教えてヨーコ先生

ヨーコ先生こと中曽根 陽子（なかそね・ようこ） 数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストであり、幸せな子育てを探究するマザークエスト代表。東洋経済education ✕ ICT、プレジデントオンライン、中学受験ナビなど多くのウェブメディアで執筆。『成功する子は「やりたいこと」を見つけている　子どもの探究力の育て方』（青春出版社）他著書多数。

イラスト：さぶぼーぼ（Instagram／<a href="https://www.instagram.com/sabubobo.i/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">@sabubobo.i</a>）

時代の変化とともに、教育も変わってきています。大学進学はまだ先の話とはいえ、お子さんの進路を考える上で、現状がどうなっているのかを知っておくのは大事ですね。 そこで、今回は、大学入試にスポットを当てて、いまの状況を解説します。大学に行くかどうかは別として、お子さんの進路を考える上での参考にしてください。<h2> 大学入試の現状　</h2>まず、大学入試制度から見ていきましょう。現在日本の大学入試の方式は、大きく分けて、「一般選抜」「学校推薦型選抜（公募制・指定校制）」「総合型選抜」の3種類があります。 &nbsp;<div style="margin-left:0pt;" dir="ltr" align="left"><div style="margin-left:0pt;" dir="ltr" align="left"><figure class="table" style="width:100%;"><table class="ck-table-resized" style="border-collapse:collapse;"><colgroup><col style="width:14.82%;" width="143"><col style="width:25.13%;" width="148"><col style="width:20.05%;" width="131"><col style="width:17.62%;" width="100"><col style="width:22.38%;" width="157"></colgroup><tbody><tr style="height:19.5pt;"><td style="background-color:#f9edd2;border:0.5pt solid #000000;overflow-wrap:break-word;overflow:hidden;padding:0pt 4.95pt;vertical-align:middle;">名称</td><td style="background-color:#f9edd2;border:0.5pt solid #000000;overflow-wrap:break-word;overflow:hidden;padding:0pt 4.95pt;vertical-align:middle;">一般選抜</td><td style="background-color:#f9edd2;border:0.5pt solid #000000;overflow-wrap:break-word;overflow:hidden;padding:0pt 4.95pt;vertical-align:middle;">総合型選抜</td><td style="background-color:#f9edd2;border:0.5pt solid #000000;overflow-wrap:break-word;overflow:hidden;padding:0pt 4.95pt;vertical-align:middle;" colspan="2">学校推薦選抜</td></tr><tr style="height:20pt;"><td style="background-color:#f2f2f2;border:0.5pt solid #000000;overflow-wrap:break-word;overflow:hidden;padding:0pt 4.95pt;vertical-align:middle;">学校長の推薦</td><td style="border:0.5pt solid #000000;overflow-wrap:break-word;overflow:hidden;padding:0pt 4.95pt;vertical-align:middle;" colspan="2">不要</td><td style="border:0.5pt solid #000000;overflow-wrap:break-word;overflow:hidden;padding:0pt 4.95pt;vertical-align:middle;" colspan="2">必要</td></tr><tr style="height:43pt;"><td style="background-color:#f2f2f2;border:0.5pt solid #000000;overflow-wrap:break-word;overflow:hidden;padding:0pt 4.95pt;vertical-align:middle;">出願要件</td><td style="border:0.5pt solid #000000;overflow-wrap:break-word;overflow:hidden;padding:0pt 4.95pt;vertical-align:middle;" colspan="3">出願要件を満たせばどの学校の生徒でも出願できる</td><td style="border:0.5pt solid #000000;overflow-wrap:break-word;overflow:hidden;padding:0pt 4.95pt;vertical-align:middle;">特定の学校の生徒しか出願できない</td></tr><tr style="height:43pt;"><td style="background-color:#f2f2f2;border:0.5pt solid #000000;overflow-wrap:break-word;overflow:hidden;padding:0pt 4.95pt;vertical-align:middle;">備考</td><td style="border:0.5pt solid #000000;overflow-wrap:break-word;overflow:hidden;padding:0pt 4.95pt;vertical-align:middle;">大学入学共通テストの利用も含む</td><td style="border:0.5pt solid #000000;overflow-wrap:break-word;overflow:hidden;padding:0pt 4.95pt;vertical-align:middle;">（旧AO入試）</td><td style="border:0.5pt solid #000000;overflow-wrap:break-word;overflow:hidden;padding:0pt 4.95pt;vertical-align:middle;">公募制推薦</td><td style="border:0.5pt solid #000000;overflow-wrap:break-word;overflow:hidden;padding:0pt 4.95pt;vertical-align:middle;">指定校推薦</td></tr><tr style="height:20pt;"><td style="background-color:#f2f2f2;border:0.5pt solid #000000;overflow-wrap:break-word;overflow:hidden;padding:0pt 4.95pt;vertical-align:middle;">重視していること</td><td style="border:0.5pt solid #000000;overflow-wrap:break-word;overflow:hidden;padding:0pt 4.95pt;vertical-align:middle;">学力</td><td style="border:0.5pt solid #000000;overflow-wrap:break-word;overflow:hidden;padding:0pt 4.95pt;vertical-align:middle;">これから</td><td style="border:0.5pt solid #000000;overflow-wrap:break-word;overflow:hidden;padding:0pt 4.95pt;vertical-align:middle;" colspan="2">これまで</td></tr><tr style="height:20pt;"><td style="background-color:#f2f2f2;border:0.5pt solid #000000;overflow-wrap:break-word;overflow:hidden;padding:0pt 4.95pt;vertical-align:middle;">時期</td><td style="border:0.5pt solid #000000;overflow-wrap:break-word;overflow:hidden;padding:0pt 4.95pt;vertical-align:middle;">&nbsp;</td><td style="border:0.5pt solid #000000;overflow-wrap:break-word;overflow:hidden;padding:0pt 4.95pt;vertical-align:middle;" colspan="3">年内入試</td></tr></tbody></table></figure></div>&nbsp;「一般選抜」には、大学入試センターが実施する「大学入学共通テスト」（通称、共通テスト）と各大学が独自に実施する「個別試験」があります。大学入学共通テストは、親御さんの世代のセンター入試とほぼ同じです。 国語、地理歴史、公民、数学、理科、外国語の6教科・30科目の中から自分が受験する大学で指定されている科目を選択することになっています。内容は、高校での基礎的な学習の到達度を測る試験で、国公立大学の一般選抜では、この共通テストと各大学が実施する個別試験（2次試験）の両方を受験する必要があるのは、昔と同じです。私立大学でも共通テストの成績で合否を決める、大学入学共通テスト利用入試を導入している大学が多くありますし、国公立大学の学校推薦型選抜や総合型選抜では共通テストを課すケースも少なくないので、受験生の多くが共通テストを受験します。<h2> 総合型選抜を導入する大学が半数以上に</h2>ただ、最近の傾向として増えているのが、年内入試と呼ばれる、総合型選抜と学校推薦選抜です。 文科省の報告によると、2022年度の全大学の一般入試の割合は49%。私立大学に限れば、41.1%。すでに半数以上の生徒が、年内入試で大学に入学しています。「学校推薦型選抜」には公募制と指定校制がありますが、「指定校制」は学校ごとに推薦枠があり、その大学に合格したら必ず入学しなくてはいけない単願です。 それに対し「公募制」は、出願できる高校に制限がなく、大学が定める出願条件を満たし、高校の学校長の推薦があれば、複数の学校に受験できます。大学側が学校推薦枠を増やしているのは、一定の学力のある生徒を確実に確保できるというメリットがあるからです。</div>

