教育のアレコレ

東京コピーライターズクラブ （TOKYO COPYWRITERS CLUB） <a href="https://www.tcc.gr.jp/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://www.tcc.gr.jp/</a> 東京を中心に日本全国で活躍するコピーライターやCMプランナーの団体。 毎年4月、前年度に実際に使用された広告の中から、優秀作品を選出。その制作者を「TCC賞」受賞者として発表し、秋に受賞作品のほか優秀作品を掲載した「コピー年鑑」を発行。ことばを専門とするスタンスから、日本の広告界のコミュニケーション技術の向上を牽引しています。（TCCウェブサイトより引用）

<a href="https://www.tcc.gr.jp/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">東京コピーライターズクラブ</a>（TOKYO COPYWRITERS CLUB : 以下TCCと表記）は、東京を中心に日本全国で活躍するコピーライターやCMプランナーの団体です。広告業界で活躍する約900名の会員の方が所属する大きな組織です。先日Soda!Soda!で開催した<a href="https://www.seiban-sodasoda.com/episodes/detail/minna-de-tankyu-240530/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">『コピーライターになってじぶんの“キャッチコピー”をつくろう！／みんなで探究 @東京』</a>はTCCがボランティアで開催している「子ども広告教室」がベースになっています。 もともとは、TCCの会員のひとりが東京の番町小学校の卒業生だったことがきっかけで始まった「子ども広告教室」は都内の小学校への出張授業として、もう22年以上続いているそうです。<h2> 講義・ワークショップ・プレゼンテーションの3部構成</h2>TCCの子ども広告教室は『じぶんにキャッチコピーをつけよう！』をテーマにTCCのサポートメンバーが先生になって、ワークショップ形式でコピー制作に取り組む教室です。広告教室は基本的に3つのパートで構成されています。小学校で行うときは、授業時間の2時間目から4時間目までなど3コマを使います。 &nbsp;<h3>1コマ目：全体講義</h3>

広告って、何のためにあるの？広告って、どうやってできるの？ コピーライターってどんな仕事？広告媒体にはどんな種類があるのか、など、広告について理解を深める説明を聞きます。そしてコピーとはどういうもので、どんなふうにつくるのかをわかりやすく解説してくれます。 &nbsp;<h3>2コマ目：ワークショップ</h3>

実際にコピーをつくります。 少人数のグループに分かれて、各グループにひとりずつTCCのメンバーがついて、個別にアドバイスをしながらサポートしてくれます。

さらにグループのメンバーの客観的な意見を聞き、参考にしながら、どんな『自分』を伝えるのか、考えを深めて言葉を探していきます。 サポーターの先生からは、言葉を組み合わせたり、言い換えたり表現方法の具体的なアドバイスももらいながら、1行にまとめてキャッチコピーを完成させます。 キャッチコピーが書けたら、プレゼンテーションをするために画用紙に大きく書きます。文字やイラストそれぞれ工夫を凝らしてプレゼンテーションボードをつくります。

<h3>3コマ目：プレゼンテーション</h3>

自分で考えたコピーを、プレゼンテーションボードを見せながら、みんなの前で発表します。 &nbsp;

<h2>『自分のいいところ』探しで自分自身を認めることができる</h2>子ども広告教室では、キャッチコピーをつくる考え方や方法を学びますが、同時に自分自身のことをじっくり見つめて考える、ということも大切にしています。普段あまり考えない、『自分のいいところ』を見つけることによって自分を好きでいたり、大切にする気持ちを認めることができます。つまり自分で自分を承認し、自己肯定感を高めることができます。また、ほかの人たちのコピーを知ることで、人はみんなひとりひとり違っていていい、と言うことにも改めて気がつくきっかけになります。

