教えてヨーコ先生

ヨーコ先生こと中曽根 陽子（なかそね・ようこ） 数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストであり、幸せな子育てを探究するマザークエスト代表。東洋経済education ✕ ICT、プレジデントオンライン、中学受験ナビなど多くのウェブメディアで執筆。『成功する子は「やりたいこと」を見つけている　子どもの探究力の育て方』（青春出版社）他著書多数。

イラスト：さぶぼーぼ（Instagram／<a href="https://www.instagram.com/sabubobo.i/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">@sabubobo.i</a>）

中学受験では、小学校の教科書レベルをはるかに上回る入試問題が出題されるので、やるなら、それなりの準備をする必要があります。通信教育などを活用して家庭で対策をするという方もいなくはないですが、中学受験をしようと決めたら、ほとんどの方は塾に行くことになります。それは、今の中学受験の内容が家庭だけでやり切るには難しくなりすぎているからです。<h2> 早くから始めればいいというわけではありません</h2>一般的に、中学受験のカリキュラムは3年間で完了するようにつくられているので、4年生から塾に通う人が多いのですが、塾の1年は2月から始まるので、3年生の2月から塾に通い始めるパターンがスタンダードと言えるでしょう。 ただ、最近は通塾も低年齢化していて、地域によっては、上の学年になったときに入塾できない可能性を見込んで、低学年のうちから塾に通わせる家庭もあります。でも、私は焦らなくていいと思います。というのも、早くから通うとマンネリ化して、高学年になってから、塾疲れという状態になってしまいかねないからです。実際、早くから塾に行かせていたあるお子さんは、学年が上がるにつれて、途中から入ってくる生徒に成績で抜かれて自信をなくし、結局受験もうまくいきませんでした。 低学年のうちは人数も少ないので、上位にランクインしやすいですが、母数が増えれば当然相対的評価は厳しくなります。それを当然のこととして受け止められるといいのですが、親のほうが、「こんなに長く塾に行っているのに成績が落ちた」と焦ることが多く、これが余計に悪循環を招いているのです。 自分の子どもより下位だった子が、めきめき成績を伸ばしてくると、このまま何もしなかったら手遅れになるのでは……と焦る気持ちは痛いほどわかります。でも、ここは少し冷静になりましょう。 &nbsp;<h2>低学年のうちに大事なことは「しっかりとした土台」をつくること</h2>

学習習慣がついていれば高学年になって苦労しませんし、勉強という面では、学校の勉強がわかるようにしておくので低学年のうちは十分。特に大事なのは「勉強嫌いにさせない」ことです。 本来、知らないことを知るって、楽しいことのはず。 でも、いつの間にか勉強が「楽しくないもの」「やりたくないもの」になってしまうのはなぜでしょうか。一旦、勉強を嫌いになったり、苦手意識がついてしまうと、そこからリカバリーするのは簡単ではありません。 なので、塾に入ってからも、お子さんの状態に合わせて、課題の優先順位をつけ、やらなくていいことを決める、時間をかける教科を決めるなど、家庭で勉強量の進度を調整してあげたらいいと思います。<h2> 中学受験は塾選びから</h2>また、ひと口に塾と言っても、その内容や考え方はさまざま。中学受験は塾選びから始まると言ってもいいくらい、子どもに合った塾を選ぶことは、学校選びと同じく親の大事な仕事です。なぜなら、どんな塾に入るかで、それからの生活がかなり変わるからです。たとえば、家庭学習に関する考え方も、塾によってまったく異なります。 塾で完結するため、家庭学習の課題がそれほどないかわりに、塾にいる時間が長くなる塾もあれば、逆に家庭学習の割合が多い塾もあります。 家庭学習の量や通塾回数、時間によって、子どもの家での過ごし方はかなり変わります。 ご家庭のライフスタイルやお子さんのタイプと塾のシステムや考え方が合っているかを見極めて選ぶ必要があります。

<h2>そこで大切なのが、受験軸です</h2>受験軸とは「なんのために受験をするか」「どう受験をするか」その家庭内での基準のこと。 軸を決めずに、中学受験に取り組むと「受験沼」にハマってしまいますし、受験がつらく苦しいものになりがちです。 受験沼にハマらず、終わったあとで後悔もしない。「やってよかった！」と心から思えるようになるには、「家族で一貫した受験軸を持つこと」が欠かせません。 詳しい内容は、新著『中学受験　親子で勝ち取る最高の合格』（青春出版社）に書きましたので、ぜひお読みいただけたらと思うのですが、何のために中学受験をさせたいと思っているのかをこの機会に、考えてみてください。受験の専門家の方によると、「難関校以上を目指すのであれば塾は必要で、基本的には塾が作っているカリキュラムに乗っていくのが無難」ということですが、4年生から始めないと絶対に間に合わない、というわけではありません。「受験したい！」と本人に火がつけば、1年でも受験を突破していくことはできます。いつから始めるにしても、学校で勉強する内容はわかるようにしておくこと。勉強嫌いにさせないこと。そのためには、学ぶことの楽しさを味わえるような体験ができるといいですね。※この記事は、『中学受験　親子で勝ち取る最高の合格』（青春出版社）の内容を元に再構成したものです。

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