教えてヨーコ先生

ヨーコ先生こと中曽根 陽子（なかそね・ようこ） 数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストであり、幸せな子育てを探究するマザークエスト代表。東洋経済education ✕ ICT、プレジデントオンライン、中学受験ナビなど多くのウェブメディアで執筆。『成功する子は「やりたいこと」を見つけている　子どもの探究力の育て方』（青春出版社）他著書多数。

イラスト：さぶぼーぼ（Instagram／<a href="https://www.instagram.com/sabubobo.i/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">@sabubobo.i</a>）

我が家では「ほめる子育て」を実践していますが、ほめすぎると自信過剰になってよくない、と耳にすることがあって、大丈夫なのか心配になってきました。

「子どもはほめて育てた方がいい」
「ほめると自信過剰になってしまう」
検索すると、いろいろな説が出てきて、どうすればいいのか分からなくなってしまいますね。

<h2>ほめ方がポイント</h2>確かに、ガミガミ怒られたりけなされたりするより、ほめてもらった方が、気持ちがいいですし、自信もつきそうです。 でも、ほめられてばかりいたら、ご心配のように自信過剰になったり、逆にほめられないと不安になったり、弊害もありそうです。「ほめること」が子どもの力になることは事実ですが、「ほめ方」次第では逆効果になることは、案外知られていません。 &nbsp;<h2>ほめることで自信を失わせることも</h2>

皆さんは、たとえばお子さんが100点のテストを取ってきたら、なんと声をかけますか？「100点取れるなんてすごいね！」 「頭いいね」と言うかもしれません。 しかし、そのほめ方は、逆に子どもの自信を失わせる結果になりかねないのです。そのヒントとなる研究を紹介しましょう。 アメリカの小学5年生500人を対象にした実験です。まず全員に簡単なパズルをしてもらいました。簡単なパズルなので、当然みんなできます。そして次の3つのグループに分けました。Aグループ　「頭がいいね」と能力をほめる Bグループ &nbsp; &nbsp; &nbsp;何も言わない Cグループ &nbsp; 「頑張ったね」と努力をほめるその後もう一度「難しいけどやりがいのある問題」と「1回目と同じくらい簡単な問題」のどちらかを選んでもらうと、 「難しいけどやりがいのある問題」にチャレンジした子どもの割合はA・B・Cグループの順に35%・55％・90％でした。能力をほめられた子どもたちは、次に失敗したら能力がないと思われてしまうと無意識に考え、挑戦をしなかったのです。つまり、「頭がいい」と言われた子どもは、失敗する可能性がある難しい問題を解くよりも、全問正解が狙えるような簡単な問題を受けたくなってしまうのです。 一方、「頑張って問題を解いたね」とプロセスをほめられた子どもは、努力すればほめられると思い、チャレンジングな問題を解こうと努力をしたのです。「頭いいね」「すごいね」と能力をほめられたために、次に結果が出せなかったから能力がないことの証明になってしまう、という不安が生まれ、行動を制限してしまい、難しい問題に挑戦しなかったのです。<h2> ほめられることが目的にならないように</h2>

&nbsp;もちろん「頭いいね」とほめた結果、次も頑張って結果を出す場合もあるでしょう。 しかし、それが行き過ぎると、今度は自信過剰になってしまいます。「自分は特別だ」と思っている子どもは、批判されると攻撃的になりやすかったり、自分にとって耳の痛い言葉はなかなか受け入れず、周りを非難したりしがちです。 ほめるという行為にほかの人との比較が入っている場合も要注意です。ほめてほしくて頑張っていると、「ほめてもらうために、結果を出さないといけない」というプレッシャーにも繋がりかねません。 また行きすぎると、結果を出さないと認めてもらえない不安を抱えることにもなりかねません。<h2> 声かけのヒントは？</h2>紹介した実験にヒントがあります。「頑張ったね」と言われたグループの子どもの多くが、次はもっと難しい問題にチャレンジしましたね。 これは、パズルができたと言う結果ではなく、そのプロセスに目を向けた声掛けです。 これをプロセスフォーカスと言います。 たとえ結果が出ていなくても、お子さんが頑張っているところを見て、その努力に対して声をかけてあげてください。 そうすると、お子さんはちゃんと見てくれていると思って安心します。 子どもからすれば、ほかならぬ大好きな親からの言葉です。影響は絶大ですよ。そのためには、お子さんのありのままの姿をよく観察しましょう。

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