教えてヨーコ先生

去年の夏休みは宿題を後回しにして遊んでばかりいたので、今年は親がスケジュールをがっつり管理しようかと思いますが・・・、何かいい方法はありますか？

親がきちんとスケジュール管理をするのではなく、子どもと一緒に考えるようにしましょう。

<h2>「先を見通すこと」は大人にはできても子どもには難しい</h2>もうすぐ夏休み！ 子どもにとっては、「待ちに待った夏休み！」でしょうが、親にとっては「頭が痛い夏休み」かもしれませんね。「毎日子どもが家にいると、お昼ご飯もつくらないといけないし、ゴロゴロされているのを見るとイライラする！」という声もよく聞きます。 そして、「夏休みの宿題問題」これも、イライラポイントですね。相談者さんのお子さんが何年生か分かりませんが、子どもは、いつ、何を、どのようにするのか、先を見通して行動するというのが、まだ得意ではありません。ですから、全てを子ども任せて放っておいたら、夏休みの最後の日にとても終わらない量が残っていたなんてことになりかねませんよね。 「去年は毎日遊んでばかりいたので、今年はきちんとスケジュール管理をしたい」ということですが、もしかしたら、それに近い状態だったのでしょうか？

まさにそうです。子どもに決めさせたほうがいいと思って放っておいたら、まさかの事態になりました（汗）

だから、今年は、親がスケジュールをがっつり管理しようと思っていらっしゃるのですね。
でも私は、親がスケジュールを決めるというやり方はお勧めしません。
なぜなら、スケジュールを決めたところで、その通りにやらなかったら、「決めたのにやらない！」ということがまたイライラポイントになってしまうからです。

<h2>「仕分け」で子どもにスケジュールを考えさせましょう</h2>

ではどうしたらいいか。まず、夏休みに入ったらすぐに、どんな宿題が出ていて、それにどのくらいかかりそうかを、見える化するのです。そしていつ何をするかは、子どもに決めさせてはどうでしょうか？そのときのポイントが、「種類分け」いわゆる「仕分け」です。 今は夏休みの宿題をあまり出さなくなったと言う話も聞きますが、それでもいくつかはあるはずですよね。 ドリルのような学習系と自由研究、そして読書感想文や絵日記など、種類によって、準備が必要で、しかも完成させるまでにある程度時間がかかるものから、時間配分を決めれば終わるまでの見通しを立てられるものまで分類できますよね。ドリル系は、全部で何枚あるかを数えて、1枚やるのに必要な時間を割り出せば、何日あれば終わるかがわかります。読書感想文は、読む本を決めることから始まって、読み終わるまでの時間を予測し、書く時間をとるところまで一連の流れが必要です。自由研究も、何をするかでかかる時間が大幅に変わるので、何をするかを決めるのは早めにしたほうが良さそうです。それらを全て書き出してみて、何をいつどのくらいやればいいか、どのくらいかかりそうか、お子さんと話しながら、種類ごとに仕分けしていきましょう。 お子さんによっては、自分では決められないこともあると思うので、お子さんができそうなペース配分を一緒に考えてあげましょう。

なるほど。やることリストはつくろうと思っていましたが、仕分けをするといいのですね。具体的にはどのようにすればいいでしょう？

<h2>夏休みカレンダーをつくって、宿題や遊びの予定を見える化しましょう。</h2>カレンダーを使って、何をいつするかを、お子さんも一目でわかるように書き入れて、見えるところに貼っておくといいですね。タスクによって色分けしたり、お子さんと楽しみながらつくるといいですよ。ちょうどいいカレンダーがなければ、画用紙で自前のカレンダーをつくるのもおすすめです。夏休みは、旅行や祖父母の家への里帰りなど、普段はできない体験もたくさんできる機会なので、もし決まっているなら、それらの予定を先に書き入れて、間に宿題をやる日を入れていく感じになるかなと思います。 遊ぶときは遊ぶ！とメリハリをつけるのも大事ですから。また、遊びの予定があると、その日までにこれは終わらせようとか、励みにもなります。 他の予定（例えば習いごとなど）も一緒に書き入れると、どこに余白があるかわかります。 その日のタスクが終わったら×で消すなり、ご褒美シールを貼っていくと、あと何がどのくらい残っているのかを一緒に確認することができます。そして、夏休みの真ん中あたりで一旦見直して、予定通りに終わりそうになかったら、その時は計画の立て直しをしましょう。

多くの親御さんが、ただ「早くしなさい」「ちゃんと考えてやりなさい」と曖昧な言葉がけで終わっていたり、「子どもに任せているとうまくいかないから、私が全て管理してやらせる」であったり、反対に「子どものことには手を出しません」と全くみてあげなかったりしているのではないでしょうか？そうではなくて、上に書いたように、課題を明らかにして、それを解決するためには何をすればいいか、それは自分でできるのか、助けが必要なのかをお子さんと一緒に確認していくと親も無駄なエネルギーを使わずに、お子さん自身が考える経験を積むことができます。<h2> プロセスを経験させることで自分で考えて行動できる子に</h2>どんな宿題が出ているのか、それにはどのくらいの時間がかかりそうなのかを明らかにした上で、何をいつどのくらいの時間をかけてやるかを決めていく。 このプロセスを、お子さん自身が経験していくことで、少しずつお子さんが自分で考えて行動することができるようになっていきます。 こういうあり方を、支援的子育てスタイル『ちょうどいい親』といい、数々の調査でも、そうした関わりが子どものやる気を育てることがわかっています。 こうした家庭での小さな取り組みの積み重ねが、子どもの自分で考え、行動する力の元になるのです。 私の『成功する子はやりたいことを見つけている　子どもの『探究力』の育て方』でも紹介しているので、よかったら読んでくださいね。

ちょうどいい親を目指してみませんか？
最後に、夏休みだからといって、夜更かししないように気をつけてくださいね。生活リズムが乱れると、秋からの不調の原因になりますから！ 
だらだらさせたくないと、詰め込みすぎないようにすることも気をつけて！　
普段できない時間の過ごしかたも大切ですから。
いい夏休みをお過ごしください。

ヨーコ先生こと中曽根 陽子（なかそね・ようこ） 数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストであり、幸せな子育てを探究するマザークエスト代表。東洋経済education ✕ ICT、プレジデントオンライン、中学受験ナビなど多くのウェブメディアで執筆。『成功する子は「やりたいこと」を見つけている　子どもの探究力の育て方』（青春出版社）他著書多数。

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