SODA VOICE

◆ イベント情報 ◆<figure class="image"><a href="https://www.seiban-sodasoda.com/events/detail/event-240120_hanako-mama/" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><img src="https://seiban.g.kuroco-img.app/files/user/topics_img/8/09/20240120_Hanakomama%E3%83%90%E3%83%8A%E3%83%BC_%E4%B8%80%E8%A6%A7.jpg"></a><figcaption>【参加募集】Hanakomama×Soda!Soda! ヘアメイクアップアーティスト草場妙子さんによる 「ちょっとしたひと工夫でいい。ママのためのスキンケア&amp;メイク講座」</figcaption></figure>

今回のSODA VOICEは、お弁当コンサルタントの野上優佳子さんにインタビュー。 「マツコの知らない世界」のお弁当の人としてご存知の方もいるかもしれません。野上さんは料理家として多くの著書を出版されています。「楽しくつくって毎日おいしいこどものおべんとう」「スープジャーで楽するおべんとう生活」​​「行事を楽しみ旬を味わう12ヵ月の食卓​​」など書店で手に取ったことがある方も多いかもしれません。 2女1男の3人のお母さんであり「株式会社ホオバル」代表という実業家でもある野上さん。ワーキングマザーとして、働くことや、食育の話、そして家族のかたちまで、じっくりお話を伺いました。

<h2>食育における逆転現象？今の時代に合わせた旬と季節ごとの食事の選び方</h2>ーー今日11月19日は「食育の日」です。 政府広報によると「食育」とは、様々な経験を通じて、「食」に関する知識と、バランスの良い「食」を選択する力を身に付け、健全な食生活を実践できる力を育むことです。とあります。ここ数年、食育という言葉をよく耳にしますが、正直なところ、何をすれば良いのかよくわからない親御さんも多いような気がします。ご飯をきちんと食べましょうということが大切なことだけはわかりますが、野上さんは食育についてどう思われますか？

そうですね。私は、どうも「食育」という言葉がひとり歩きしている気がして。 食べることまで教育にするって、なんかしんどいなあって思います。そもそも日本には旧暦に基づいた「行事食」というものがありますよね。これは季節ごとの旬の食べ物を食べたり、お供えしたりするという風習です。近年では農業技術の進歩やインフラの整備で、季節に関係なく1年中流通している野菜が増えていますし、漁師さんから聞いた話ですが、地球温暖化の影響で今年はシャケが獲れないらしくて。シャケに限らず、そのとき食べられる魚種が変わってきているのに、食べたい魚を私たちが選んでしまうので、必要以上に獲ってしまって結局翌年以降獲れなくなる。そんな矛盾が起きてしまうと聞きました。 自然の流れに逆らっているようでなんだか違和感を覚えます。

行事食について言うと、たとえば七草粥。お正月、いっぱいご馳走食べてお腹が疲れちゃったから、お野菜と柔らかく炊いたお粥さんを食べようということですよね。昔はいまよりもっと寒かったから、地面から出てくる緑が貴重だった。寒い季節に地面から出てくる若い息吹＝七草を食べることがからだに良いよね、みたいなことだと思うんです。このごろはいつでも青いものがスーパーにありますから、何も『七草を食べなければならない』ことはないのです。大根の葉っぱとか、お雑煮の残りの小松菜だけでも良いんじゃない？と思うんです。昔からある日本の行事も、旬の食材を食べるのも否定はしませんが、消費行動のために無理やり旬を合わせるのは逆転現象だなと思って違和感があります。 この時季はからだのためにこういったものを食べたら良いね、とか、いまこれがたくさん獲れるから食べよう、という消費行動の方が自然で無理がないんじゃないかなあと思うんですよね。 &nbsp;<h2>お弁当はモバイルの（持ち運べる）食卓</h2>ーー確かに、行事食や流行の食べ物をスーパーやメディアで目にすると、これを食べるのが良いこと、というよりも「食べねばならない」という気持ちが先になってしまう。 わかっているけどできないと、つらくなる、ということがあります。 特に子どもの食になると、栄養面含めて食べ物が大事でそこをきちんとできていないと、良くないと思ってしまいます。

