教えてヨーコ先生

ヨーコ先生こと中曽根 陽子（なかそね・ようこ） 数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストであり、幸せな子育てを探究するマザークエスト代表。東洋経済education ✕ ICT、プレジデントオンライン、中学受験ナビなど多くのウェブメディアで執筆。『成功する子は「やりたいこと」を見つけている　子どもの探究力の育て方』（青春出版社）他著書多数。

子どもに何か話しかけても「うん…」「別に…」と会話になりません。
学校で先生に自分の気持ちをきちんと伝えられているのか、人ときちんと話せるようになるのか、心配です。

実は家の中にチャンスがあります。

<h2>子どもが話したがらないのには理由があります</h2>

何を聞いても生返事で、会話が成り立たない。
これって、よくある話ですね。
遠慮のない間柄の親子だから余計、「うん」「別に」で済ませてしまうともいえますね。

そうはいっても、親子でもっといろいろ話せたら良いですよね。 子どもが話をしない。その理由は、大きく分けて2つあると思います。ひとつは、子どもが話したいことではなく、こちらが聞きたいことを聞いている。 もうひとつは、相手のタイミングを無視して聞いている。自分のことに置き換えて考えてもらえたらわかると思うのですが、 自分が話す気がないときに興味のないことをいろいろ聞かれても、話は盛り上がりませんよね。&nbsp;<h2>まずは子どもの話に耳を傾けてしっかり聴きましょう</h2>なので、まずお伝えしたいのは、聞き出すのではなく、相手の話に耳を傾けるということです。 皆さんは、お子さんが何か話をしてきたときに、どのように返事をしていますか？もしかしたら、お子さんの顔を見ないで生返事で聞いている、なんてことないですか？ &nbsp;また、「忙しいから後でね」と言ってタイミングを逸しているなんてこともあるのではないでしょうか？&nbsp;

確かに、子どもって、こっちが忙しくしているときに限って何か言ってくるので、ついついそうしているかもしれません。

そうですか。話したいタイミングを逃すと、次に聞いても話す気が無くなったり、何を話したかったか忘れてしまったりしますよね。

なので、まずは、お子さんが何か話しかけてきたら、何かしていてもちょっと手を止めて、顔を見て聞いてあげる。どうしてもタイミング合わなければ、「今は他の用事をしているから○時になったら聞くから、それまで待ってね」とまず、対応してあげましょう。

そして、お子さんの話が、たとえくだらない話だなと思っても、「へー、そうなんだ。」「それで？」というように、相手の話に関心を持って頷きながら、話を聞いてあげましょう。これって、良い親子関係を築くためにもとっても大事なことです。ですから、まずはこちらの聞きたいことではなく、相手の話したいことに耳を傾け、関心を寄せて聞くということを心がけてください。<h2> 表現力は訓練すれば身につきます</h2>次に、「学校で先生に自分の気持ちをきちんと伝えられているのか、心配。人ときちんと話せるようになってほしい」ということですが、これは訓練でできるようになります。私の著書でも紹介していますが、社会人の84％が人前で話すことに苦手意識があるというデータがあります。 日本は、これまで学校の中でもプレゼンテーションをする機会ってほとんどなかったからですね。 でも、社会に出たら、人前で話をしなくてはいけない機会は圧倒的に増えます。 ですので、小さいころから、自分の考えを筋道立てて話す訓練をしていくことが大切です。<h2> 察しの悪い親になりましょう</h2>

私は、表現力は日常生活の中で育てることができると思っています。お家での会話を振り返ってみましょう。 お子さんは「水」「いや」「おやつ」と単語を連発していませんか？ これは、小さいころからそれで会話が成り立ってきた結果です。 親はまだ上手に話せない子どもの気持ちを察して、先回りしてお世話をしてしまいがちです。 これは無意識にやっていることがほとんどですが、察しの良い親の過干渉が子どもの言語能力を奪っているのです。なので、察しの悪い親になることをお勧めします。

察しの悪い親ってどういうことですか？

これは子どもの話を聞かないということではなく、むしろちゃんと聞いてあげないとできません。

例えば、お子さんが「水」と言ってきたら、水が欲しいと分かっていても、 「水がどうしたの？」と聞き直すのです。 すると、お子さんは「水が飲みたい」というかもしれません。でも、まだここで水を出してはいけません。「水が飲みたいのね」と答えるに止めて、「どうして欲しいの？」と聞きます。そして、「水をちょうだい」と言ったら、初めて水を入れてあげるのです。こういうやり取りから、子どもの言語能力は育っていきます。&nbsp;

<h2>「脱ワンワード週間」で楽しみながら言語能力をアップ！</h2>それを楽しみながらできる方法を紹介しましょう。 それは「脱ワンワード週間」です。これは、社会人から小学生までを対象に次世代のリーダーを育成している三谷宏治さんが広めていらっしゃる方法です。

1）「わかんなーい」「やばい」「別に」など我が家のNGワードを親子で決めて、これから1週間は使わないことを約束します。 2）次に、「これから1週間、NGワードを使わずに、文章で話す」という宣言をします。 3）毎日反省会をして宣言が守れたらご褒美シールを貼ります。

NGワードは、 ①親から子へ「子どもがよく使うけれど、やめてほしいワンワード」 ②子から親へ「親がよく言ってしまうけれど、言ってほしくないワンワード」 をお互いに出し合って決めます。これを実際にやってみてもらったところ、親の方が「宿題は？」「だめ」「やめさない」など、ワンワードを連発していたことに気づいたという結果も出ています。

子どもにきちんと話して欲しいと思ったら、まずは親がそのモデルになることが大切です。

1）相手の話を聞くこと
2）察しの悪い親になること
3）そして、お互いに、単語ではなく、きちんと文章で伝えること

を心がけてみましょう。

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