教えてヨーコ先生

ヨーコ先生こと中曽根 陽子（なかそね・ようこ） 数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストであり、幸せな子育てを探究するマザークエスト代表。東洋経済education ✕ ICT、プレジデントオンライン、中学受験ナビなど多くのウェブメディアで執筆。『成功する子は「やりたいこと」を見つけている　子どもの探究力の育て方』（青春出版社）他著書多数。

イラスト：さぶぼーぼ（Instagram／<a href="https://www.instagram.com/sabubobo.i/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">@sabubobo.i</a>）

失敗から学べるようにするには、親としてどんな声かけをしたり、働きかけをすればいいのでしょうか。苦手なことから逃げ出さない人間になってほしいです。

失敗から学べるようにする、これって大事ですよね。
「失敗は成功の母」といいますものね。

私も、変化の大きい時代に必要な力として、"失敗力"が大事だと思っています。

<h2>困難に出会ってもへこたれない力、それが失敗力</h2>失敗力は、経験したことのないような困難に出会っても、そこでくじけずに前に進む力。 つまり、へこたれない力ですね。実は、困ったことが起きたとき、「あーもうダメだ！」と思うか、「なんとかなる」と思うか。これには、マインドセットが関係しているという研究があります。マインドセットとは、簡単にいうと「無意識の思考のクセ・思い込み」です。近年、知識・スキルよりも、マインドセットがポジティブであるか否かが、仕事の成果を出す上で重要だともいわれています。マインドセットの提唱者の一人、スタンフォード大学キャロル・S・ドゥエック教授によると、マインドセットは「成長型（グロースマインドセット）」と「固定型（フィックストマインドセット）」の2種類に大別されます。

<h2>しなやかマインドセットとこちこちマインドセット</h2>ここでは、成長型を「しなやかマインドセット」、固定型を「こちこちマインドセット」と呼ぶことにします。「しなやかマインドセット」は「自分の能力は努力次第で成長させることができる」という考え方であり、「こちこちマインドセット」は「能力はもともと決められており変わらない」という考え方です。どちらのマインドセットを持つかで、失敗に対する捉え方も変わります。「こちこちマインドセット」の人にとって、失敗は能力が足りない証明なので、失敗する可能性のある挑戦は避ける傾向があります。 ちょっとうまくいかないことがあると、すぐにもうダメだと諦めがちなお子さんは、「こちこちマインドセット」になっているのかもしれません。一方、「しなやかマインドセット」の人にとっては、失敗は成長へのプロセスだと思えるので、挑戦することが楽しいし、少々の失敗でも落ち込みにくく立ち直りも早い傾向があります。ドゥエック教授は、30年にわたる調査の結果、大きな功績を上げている人に共通しているのが、しなやかマインドセットを持っていることだと結論づけました。 つまり、しなやかマインドセットを持っている人は、失敗してもやり抜いたから、ある域まで達成することができたということなのです。

では、失敗してもまたやってみよう！という力を育てるにはどうしたらいいのでしょうか？　 実はその芽は誰もが持っているものです。思い起こせば、皆さんのお子さんも、赤ちゃんのころ、なんでも自分でやりたがるときがありませんでしたか？人は本来、「できるようになりたい！」という気持ちを持っています。 でも、ちょっと危ないことや、失敗をしたときに「危ないことはしないで」とか「ほら、だから言ったでしょう」などと、マイナスの言葉がけをされたり、挑戦することを妨げられたりした結果、失敗は悪いことだという刷り込みが起きて、こちこちマインドセットが育まれてしまうのです。実際、どちらのマインドセットを持つようになるかは、小さいころからの親の関わり方や声かけの影響が大きいといわれています。

<h2>マインドセット育て直し3つの方法</h2>

危ないことをしたときに、ついダメ出しをしていました。

安心してください。マインドセットはいつからでも育て直せます。 その方法は、3つあります。1 -「能力は努力すれば伸びるよ」と伝えるシンプルに、能力は生まれつきの才能ではなく、努力で伸びると教えましょう。2 - 結果ではなく、行動やプロセスに注目するたとえば、テストでいい点数を取れていたら、ほめますよね。でもそのほめかたが、逆にこちこちマインドセットを育ててしまっているかもしれません。ほめるときには、結果ではなく、努力していたプロセスに注目して伝えましょう。3 - 親が失敗を悪いこととしない親が失敗を悪いことだと思っていると、子どももそう思うようになります。 親だって失敗することがあります。そのときに、それを隠さず、「ママも失敗しちゃった」と言えるかどうかです。

「失敗するということは、何かに挑戦した証。うまくいかなかったら、またやってみればいい」家庭の中で、そんな空気をつくれたらいいですね。

「失敗上等！」を家族の合言葉にしませんか？

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