お弁当コンサルタントなので、お弁当の話になりますが、お弁当＝愛情と直結しているという考え方が結構あると思います。お弁当づくりがちょっと苦手、時間がなくて、というだけで、何かできていないって言われてしまうのって切ないしつらいですよね。 私はよく「お弁当はモバイルの食卓」っていう話をします。 食卓というのは家のご飯が乗るところですよね。つまりお弁当って、食卓に乗るご飯をそのまま箱に詰めて持っていくという考え方です。食卓って、ご飯とお味噌汁が乗るときもあれば、菓子パンだけのときや、私なんか、家で仕事しているとコーヒーとクッキーだけのときもありますよ。 食べる人が食べたいものを食べる場所が食卓です。 だから、お弁当って好きなものをなんでも入れて良いと思うのです。 &nbsp;<h2>お弁当の蓋を開けたらそこには安心安全な食卓</h2>

食卓って、私の中では「家族のコンフォートゾーン（居心地のいい場所）」だと思っているんです。 誰にも見られないし、誰にも評価されない。何をどれだけ食べても誰にも何も言われない。私たちって、みんなそれぞれ家を一歩出ると、大人も子どもも、そこはもう、チャレンジングな世界です。 だからお昼にお弁当の蓋を開けたときに自分の普段の食卓が詰まっていたら、一度コンフォートゾーンに戻って来ることができるんじゃないかと思うんです。お弁当を食べて、蓋をして、またチャレンジングな世界に飛び込んでいく。 コンフォートゾーンがあるからこそ、チャレンジングな世界で頑張れる。 何となくお弁当ってそういう存在かなと私は思います。ーー確かに一歩家を出たら、子どもも大人もそれなりに緊張したり、ストレスを感じたりしますよね。お弁当を開けたらホッとする食卓、素敵ですね。

先ほど「食育」の話が出ましたけれど「好きな食べ物なんですか」って聞くと、その人その人に、何かしらバックグラウンドがあるんです。同じ卵焼きでも、どんな味で、誰がつくったとか、いつ食べたとか。料理や素材だけでなく、背景や思い出など、そこに見えない思いも含めて「食」なんですよね。実はうちの子どもたち、お弁当に何が入っていたか、全然覚えていないんですよ。 私も自分がつくったお弁当に何を入れたか、本当に覚えてなくて。ところが、いつ持たせたとか、どんなお弁当箱を持っていたかとか、あそこで無茶苦茶量が増えたよな、それって部活を始めたからだな、といったことは、覚えているんです。 もちろん栄養やバランスは大切ですが、そこだけを切り取って、強調したり、測ったりするのはどうでしょうか。1年365日、1日3食のうちの1つだから、日々の流れの中で栄養のバランスの辻褄が合えば良い話で。お弁当やお子さんの食事も同じで、それぞれの家庭の「食卓」があって良いと思う。 評価されるものではないと思います。<h2> 食べたいもの+食べたら良いものを。ときにはアウトソースも必要</h2>ーー　一方で、お弁当問題はどの年齢になっても悩みのタネです。おかずの種類や見栄えなど、悩む要素はたくさんあります。特に、働くお母さんにとって朝のお弁当づくりは大変です。

よく「お弁当に何を入れたら良いですか？」と質問されます。 先ほどお話しした通り、お弁当は食卓なので、何を入れても良いんですよ。誰かに評価されるものでもないし、食べる人が心地良いものが入っていればそれで良いのではないかと。食べたいものと食べたら良いなというものを一個ずつ組み合わせると良いのかなと思います。 仕事や家事で疲れているときの食事の用意は、つらいですよね。つくっている人が大変そうにしていると、子どもは自分が大変な思いをさせちゃっているかもしれない...と敏感に考えてしまうことがあります。しんどいところはアウトソースしましょう。ご飯を炊くことが苦手なら、ご飯をアウトソースして、今日は面倒くさいな、と思ったらおかずを買ってくれば良いと思います。何となく気が引けるところがあって、自分にとっては苦手だなあと思ったら、それはアウトソースしたら良いと思います。食べていて罪悪感なんて持ったら楽しくないですから。 そのようにして心地よい方法を探っていくのが良いんじゃないかなあと思います。 大切なことは楽しく食べることですから。ーーすべて手づくりしなくちゃいけないのかなと思っている人も多いと思うので、みなさんホッとすると思います。

