教えてヨーコ先生

ヨーコ先生こと中曽根 陽子（なかそね・ようこ） 数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストであり、幸せな子育てを探究するマザークエスト代表。東洋経済education ✕ ICT、プレジデントオンライン、中学受験ナビなど多くのウェブメディアで執筆。『成功する子は「やりたいこと」を見つけている　子どもの探究力の育て方』（青春出版社）他著書多数。

イラスト：さぶぼーぼ（Instagram／<a href="https://www.instagram.com/sabubobo.i/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">@sabubobo.i</a>）

「テレビは30分」「晩ご飯が終わったらドリルをする」といった約束をなかなか守れません。どうすれば子どもが自発的に動くことができるか日々悩んでいます。

そもそもその約束は成り立っているのでしょうか？

<h2>親子の約束は、その決め方がポイントです</h2>お子さんが決めた約束を守らない…同じように困っていらっしゃる親御さん、多いと思います。 きっと毎日、「もう30分過ぎたよ？」「ドリルは終わったの？」と声をかけていることでしょう。毎日これを繰り返すのって、結構ストレスがたまりますよね。「どうすれば自発的に動くことができるか日々悩んでいる」ということですが、そもそもこの約束は、どのように決めたのでしょうか？

テレビを見る時間を1日30分と決めたのはパパです。
宿題をする時間は、私が決めました。

そうなんですね。おうちのルールで、テレビを見る時間は1日30分と決めるのは良いと思います。 でも、その決め方に問題があるかもしれません。「テレビは1日30分だからね」とお子さんに伝えたのだとしたら、お父さんが言うから仕方なく「分かった」と返事をしたのかもしれません。 でも、見始めたら30分では終わらなくて見続けてしまっているのでしょう。 「夕食が終わったらドリルをする」という約束も同じでしょう。親は、約束したと思っていますが、本人にとっては、自分で決めたという実感がない場合がほとんどです。 「テレビは1日30分」という約束を守って欲しいなら、その理由を含めてお子さんが納得する必要があります。一方的に命令するのではなく、ていねいに話をする。 お子さんが納得しないなら、お子さんの言い分も聞きながら調整をする。そんな柔軟性を持ちませんか？

<h2>約束は親子でしっかり話し合って一緒に決めましょう</h2>

でも、子どもに決めさせたら、自分のやりたいことばかりを優先して、嫌なことはやらないと思います。しつけは必要だと思いますが…

小学生の子どもに、すべてを自分で決めさせるのはまだ早いと思われているのかもしれませんね。 でも、望んでいらっしゃるのは、お子さんが自発的に動くことができるようになることですよね。 そうであれば、親がすべてを決めていたら、いつまでも自発的に動くようにはなりません。一方的に約束させるのではなく、お子さんと一緒にどうしたらいいか考えませんか？約束を守れないのには、お子さんにはお子さんの言い分があるはずです。見たいテレビ番組は何なのか、それは何時からどのくらいあるのか具体的に聞き取りましょう。親は、テレビは1日30分と決めたい理由をきちんと説明します。 テレビの見過ぎが心配ならその理由を、寝る時間が遅くなるのが心配なら、寝るのが遅くなるのがなぜ良くないのか、お子さんが分かるように話しましょう。 親としての譲れない線があるなら、そこはちゃんと示せば良いのです。お子さんも、自分の気持ちを聞いてもえたら、満足して親の言うことにも耳を傾けるのではないでしょうか。

それでもお子さんが納得しないなら、交渉のチャンスを与えます。 見たいテレビ番組が1時間だとして、録画して細切れで見るという方法が取れるかもしれません。その日は1時間見るけれど、他の日は見ないという方法も考えられます。 まわりくどいと思うかもしれませんが、私はこうしたやりとりが、お子さんの自分で考える力を育てると思っています。宿題やドリルをやる時間についても同じです。 やりたくないけれど、やらなくてはいけないことならなおさら、それをなぜやる必要があるのか、それをやるとどんな良いことがあるのかを、お子さんに伝える必要がありますね。 そして、それをいつやるのか、お子さん自身に考えさせて、決めてもらうのです。<h2> 自己決定こそが究極のやる気の源です</h2>このコーナーでも何回かお伝えしていますが、究極のやる気の源は自己決定です。 自分で決めたことはやる可能性が高いです。そして、それでもできなかったときには、「自分で決めたでしょ！どうして約束を守らないの！」と責めないこと。責められて、やる気になる人はいません。 「約束したけれど、できなかったね。どうしたらいいと思う？」と問いかけてください。もうひとつ気をつけて欲しいのが、その内容がお子さんの能力に合っているかどうかです。 人が最もやる気が出るのは、ちょっと頑張ればできそうなことに取り組むときです。 簡単過ぎても、難し過ぎてもやる気は出ません。苦手意識のあるものならなおさら、子どもがそれならできるかなと思えるような、スモールステップの目標を設定するのがコツです。先回りして親が何でも決めてしまったら、自発的に動くことはありません。 辛抱強く、子ども自身で決めていけるように、促していきませんか？

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