教えてヨーコ先生

親が「アレしてこれして」と言わなくても、子どもが自主的に動くようになってほしいと思っていますが、そのためにはどんな関わり方をすればいいでしょうか。

どんな方法があるか考えるために、まずは、お子さんにどんなことをしてほしいのか、具体的に考えてみましょう。

<h2>子どもはまだ先を見て行動する能力が育っていません。</h2>

「自主的に動いてもらいたい」というお気持ち、よ～くわかります。
毎日お子さんの行動をチェックして、指示を出さないといけないとしたら、こっちも疲れちゃいますものね。
なので、どんな方法があるか考えてみたいと思いますが、具体的に、どんなことを自分でしてほしいと思っていらっしゃるのでしょうか。
宿題など学習に関することでしょうか？
あるいは、朝の支度、食事、入浴、明日の学校の用意や寝る前の準備など日常生活に関することでしょうか？

いずれにしても、前提として、子どもは、年齢が低いほど時間の感覚も育っていないし、先を予測して行動するのは苦手です。&nbsp; ですから、「早くしなさい」という声掛けは、ほぼ効果はありません。&nbsp; 「早く」と言われても、どのくらい早くなのか、いつまでにやらないといけないのか、それをしないとどんな困ったことになるか、なんてほとんど理解できていないからです。 なので、指示を出すときにも、抽象度の高い表現ではなく、できるだけ具体的に伝えることが大切です。そして、時間の感覚を身につけるためには、時計を見せながら、 「7時からご飯を食べるよ。今、6時だから、それまでに、宿題を終わらせられるかな？もし、30分で終わったら、まだあと30分あるから、それまで好きなことができるね。どうする？」というように、具体的に話して、子どもに時間の概念を伝えるようにするといいですね。

なるほど。確かに、先を見て行動するって、子どもにとっては簡単じゃないかもしれませんね。

そうなんですよ。ですから、自分から動くようになるには、まず時間の概念を身につけていくことが欠かせません。なので、例えば「5時の鐘がなったら、お家に帰る」というように、小さい頃から子どもにわかりやすい形で伝えて約束して習慣化すると、少しずつ時間の概念が身についていきます。

<h2>時間の概念を身につける仕掛けを</h2>小学校に上がると、学校でもチャイムがなったら休み時間というように、きっかけを作って時間を区切っていますよね。お家の中でも、時間を区切って何かをするときには、タイマーをかけるとか、わかりやすい仕掛けをしていくといいかもしれません。 ただ、時間の概念を身につける仕掛けをするにしても、子どももそれを納得している必要があります。そうでなかったら反発するか、言うことを聞いたとしても、コントロールしないと動かなくなったら、指示待ち人間になっちゃうってことですからね。 ここでのコツは、①親が守ってほしいことは、先にちゃんと伝える。 ②それまでにどのくらいの時間があるかを可視化する。 ③やらないといけないことと、子どもがやりたいことがあるときに、それをいつ、どのようにしたらいいか、アイデアは伝えるけれど、決定は子どもにさせる。ということです。 逐一指示命令をするのではなく、家族のルールなど守ってほしいことはちゃんと伝える。それ以外は、自己決定を促す声掛けをしてみてください。 &nbsp;<h2>何をいつするのか、紙の上で時間を可視化するという方法があります。</h2>

最終的には、自主的に動いてほしいのですよね。これは、とても大事なことです。ぜひ、自主的に動いてもらえるように、働きかけていきましょう。時間の概念が身についてきたら、紙の上で時間を「見える化」すると言う方法があります。

紙の真ん中に時計のマークを書いて、その周りにやることを書いていくのです。
例えば、家に帰ってから寝るまでの時間についてだとしたら、夜9時に寝るのであれば、9時のところで線を引いて「ふとんにはいる」、学校から帰ってくる時間（例えば3時半）に線を引いて「いえにかえる」と書きます。こうすると、家に帰ってから寝るまでの時間を空間として捉えることができます。

その間に、ご飯を食べるとか、お風呂に入るとか、毎日のルーティンが入りますね。それをブロックしたら、残りの時間がどのくらいあるかがよりはっきりしてくるはずです。 そうしたら、宿題などやらないといけないこと、テレビやゲームなどやりたいことを全部書き出してみて、いつそれをするのかを子どもに考えさせて入れていくのです。

いいですね。
時間を「見える化」するって、大人でも使えるかも。

そうなんです。きっと手帳に予定を書くことはやっていらっしゃると思うのですが、時間を空間で捉えると、行動しやすくなるんです。

もちろん、最初からうまくいくとは限りません。 30分で終わるはずの宿題が1時間かかってしまい、やりたかったことができなかったと言うことになるかもしれません。逆に、遊ぶ予定を先に入れて、宿題を後回しにしてしまい、寝る時間までに終わらなかったと言うことになるかもしれません。それでも、寝る時間を決めたなら、そこでタイムアウト！ &nbsp;終わらなかった宿題は、明日の朝学校に行く前にやるのか、そのまま持っていくのか、決めてもらいます。 なぜなら、寝る時間が遅くなったら、次の日に影響するからです。そのことをちゃんと伝えて、そこは守ってもらいましょう。 （生活リズムを整える大切さについては、以前書いた<a href="https://www.seiban-sodasoda.com/episodes/detail/82/">この記事</a>を読んでくださいね。）

そして、今回は予測が甘かったのですから、次はもっと時間に余裕を持って予定を組むか、やりたいことの優先順位をつけるか、考えてもらいましょう。 そういう失敗を重ねながら、徐々に時間の概念が身につき、先を見て動くと言うことが少しずつできるようになっていくと思います。ここで大事なのは、親が決めるのではなく、子どもに考えさせるということです。 自分で考えて決めたことは、やる可能性が高くなりますし、うまくいかなかった結果も人のせいにできないので、次はどうしたらいいかを考えるチャンスになります。

でも、くれぐれも、うまくいかなかったときに「ほーら、だから言ったじゃない」とイヤミを言わないこと。そして、できたときには、「よく考えられたね」と褒めてあげましょう。大事なのはお子さんとのいい関係です。
なんだかんだ言って、子どもはお父さんやお母さんに認めてもらいたい思っています。
知恵を絞って少しずつでも自分で考えて動けるように、工夫してみてください。

‌