実は、広告教室が始まった当初は、学校に関係するキャッチコピーを書くことがワークショップのテーマだったそうです。今の『「じぶん」にキャッチコピーをつけよう！』になったのは10年くらい前から。授業の一環でもあるので、学校のキャッチコピーを考えるとなると、正解を意識した、ある意味『無難な』コピーが多く、作品も毎年変わり栄えしなくなってきていたとのこと。自分のキャッチコピーになってからは、子どもたちがみな、自分ごととして向き合うので、個性が出て、面白い作品が出てくるようになったそうです。この広告教室は5～6年生が対象です。ちょうど思春期が始まるこの時期は、親子の関係性も変わりつつある時期。 だからこそ、親でも先生でもない、言葉のプロである大人による客観的なアドバイスは、子どもたちが自分自身を開くきっかけになるのだと思います。そもそも、大人でも自分自身にコピーをつけることは非常に難しいことですが、今回、Soda!Soda!のワークショップに参加してくれた子どもたちのプレゼンテーションは、みんなユニークで素晴らしかったです。 ワークショップではサポーターの先生が、ひとりひとりと丁寧に向き合って、子どもたちから出てくる言葉を受け止め、それはどう言う感じ？ほかの表現は？というように、どんどん深掘りするように促していました。 &nbsp;<h2>TCCからのアドバイスとメッセージ</h2>当日サポートしてくださったTCCの西尾さんと大友さんに、お話を伺いました。

「よく、大人も子どもも会話の中で『なんかいいよね』と言います。この『なんか』が何なのか、と言うことを突き詰めていくことで、その本質的な価値や良さがちゃんと見つかるのです。『なんかいいよね』で止まってしまうと、その正体がわからないままになってしまう。僕たちは仕事柄、常に『何でだろう？何でだろう？』ってどんどん深掘りする訓練を受けているので、無意識にできているのだと思いますが、普段の生活でもこういった思考は非常に大切かもしれません。」と西尾さん。 大友さんも、「確かにそうやって掘り下げていくと、自分が本当に好きなものは何なのか、それがわかるようになると思います。普段の親子の会話でも、そんなふうに考える癖をつけるといいかもしれません。」とのこと。さらに大友さんからは「小学校に授業で行って思うのは、何か正しいことをやろうとしないでほしい、ということ。ネガティブに感じることでも、決めつけないで、思っていることを一度全部出してみるっていうことを、この授業でも心がけています。これは普段からご家庭でやってもいいんじゃないかな、と思います。」

これを受けて西尾さんも「間違えることを気にする子どもが多いので、発表のときに、聞いている人は発表が終わったら、おお～！と拍手するようにみんなに言います。承認されることって大切だと思います。それと、本当に世の中の常識っていうのが、正しいのかどうか、考える癖はつけておいた方がいいと思います。常識のとらえ直しっていうか。みんなは、こう言っているけれども、自分はこうだと思うっていうのを、常に考えるようにしてほしいと思います。」

編集後記今や広告は生活の一部です。雑誌やテレビだけでなく、携帯でSNSに流れてくる広告の多いこと。西尾さん、大友さんがおっしゃったように、物事の本質を見極める力がますます大切になるでしょう。 広告教室では、作る側の目的や視点を知ることができます。また自分自身のコピーを考えて人に伝える作業を通して、伝える側の気持ちを体験します。 そうすることで、今度は見る側としての視座が少しでも高くなり、溢れる情報に流されないための助けになるのではないかと思います。 また、これをきっかけに言葉の持つ意味や使い方、楽しさに気づいてくれるといいなと思います。TCCの会員の方々は皆さん業界では名だたる人ばかり。 お忙しい中、ボランティアで子どもたちに有意義で贅沢な時間を提供されているTCCの活動、これからも楽しみです。（構成／Soda!Soda!編集部・大谷ミサ）

■Soda!Soda!「コピーライターになってじぶんの“キャッチコピー”をつくろう！」の動画はこちら<figure class="image"><a href="https://www.seiban-sodasoda.com/episodes/detail/minna-de-tankyu-240530/" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><img src="https://seiban.g.kuroco-img.app/files/user/topics_img/8/05/%E3%82%B3%E3%83%94%E3%83%BC%E7%B7%A8_Youtube%E7%94%A8%E3%82%B5%E3%83%A0%E3%83%8D%E3%82%A4%E3%83%AB.png"></a><figcaption><a href="https://www.seiban-sodasoda.com/episodes/detail/minna-de-tankyu-240530/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">「コピーライターになってじぶんの“キャッチコピー”をつくろう！」</a></figcaption></figure>&nbsp;

‌