教えてヨーコ先生

ヨーコ先生こと中曽根 陽子（なかそね・ようこ） 数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストであり、幸せな子育てを探究するマザークエスト代表。東洋経済education ✕ ICT、プレジデントオンライン、中学受験ナビなど多くのウェブメディアで執筆。『成功する子は「やりたいこと」を見つけている　子どもの探究力の育て方』（青春出版社）他著書多数。

イラスト：さぶぼーぼ（Instagram／<a href="https://www.instagram.com/sabubobo.i/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">@sabubobo.i</a>）

◆ イベント情報 ◆<figure class="image"><a href="https://www.seiban-sodasoda.com/events/detail/event-231119_tankyu/" target="_blank" rel="noopener noreferrer"><img src="https://seiban.g.kuroco-img.app/files/user/topics_img/8/09/20231119_%E3%81%BF%E3%82%93%E3%81%AA%E3%81%A7%E6%8E%A2%E7%A9%B6%E3%80%8C%E5%BC%81%E5%BD%93%E3%80%8D%E3%83%90%E3%83%8A%E3%83%BC_%E4%B8%80%E8%A6%A7(1).jpg"></a><figcaption>【参加者募集！】<a href="https://www.seiban-sodasoda.com/events/detail/event-231119_tankyu/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">お弁当を通して「食べる」を"探究"！学校ではできない学びを体験してみませんか？</a></figcaption></figure>

夫は子どものしつけに厳しく、約束を守らないときなどはきつく叱ります。
私はもっとのびのびさせたいと思いながら、社会性を持つきちんとした子どもにするには厳しさも必要だと思い、夫の方針に従っています。実際のところ、厳しく育てるのがいいのか自由にさせる方がいいのか、どっちがいいのでしょうか。

「どっちがいいか」ではなく、ちょうどいい子育てスタイルがあります。

<h2>ルールや約束を子どもは理解していますか？</h2>ご主人はしつけに厳しいのですね。特に約束を守らないときにきつく叱るということですが、具体的にはどんな場面でしょうか。そして、そもそもその約束はどのようにして決めたのでしょうか。もしかしたら、一方的に決めた約束で、お子さん自身は納得していない。 あるいは、なぜそうしなくてはならないのかをちゃんと理解していないのかもしれません。社会性を持つきちんとした子どもと書かれていますが、具体的に、どんな場面でどんなことを守ることが社会性を持つきちんとした子どもだとお考えですか？ これも、人によって考え方が違うので、ご夫婦の間でも食い違っているかもしれませんね。

夫は特に時間を守らなかったり、人に迷惑をかけるようなことをするとに、きつく叱ります。私もそこは大事なことかなと思うのですが、叱り方が怖いので、このままだと萎縮してしまうのではないかと心配です。

<h2>生まれ持った気質も影響します</h2>子育てって本当に正解がないので、 「厳しくしたら萎縮するんじゃないか。反対に甘やかしたら、わがままになるんじゃないか」と迷いますよね。私も子育てしているときには、迷いました。だから、そのお気持ちはよく分かります。 しかも、夫婦で考え方が違うと尚更、悩みますね。

例えば、時間に対する考え方一つとっても、人によって違います。必ず10分前行動をする人、ギリギリに合わせて行動する人、遅れても気にならない人。 これはしつけの結果もあるかもしれませんが、どちらかというと生まれ持った気質の影響もあるのではと思います。そして、その気質は親子でも違うので、必ず10分前行動をするのが当たり前の人と、ギリギリに合わせればいいと思っている人の組み合わせだったりすると、摩擦も起きやすいですね。もちろん社会性を育てるためには、約束した時間は守ることを教えた方がいいです。 でも頭ごなしに時間を決めてそれを守るように押し付けてもなかなかうまくはいきませんし、言われなくてはできない受け身の姿勢が身についてしまいかねません。

確かにそうですね。夫は几帳面で、しかも厳しい親に育てられたせいか、時間や人との約束はちゃんと守らないと、という考えが強いです。
私は親からそんなに厳しくは言われなかったので、伸び伸び育てたいなあと思うのかもしれません。受け身の姿勢が身につくのはよくないですよね。
では、どうしたらいいでしょうか。

<h2>子どもが健やかに育つ子育てスタイル</h2>

「子育てスタイルの研究」というものがありますので、そちらについてご紹介しましょう。心理学者ダイアナ・バウムリンド博士によって始められ、50年近くの心理学や人類学の研究の積み重ねの中で、子どもが知的面、情緒面、社会面全てにおいて、最も健やかに育つ「子育てスタイル」というものがあるということが報告されています。「子育てスタイル」の研究では、大きく分けて次の4つのスタイルで説明できるのではないかと考えられています。 　①迎合的（甘すぎる親） 子どもの気持ちに寄り添う温かみはあるが、親の考えは伝えず、子どもの欲求のまま制限をしない。②支援的（ちょうどいい） 温かく気持ちを認め共感的に接するが、適切でない行動には親の考えを説明して制限する。場合によっては別のやり方を一緒に考える。③統制的（厳しすぎる） 有無を言わせず頭ごなしに子どもを従わせる。従わない場合は罰を与える。④無関心（関心を持たない） 衣食住の最低限の世話はするが、制限も与えず子どもの気持ちにも無関心。 いかがですか？　この研究では、甘すぎもせず、厳しすぎもしないちょうどいい子育てスタイルで育つと、子どもが最も健やかに育つと言われています。また、日本の調査でも、困難を乗り越えやりたいことを実現した人の親は支援的なサポートをしていたという結果が出ています。反対に「統制的」な親に育つと、一見行儀良く「いい子」に見えますが、社会的なスキルが欠けていたり、将来的にも、不安感やうつや自己評価の低さに悩むことが多いとされています。

子育てをしていると、厳しく叱らないといけない場面はあると思いますが、ただ闇雲に厳しくするのは、子どもの自立を妨げる結果にもなりかねません。

こんな話もしながら、まずご主人とよく話し合われたらどうでしょう。

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