教えてヨーコ先生

うちの子は、たとえば好きな図鑑を読んでいるときなど、集中すると、こちらが話しかけても聞いているのか聞いてないのか、なかなか返してくれません。寝る前にそうなると、寝る時間が遅くなってしまうので困っています。

「とことん」の時間をつくってあげて、生活リズムは親のスケジュール管理も必要です。

興味のあることにはとことんのめり込む、すごい集中力ですね。
まず、そのことはお子さんの強みだと思います。私がこれまで取材した「やりたいことを見つけて活躍している人」の多くが、幼少期に好きなことに没頭していたというエピソードを持っていました。ですから、その強みを決して否定しないでくださいね。

<h2>集中力は強み</h2>集中というのは、脳がフロー状態に入っているということです。 「フロー（flow）」とは、活動に没入し、楽しさを感じている状態のことで、心理学者チクセントミハイが名付けました。 フロー状態にある人は、非常に集中した状態にあり、普段は無意識に行っている「外部から自分自身の状態をモニターする機能」が薄れるため、自意識が薄れてしまい、時間感覚も正確ではなくなると言われています。 お子さんが、お母さんの声かけに反応しない理由は、まさにこれです。

そうなんですね。だから、話しかけても返事しないんですね。

そうなんです。でも良いこともあります。
フロー体験をすると、「楽しい」「やりがいがある」と感じるのでもっとやってみたいと思うようになり、結果的に高い成果が上がるので、自信が高まって、能力的にも心理的にも成長すると考えられています。
ですから、集中しているときは、邪魔をしないで見守る！
まず、これを心がけてください。

でも、見守っていて、寝る時間が遅くなってしまってもいいんですか？

いいえ、そういうことではありません。
ここからが本題です。相談者さんは、寝る時間が遅くなることを気にされているので、十分ご存じだと思いますが、子どもの成長に大きな影響を与えるのが、睡眠習慣です。

<h2>早寝・早起き・朝ごはん</h2>発達脳科学者で小児科医の成田奈緒子先生は、臨床経験をベースに脳科学の研究を続けると共に長く発達障害が疑われる子どもの治療に関わる中で、子どもの脳の発達に「寝る・食べる・身体を動かす」という基本的な生活習慣が及ぼす影響が大きいということに気づき、「早寝・早起き・朝ごはん」を提唱されています。 大人でも睡眠不足は不調の原因になりますが、子どもの睡眠時間が短いことは、わたしたちが思う以上にさまざまなことに影響を及ぼします。

まず押さえておきたいのは、私たちは昼行性動物だということ。しかし、夜間に強い光を浴びて夜更かしをするうちに、本来持っている動物としての活動リズムが狂い、その影響が心身の不調となって表れてしまうのです。 実際、就寝時刻が遅い子どもほど、「自分のことが好きだ」と回答する割合が低く、「なんでもないのにイライラする」と回答する割合が高い、という結果があります。 逆に生活リズムが安定すると、寝ている間にホルモンの分泌が促され、脳が発達していきます。ですから、子どもの才能を開花させるためには、なによりまず「早寝・早起き・朝ごはん」を実行することが大切なのです。 なので、寝る時間も忘れて何かに没頭するという事態は避けたい。 &nbsp;<h2>生活リズムを整えて睡眠時間を確保しましょう</h2>

では具体的にどのくらい睡眠時間を取ればいいのでしょうか？
年齢によって成長に必要な睡眠時間は、大まかに0歳児で14～15時間、1歳児で14時間、3歳児で12時間、小学生で10時間が理想と言われています。

しかし、日本全国の小学生の平日の平均睡眠時間は８時間15分なので、理想より2時間近く短いのです。成田先生は、発達段階にある小学生は、9時間は寝てほしいとおっしゃいます。

お子さんは毎日何時ごろに寝て何時ごろに起きていますか？睡眠時間は何時間くらいですか？ もし就寝時間が日によってずれてしまっているなら、まず、起きる時間・寝る時間を決めて、いつも同じリズムで生活することを第一優先にしましょう。 そして、なぜ睡眠が大事なのかをお子さんにもちゃんと伝えて、1日の過ごし方を決めてください。 子どもに話しても理屈はわからないと思うかもしれませんが、ちゃんと大きくなるためには夜更かしはダメなんだということを伝えれば、子どもなりに理解できるはずです。 好きなことに没頭する時間はとても大事な時間ですが、生活リズムを整えることの方が、もっと大事。工夫をしてみましょう。

<h2>とことんの時間</h2>大好きな図鑑を読み始めると時間を忘れてしまうということですから、たとえば夕食前などキリがつけやすい時間に「とことんの時間」を設けて、「その時間はなんでも好きなことをしていいよ！」と任せてみるのもいいかもしれません。 子どもが生活習慣を身につけるには、できるだけ1日の流れをルーティンにした方がいいので、小さいお子さんなら、食事の時間・お風呂の時間・寝る時間などお子さんがわかりやすいように、目立つところに書いておくのもおすすめです。 こうすることで、自分で時間をコントロールする力が少しずつ育っていきます。 &nbsp;

「子どもはまだ脳が発達していないので、先を考えて行動することはできない」ということを前提に、どうすれば子どものやりたいことと、日常生活を健やかに送ることの両立がはかれるのか、工夫をしてみてくださいね。

イラスト：さぶぼーぼ　<a href="https://www.instagram.com/sabubobo.i/" target="“_brank”">@ sabubobo</a>

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