さらに最近増えているのが、「総合型選抜（旧・AO入試）」です。 大学が求める学生像（アドミッション・ポリシー）に合った人物を、面接などを通して選抜する方式で、学力面だけでなく、高校での活動、受験生の個性や適性、意欲など総合的に人物評価を行うのが特徴です。「専願を必須としない総合型選抜」を実施する私立大学は、首都圏だけでも100大学（専門職大学も含む）を超え、増加傾向にあります。2025年からは、新学習指導要領で学んだ生徒が対象となるので、探究的な学びへの姿勢や成果を評価する入試方式を取り入れる大学が増えていくと言われています。また「育成型」と呼ばれる新方式を導入する大学も出てきています。 これは、出願前に実際の大学での授業を受講してレポートの提出やプレゼンテーションなどをさせたり、大学職員や在学生と一緒にレポートや受講内容の振り返りをしたり、学ぶ意欲や学びたいことを面談で確認して、参加した高校生に出願するかどうかを検討してもらう方式です。 &nbsp;<h2>年内入試が増えている事情</h2>こうした動きに合わせるように最近増えているのが、高大連携です。大学の先生が高校で出前授業をしたり、大学の授業やゼミに高校生が参加するなど、在学中から交流を測る動きも活発になっています。 高校にしてみれば、アカデミックな学問に触れることで、生徒の学習意欲を高め、進路選択に活かすメリットがありますし、大学にしてみれば、入学後のミスマッチや中退を防ぐ狙いもあります。また、少子化にもかかわらず大学数が増え、定員割れの私立大学の割合が53.3％にものぼっていることから、特定の私立高校と系属校の協定を結び、その大学に進学できる枠を確保する動きも活発になっています。順天堂大学がはじめて、東京の私立高校宝仙理数インターと医学部進学も含めた系属校契約をしたことが話題になりましたが、今後連携をさらに増やすと言われています。難関の医療系の学部でもこのような動きがあるのです。今後は大学入試でも、偏差値的な学力より「物事に主体的に取り組む意欲」「学んだことを人生や社会に活かそうとする姿勢」が重要視されるようになるでしょう。

<h2>大学入試の変化も見据えた上で、進路選択をする必要があります</h2>このように「年内入試」に注力する大学、「一般選抜」に注力する大学、「系列校化」に注力する大学に分かれている現状があります。 このような状況に対応して、高校も、「一般選抜」メイン、「年内入試」メイン、「系列校進学」メインの学校に分かれていくのではないでしょうか。一般選抜がメインの高校は、入試に向けた教科学習に力を入れるでしょうし、年内入試がメインの高校は、課外活動や探究的な学びに力を入れ、それを大学入試に生かそうとするかもしれません。 つまり、どの入試がメインかによって、学校教育の中身が変わる可能性があるのです。中学受験にせよ高校受験にせよ、今後は、このような動きを踏まえた上で、お子さんに合う進路を考えていく必要もあるでしょう。ただ、どちらにしても、自分は何が好きで得意でやりたいのかを探究していくことが、お子さんの将来を開く道につながる時代になったことは明らかです。

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