教えてヨーコ先生

小学3年生の娘がいます。
できるだけいろいろな経験をさせてあげることが、子どもにとって将来の役に立つだろうという思いがあり、子どもの希望を聞いた上で複数の習い事をしています。

中でも、本人がやりたいと言って始めたのがダンス教室。
ところが、他の子に比べてあまり上達しないためか、自主的に練習をするでもなく、最近では、いやいや行っています。他の習い事も、気分が乗らないと行きたくないと言います。

やる気がない場合はやめさせた方がいいのでしょうか。そうは言っても続けさせた方がよい場合、やめてもよい場合をどのように判断したらよいかの考え方を知りたいです。

「行きたくない」という言葉の奥には何があるのでしょうか。
一度立ち止まってみる機会かもしれませんね。

<h2>「行きたくない」の言葉の奥に何があるのでしょうか</h2>習い事のお悩みは本当に多いですね。 先日のSoda!Soda!のセミナーでも、習い事に関するお悩みが多かったです。 何を習わせるかというお悩みに次いで多いのが、習い事のやめどき。<ul><li>子どもがやる気を見せない。</li><li>やる気がないなら、続けても月謝をドブに捨てるようなものだから、やめさせた方がいいのではないか。</li><li>嫌だからと言ってすぐにやめていたら、なんでも途中で投げ出す癖がついてしまうのではないか。</li><li>嫌なことも乗り越えることで、得られるものもあるのではないか。</li></ul>そんな葛藤がありますよね。 相談者さんも、できるだけいろいろな経験をさせてあげたいという思いがあるんですよね。 そして、本人の希望も聞いたうえでということですから、決して無理強いしているわけではないのだと思います。それなのに、本人がやりたいといって始めたはずのダンス教室も、最近は、いやいや行っているし他の習い事も気が乗らないと行きたくないと言う。 「せっかく習わせてあげているのに…」と思われているかもしれませんね。

そうなんです。やる気がない様子を見ていると、このまま続けても意味がないんじゃないかと思うし、かといって、嫌になったらやめればいいと思われたらそれも違うかなと思うんですよね。

そうですよね。
嫌なことを無理やり続ける必要はないけれど、嫌だなと思っていたものも、続けていくうちにおもしろさがわかるということもありますからね。

<h2>今やっている習い事の振り返りをしてみては？</h2>そうはいっても、お子さんの成長とともに、全ての習い事をずっと続けていくことが難しくなるかもしれません。そこで、ここは振り返りのチャンスと捉えて、お子さんが今なさっている習い事を見直してみませんか。いくつか習い事をなさっているようなので、それぞれについて、習い事の頻度やかかる時間、お子さんの様子を振り返ってみましょう。特に本人がやりたいと言って始めたダンス教室について、お子さんがやる気にならない理由が「他の子に比べてあまり上達しないためか」ということですが、本当にそうなのかお子さんと話したことはありますか？

話したことはないのですが、様子を見ていてそうかなと思ったんです。

本当に「他の子と比べて自分はできない」と思っているのであれば「過去の自分と比べてどのくらい上達しているか」という視点を持てるように話してあげてはどうでしょうか。 そのためには、親御さん自身がそのような視点でお子さんのことを見てあげることが大切です。多分、お子さんもかっこよく踊っている誰かの姿を見て「自分もそんなふうに踊ってみたい！」と思って「やりたい」と言ったのだと思います。 でも現実は、想像とは違っていて、そんなに簡単ではなかったのかもしれませんね。思うようにできないと楽しくないし、自信がなくなっているかもしれません。だけど、自分がやりたいと言って始めたことだから、やめるとも言えずにいやいや行っている状態かもしれません。 なので、すぐに結論を出すのではなく、お子さんが今どんな気持ちなのか聞いてみませんか。

私の子どもも、踊るのは好きでやりたいと言ったので、お友だちと一緒にバレエ教室に通い始めたのですが、次第に行き渋るようになり、最後は本当に嫌がるようになってしまいました。 理由を聞いてみたら「自分は体が硬くて柔軟体操ができない。お友だちは上手にできて褒められるけれど、先生が怒るから怖い」と言うのです。さらに話していくと、自由に踊るダンスが好きということだったので、バレエ教室はやめてもいいけれど、ちょうど発表会が決まっていたので、そこまでやってからにしないかと話して、発表会まで頑張りました。 先が見えたことで、娘もそこまではやろうという気持ちになったようです。 硬くて曲がらなかった体もだんだん柔らかくなり、先生にも褒めてもらえるようになって嬉しかったようですが、発表会が終わったらやはり「やめる」というので、先生にお話ししてやめました。結果的にはやめることになったわけですが、嫌になったからすぐにやめるのではなく、あるところまでは頑張ったことは、本人にもいい経験になったのではないかと思います。その後、他のダンス教室には行きませんでしたが、踊ることは大好きで、運動会では先頭に立ってソーラン節を踊っていました。その姿を見て「彼女がやりたかった踊りはバレエじゃなかったんだな」と思いました。&nbsp;<h2>子どもが「やめたい」という言葉の裏には、いろいろな気持ちが隠れています。</h2>

やめたいと言われたら、その理由をこちらで決めつけて叱ったり、説得しようとせず「やめたいんだね」と繰り返してみてください。やる気がなさそうだなと思ったら、「最近気が乗らないみたいだけど、どうしたの？」と聞いてみましょう。すると「やめたい」という言葉の裏にある本当の気持ちが出てくるかもしれません。 スランプに陥っているのかもしれないし、お友だちや先生などの人間関係かもしれません。 あるいは、勧められてやっているけれど、あまり好きなことではないのかもしれません。 状況が分かれば、そこに焦点を当てて解決策を考えることができます。また、将来役に立つだろうと思って複数習わせているということですが、それらについても、一度見直してみるのもいいかもしれません。 気がつくと、スケジュールがいっぱいで、お子さんはどれもこなすだけになっているかもしれません。

与えすぎると、お腹いっぱいになって受け身の姿勢になってしまいます。
お子さんがやりたいと言ってきてもすぐに始めず、少し待たせるくらいの方がいいのです。

いずれにしても、お子さんが出してきているサインなので、そこをスルーせず、いったん立ち止まって振り返りの機会にしてみてはどうでしょうか。

ヨーコ先生こと中曽根 陽子（なかそね・ようこ） 数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストであり、幸せな子育てを探究するマザークエスト代表。東洋経済education ✕ ICT、プレジデントオンライン、中学受験ナビなど多くのウェブメディアで執筆。『成功する子は「やりたいこと」を見つけている　子どもの探究力の育て方』（青春出版社）他著書多数。

イラスト：さぶぼーぼ（Instagram／<a href="https://www.instagram.com/sabubobo.i/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">@sabubobo.i</a>）

<h3>おすすめの記事</h3><figure class="image"><a href="https://www.seiban-sodasoda.com/episodes/detail/hotsoda-240718/"><img style="aspect-ratio:1000/668;" src="https://seiban.g.kuroco-img.app/v=1719814392/files/topics/639_ext_04_0.jpeg" width="1000" height="668"></a><figcaption><a href="https://www.seiban-sodasoda.com/episodes/detail/hotsoda-240718/">小学生におすすめの習いごとランキング！いくつ習わせたいか、費用目安なども解説</a></figcaption></figure>

‌