教えてヨーコ先生

ヨーコ先生こと中曽根 陽子（なかそね・ようこ） 数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストであり、幸せな子育てを探究するマザークエスト代表。東洋経済education ✕ ICT、プレジデントオンライン、中学受験ナビなど多くのウェブメディアで執筆。『成功する子は「やりたいこと」を見つけている　子どもの探究力の育て方』（青春出版社）他著書多数。

これからは探究が大事だとよく聞くようになりました。普段は忙しくて、なかなかそんな経験もさせてあげられないので、時間がある夏休みは、自分のやりたいことを探究してほしいなと思います。
でも、何をすればいいのか・・・。
なかなか親だけでは難しいのが現状です。どうしたらいいでしょう？

探究が大事って聞くようになってきたんですね。
ほんとここ数年で、親御さんの意識も変わってきたなと思います。

<h2>夏休みは探究のチャンス！でも何かをしなくちゃと焦らないで</h2>決まった宿題をこなすだけでなく、自分が興味を持ったことや、どうして？なぜ？と思ったことに主体的に取り組んでほしいという親御さんが増えています。 普段はじっくり何かに取り組む時間を取れないと思うので、夏休みは探究のチャンスですが、何をさせたらいいかわからないという声も実際よく聞きます。

そうなんです。子どもをどこかに連れて行こうと思っても、自分たちもそんな経験をしていないので、何をすればいいか分からなくて。

そうですよね。探究って最近出てきた言葉ですから。改めて探究すると言っても何をすればいいか分からないというのが、多くの親の本音だと思います。でも、何かをしなくちゃ！と焦る必要はないと私は思います。 夏休みと言えば自由研究が宿題になっているお子さんが多いと思いますが、そのテーマ決めも探究の入り口ですよね。 ベネッセ教育情報によると「自由研究は個の力を高めるためには絶好の機会と言えるでしょう。それぞれの興味や能力に応じてテーマを設定して取り組めることも、自由研究の大きな利点です。（中略）独力で調べたり、学んだり、まとめたりする経験や、完成させたことで得られる達成感は、他の学習にもつながるに違いありません。また、当初の計画どおりにスムーズに完成させることはもちろん素晴らしいですが、仮に途中でつまずいたとしても諦めずに続けられれば、そのことが大きな自信となるでしょう。」 とあります。（ベネッセ教育情報：<a href="https://benesse.jp/kyouiku/201507/20150719-2.html" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://benesse.jp/kyouiku/201507/20150719-2.html</a>）研究というくらいですから、子どもたちが、与えられる学習ではなく、学問に通じる扉を開く最初のチャンスともいえるでしょう。 ですから「宿題だからやらなくちゃ！」ではなく「おもしろいことを見つけてみよう」というモードで取り組んでほしいなと思います。分野も自然科学・社会科学・人文科学・芸術なんでもいいので、お子さんが得意なこと、興味のあることからネタを考えていくといいですよね。ネタに困ったら、図書館で自由研究の本を借りてくるというのは定番ですが、今はオンラインで探究系習いごともたくさんあって、割とリーズナブルな値段で単発のサマープログラムが提供されているので、その中からお子さんがやってみたいと思うものを受けてみるのもいいかもしれません。 学校の先生以外の大人から、学校の勉強とは違う視点で学ぶことで、お子さんの好奇心に火がつくかもしれません。そこからさらに深掘りしてそれを自由研究にしてもいいですね。

<h2>自然体験は探究の宝庫</h2>次におすすめなのは、自然体験です。なにしろ自然は、一番の探究の宝庫ですから。 自然の中に入って歩いたり、普段は見られない景色を眺めたり、五感を通して知る、感じることで、子どもの顔が変わっていきます。東京でも、電車で2時間くらい行けば、低山や里山があります。海が近ければ、磯遊びもおもしろいです。普段とは違うそんな経験は、例え1日でも子どもたちの記憶に残る日になるでしょう。でも、親自身が自然の中で過ごした体験が少ないと、連れて行くのは簡単じゃないかもしれません。そんなときには、やはりサマープログラムに参加するのもおすすめです。 私の子どもたちも、小学生の夏休みに、初めて親元を離れて離島のキャンプに参加したのですが、めちゃくちゃ逞しくなって帰ってきました。首都圏の私立中高では、自然体験が少ない子どもが増えていることから、農家に泊まって農業体験をするファームステイや、電気のない場所で過ごすキャンプなどを行っているところがあります。これらの狙いは、子どもたちの生活力を育てることや、頭で考えるのではなく、見て感じることで非認知能力を育む取り組みです。 学校によっては、生徒たちに計画段階から関わらせるところもありますが、これはプロジェクトベースドラーニングとも言われていて、子どもたちがプロジェクトを通して探究する取り組みです。お子さんのプログラムを選ぶときにも、つくり込まれすぎていないものを選ぶと、探究する力を育てることにつながりますね。

子ども自身が考えて動けるものがいいということですか？

そうですね。決まっていることをこなすというより、自分で考えて動ける機会があるものを選ぶことをおすすめします。 同様に、家族旅行を探究の機会にすることもできます。 例えば旅行の行き先や内容を子どもに考えてもらうのはどうでしょう。 行き先は決まっていたとしても、そこで何をするか、子どもに考えてもらうのもいいですね。どんな場所で何ができそうかを調べてプランをつくるって、かなり頭を使います。 高学年なら、予算を決めてその中でみんなが楽しめるプランニングをしてもらってもいいのではないでしょうか？　さらに報告書をつくれば、そのまま自由研究になります。

<h2>『Feel度walk』でご近所再発見</h2>でも、実は、遠くに出かけなくても探究はできます。 家の近所を歩いて、気になるところ発見したことを写真に撮り、家に帰ってからそれを絵にして何を発見したからを紹介し合う<a href="https://www.mitsukaruwakaru.com/#_blog" target="_blank" rel="noopener noreferrer">Feel度walk</a>という取り組みがあります。 これは「探究」という言葉を最初に使ったお一人と言われている市川力さん（みつかるわかる　代表理事）がつくったプログラムです。市川さん曰く、歩くという字は「止まる」と「少し」が組み合わさっている。 つまり、あちこち止まりながら少しずつ歩く。そして、感じたこと気づいたことを写真に撮る。それがFeel度walkです。家に戻ったら撮った写真をもとに、見つけたことを絵にして、何を見つけたか、気になったことや気がついたことを集めて親子で発表し合います。 実際、普段何気なく通っている道も「見つけよう」という目で眺めると、おもしろい発見があります。同じ場所を歩いても、親子で気になるポイントが違うことがわかっておもしろいですよ。それだけでも十分なのですが、ノートを1冊つくって、見つけたことや調べたことを記録していくと、オリジナルの図鑑ができちゃいます。探究といいのは、探す＝見つかる　問いが立って究める＝わかるということ。 疑問に思うことを探すことから始まるのだといいます。 つまり、探究は探して、見つけて、感じて、疑問が出てきて、調べて、わかるというプロセスなのです。 この夏休み、楽しみながら普段はなかなかできないことに挑戦してみませんか？Feel度walkについて、探究について、私が市川さんにインタビューをした動画がありますので、よろしければご覧ください。 ▼YouTube「mother quest」 <a href="https://www.youtube.com/watch?v=-2cUKarG15o&amp;list=PLzIhVrc2UDXxgEUXZYKqfHb9xuwZqFhna&amp;index=28" target="_blank" rel="noopener noreferrer">中曽根陽子の探究チャンネル VOL.17. ゲスト市川力さん（みつかるわかる　代表理事）</a>

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