育て支援パスポート 子育て世帯に、各種割引・優待サービスや外出サポートを提供する事業。自治体によって協賛店は異なるものの、スイミング教室や塾、英会話学校など子どもの習い事で優待が受けられることも。 &nbsp;<div style="margin-left:0pt;" dir="ltr" align="left">※子育て支援に関しては、市町村により支援の数や内容、対象となる家庭が異なります。また、子育て申請に関しては申請が必要になります。ぜひお住まいの地域のホームページでご確認ください。 近年では、2021年からスタートした「奨学金返還支援制度」を導入する企業も増えているそうです。 「奨学金返還支援制度」とは、社員の奨学金の返済を企業が支援する制度。利用者数は年々伸びているのだとか！このような支援をする企業が今後も増えていくといいですね。 　<h2>外国ではどうやって教育資金を準備しているのか調べてみました</h2></div>

海外移住や海外留学を検討されているご家庭も増えています。 では、世界ではどのような方法で子どもの教育費を準備しているのでしょうか。<h2>アメリカ</h2>

・FAFSA ・529プラン &nbsp;<h3>アメリカでは、とにかく奨学金の申請からすべてが始まる</h3>アメリカ在住のママのお話では「大学の新学期前、政府による学生ローンや奨学金制度を無料で申請できるFAFSA（連邦学生援助の無料申請）に申請し、受けられる奨学金の数と金額を把握することから全てがはじまる」とのこと。 アメリカの大学生のほとんどが奨学金や教育ローンを利用するそうです。大学の学費を抑えるために奨学金を利用して必要な学費総額を下げ、そこからアプローチが変わってくるそうです。 &nbsp;<h3>教育費に特化した資産運用には「529プラン」</h3>そしてアメリカには「529プラン」という教育費の積み立てだけを目的とした資産運用があります。529プランは各州ごとに内容が異なりますが、州税や所得税の控除といった税制優遇や、兄弟に名義変更して利用できるといったメリットがあります。 一方で、教育費以外の目的で資金を使う場合は10％のペナルティーが課せられるデメリットもあるそう。子どもが小さいときから、資産運用や預金で教育資金を準備する家庭もある一方で 「子ども名義の金融商品を持っていると、受けられる奨学金に影響が出ることもあるから子ども名義での金融商品はつくらない」という家庭もあるのだとか。

・学生ローンイギリスでは、学生ローンを利用し卒業後に返済する学生が大多数を占めます。 卒業後に就職し、収入が約460万円（£25,000）を超えた時点で返済義務が発生します。 2023年度からの入学生は学生ローンの返済期間が30年から40年に伸びました。そしてこの返済期間がすぎると、ローンの返済義務は消失し、事実上「帳消し」に！学生ローンの利用が大多数を占めるイギリスですが、小さいうちから親が銀行預金で教育資金を貯蓄したり「ジュニアNISA」の運用を選択する家庭もあります。

<h2>シンガポール</h2>

・Edusave account（エデュセーブ・アカウント）面白いのが、シンガポール教育省の「Edusave account（エデュセーブ・アカウント）」！シンガポール国民で6～16歳の子どもは全員、この「Edusave account」という口座が与えられ、毎年シンガポール教育省から小学生は年間約2万円（SG$230）、中高校生は約3万円（SG$290）の給付金が支給されます。 また、優秀な学業成績を修めた生徒や、学業以外で際立った活躍をした生徒はこの口座に賞金も支給されるそうです！ この Edusave account 内のお金の利用は2023年末まで可能で、各学校が徴収する海外旅行費や、カリキュラムと並行した学習活動費などに限定されます。 しかし、2024年1月からは、シンガポール教育省から徴収する敎育諸費用にも使えるようになるとの発表が。この Edusave account の使用用途拡大により、大学生以下の子どもがいるシンガポール国民世帯では子ども一人あたり年間約8,000円～2万円（SG$78～162）の負担減になるそうです。シンガポール人ママのお話では「親としてもちろん教育資金は準備したけれど、子どものEdusaveも教育費として活用した」のだとか！

<h2>オーストラリア</h2>

・HECS-HELP（ヘックスヘルプ）ローンオーストラリアには、日本でも注目されている出世払い型奨学金「HECS-HELP（ヘックスヘルプ）ローン」という敎育ローンがあります。このHECS-HELPローンは、大学の授業料のみが対象となるため、生活費や教科書代などの費用には充てられません。特徴は、上限額まで無利子なことと、所得が一定額を超えてから返済義務が発生すること。日本でもこのHECSローンが注目され、日本でも、関西学院大学が2020年度に「関学HECS型貸与奨学金」を導入しています。

<h2>スコットランド</h2>

・保育園～大学の授業料が全額無料前編でイギリスの学費をご紹介しましたが、私が住むスコットランドはイギリス国内でも教育費の低い地域だと感じています。

<h3>保育園は給食やおやつも無料</h3>保育園（3～5歳）は年間1,140時間まで無料です。園で出るおやつや給食ももちろん無料！プライマリースクール（小学校）とセカンダリースクール（中学校・高校）の授業料も無料です。教科書や学用品など必要な教材は全て学校が提供してくれるので、必要になるのは制服代と遠足代、そして給食費ぐらい。 &nbsp;<h3>小学5年生までは給食は無料</h3>給食は小学校5年生までが無料です（※2022年8月時点）。6～7年生で給食を食べる生徒は1日約420円（£2.30）がかかりますが、お弁当を持参する生徒がほとんど。政府の計画で、無料給食の対象拡大もどんどん進められ、2024年までには小学校全学年を対象に無料になる予定です。 なお、低所得世帯の子どもは、学年に関係なく無料で学食が食べられます。我が家の場合、2年生の長男は学校給食を、6年生の娘はお弁当を持っていくので学校に給食費を払うことはありません。また制服のお下がりをもらえることも多いため、年間でかかる学校関連費は一人あたり制服代と遠足費の約9,000円～2万円（£50～100）程度。