そうですよね。人によって面倒くさいポイントは違うので、無理せずやれることを見つけると良いですね。私はとても面倒くさがりなんですよ。常に面倒なことをどうすれば避けられるかを考えています。笑　 お弁当も焼きそばでもなんでも、食べる人が心地よければ何を入れても良いのです。 白黒じゃなくて、自分にとって、この辺りが心地よいと思える少しの部分を見つけるのが大事かもしれませんね。 &nbsp;<h2>100点じゃなくても良いから食卓を囲む時間を大切に</h2>働くお母さんは、学童のお弁当で悩まれる方も多いと思います。お昼って朝と夜の繋ぎなんですよね。朝昼晩で考えると、お昼に毎回100点満点はいらないのです。お弁当も同じです。私の好きな「いやいやえん」という本の中のエピソードに、お弁当の時間の話があります。いやいやえんは「いやだいやだ」ばかり言う子どもしかいない幼稚園なのですが、 毎日お稲荷さんしか持ってこない子と卵焼きしか持ってこない子が登場します。 お稲荷さんの子は「私は朝も昼も夜もお稲荷さんを食べるのよ」というのです。普通の幼稚園では、「お稲荷さんばかりでは丈夫になりませんよ」と言われるのにいやいやえんでは何も言われない、というエピソードなのですが、私は「毎日お稲荷さんでも良いじゃない？」と思ったのです。 お稲荷さんが好きなら中身を毎日変えて、いろいろな具を入れてあげれば良い。それはサンドイッチでも良いのです。サンドイッチが食べたいんだったら毎日サンドイッチで良くて、食べたいものと食べて良いものを組み合わせてサンドイッチの中身を考えてあげる。枝豆が好きなら毎日枝豆挟んであげて。ハムと枝豆、卵と枝豆、エビと枝豆、っていうふうに。

好き嫌いが気になるかもしれませんが、うちの子どもたちを見ていて、彼らも小さいころは嫌いな食べ物がありましたけれど、大人になってから食べられるようになったものが結構あります。なんだかよくわからないうちに、あるとき、急に食べるようになることもありますから。とにかく食卓を囲んで一緒にご飯を食べる。 忙しいとちゃんとした食事をどうしようか、悩まれると思いますが、私にとっては、一緒に楽しくご飯を食べることが一番大事です。そこで自分の嫌いなものを美味しいって言って食べている人がいるってことさえわかっていれば、いつかそのときのことを思い出すかもしれません。 私はそれで良いと思います。何を食べるかよりも食卓を囲む時間を大切にすることで、食卓がコンフォートゾーンになると思うのです。

後編は「小説家を夢見た日本文学部の女子大生がお弁当家になるまで」と題して、 フリーランスのライターから起業家へと進化する野上さんの子育てと家族の話、そしてワークライフバランスに迫ります。 後編は<a href="https://www.seiban-sodasoda.com/episodes/detail/sodavoice-240105/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">こちら</a><figure class="image"><a href="https://www.seiban-sodasoda.com/episodes/detail/sodavoice-240105/" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><img src="https://seiban.g.kuroco-img.app/v=1704419049/files/topics/514_ext_04_0.jpg"></a></figure>

<h3>プロフィール&nbsp;</h3><figure class="image image-style-align-center image_resized" style="width:75%;"><img src="https://seiban.g.kuroco-img.app/files/user/topics_img/9/05/MicrosoftTeams-image%20(small).png"></figure> 野上 優佳子（のがみ ゆかこ） 弁当コンサルタント、料理家。3人の母。 中学生の頃からお弁当を作り続けて35年以上。 国内外で講演やワークショップを行い、単なる料理レッスンではなく「日々心地よく生きるアイデア」が楽しく分かりやすく学べることで好評。『楽しく作って毎日おいしい　こどものおべんとう』（成美堂出版）『お弁当づくりの地頭がよくなるお弁当のセカイ』（ワニブックス）など、お弁当に関するレシピ本をはじめ著書多数。サステナブル弁当箱の商品企画や監修なども手掛ける。東京学芸大学教育学部卒。株式会社ホオバル代表。 Instagram：<a href="https://www.instagram.com/yukakonogamis/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">@yukakonogamis</a>

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