<h3>スコットランドでは大学の授業料が無料！</h3>そして驚くべきは、スコットランドでは大学の授業料が無料だということ！ スコットランド国民が国内の大学に進学する場合は、政府が大学の授業料を負担してくれるため全額無料になります。（イングランド、ウェールズ、北アイルランド、海外の生徒は有料。)しかし大学に通う場合、一人暮らしをする学生が多いため、住居費は平均で年間約100万～300万円（£5,809～16,572）かかると言われています。<h3> 他にもこんなにある公的支援</h3>授業料以外でも、スコットランドには様々な子育て支援があります。1）22歳までの子どもはバスの乗車が無料例えば、22歳までの子どもはバスの乗車が無料！これは2022年に始まった新制度で「National Entitlement Card （NEC）」というカードを提示するとバス会社や乗車距離に関係なくバス代がゼロに。知り合いの大学生は「このおかげで、大学までのバス代がゼロになって助かってる！」と話していました。

2）国からの児童手当子育て世帯には政府からのサポートも。 日本の児童手当にあたる「チャイルド・ベネフィット」という支援がイギリスにも存在します。支給額は一人目の子どもと二人目以降の子どもで変わってきます。一人目の子ども：約4,000円（£24） / 週 二人目以降 &nbsp;：約3,000円（£15.90） / 週　(※2023年8月時点)そして、この児童手当を受給している親（父親か母親のどちらか一人）は、子どもが12歳になるまで国民年金の支払いが免除に！ &nbsp;3）児童税額控除などの多角的支援この他にも子どもの数や収入、労働時間などによってChild Tax Credit（チャイルド・タックス・クレジット）と呼ばれる児童税額控除などのさまざまな支援が存在し、子育て世帯や低所得世帯へのサポートが充実しています。 &nbsp;<h3>支援が充実しているから学資保険の必要なし</h3>こうした教育制度や子育て支援があるため、スコットランドでは日本の学資保険のような「教育費」に特化した金融商品は存在しません。 子どもの将来のために資金を準備するとすれば銀行預金や個人貯蓄口座（ISA）を利用するのが一般的です。中には教育費を貯蓄していないというご家庭も！国が違えば、教育費の準備方法も違ってくるもの。スコットランドで子育てをしていく中で改めて「国が違えば制度も違うし、人々の教育費に対する考え方やアプローチも違ってくるんだなあ」と感じています。<h2> 家庭の数だけライフプランがある。この機会に考えてみませんか？</h2>

人生三大支出といわれる「教育費」「マイホーム費」「老後資金」の中でも、必要な時期が明確な教育費は計画の立てやすい費用といわれています。とはいえ、子どもの将来を正確にイメージするのは難しい上、教育資金は家庭の収支やライフプランによっても大きく変わってきます。高額な子どもの教育費。大切な我が子の将来のためにしっかりと準備したいと同時に、できることなら不安やストレスは最小限で貯めていきたいものですよね。 改めて、ご家庭で教育資金の準備方法を見直し、ご家庭のライフプランを確認してみてはいかがでしょうか。 (参照) <a href="https://www.47news.jp/9809960.html" target="_blank" rel="noopener noreferrer">社員の奨学金、企業が肩代わり 21年開始、千社近く利用</a> <a href="https://www.investopedia.com/terms/1/529plan.asp" target="_blank" rel="noopener noreferrer">529 Plan: What It Is, How It Works, Pros and Cons</a> <a href="https://www.moe.gov.sg/financial-matters/edusave-account" target="_blank" rel="noopener noreferrer">Edusave Account | MOE</a> <a href="https://www.moe.gov.sg/news/press-releases/20230705-enhancements-to-edusave-and-moe-financial-assistance-scheme-to-benefit-350000-students-in-government-and-government-aided-schools" target="_blank" rel="noopener noreferrer">Enhancements to Edusave and MOE Financial Assistance Scheme</a> <a href="https://mustsharenews.com/fees-edusave/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">S'porean Primary School Students Can Use Edusave To Cover All Miscellaneous Fees From 2024</a> <a href="https://www.channelnewsasia.com/singapore/singaporean-primary-school-students-fees-2024-edusave-fas-moe-3606811#:~:text=As%20primary%20school%20students%20receive,account%20created%20automatically%20for%20them" target="_blank" rel="noopener noreferrer">All primary school fees for Singaporeans can be covered by Edusave from 2024 - CNA.</a> <a href="https://www.studyassist.gov.au/help-loans/hecs-help" target="_blank" rel="noopener noreferrer">HECS-HELP | StudyAssist</a> <a href="https://studentaid.gov/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">Federal Student Aid</a> <a href="https://www.gov.uk/student-finance" target="_blank" rel="noopener noreferrer">Student finance for undergraduates: Overview - GOV.UK</a> <a href="https://www.sonylife.co.jp/company/news/2022/nr_230309.html" target="_blank" rel="noopener noreferrer">子どもの教育資金に関する調査2023 | ソニー生命保険</a>

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