教えてヨーコ先生

ヨーコ先生こと中曽根 陽子（なかそね・ようこ） 数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストであり、幸せな子育てを探究するマザークエスト代表。東洋経済education ✕ ICT、プレジデントオンライン、中学受験ナビなど多くのウェブメディアで執筆。『成功する子は「やりたいこと」を見つけている　子どもの探究力の育て方』（青春出版社）他著書多数。

イラスト：さぶぼーぼ（Instagram／<a href="https://www.instagram.com/sabubobo.i/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">@sabubobo.i</a>）

うちの子どもがわがまますぎて、困っています。このままだとお友だちに嫌われるんじゃないかと心配です。

決めつけて心配し過ぎないで。 
お子さんの行動を観察しながら根気強く対応しましょう。

お子さんがわがまますぎて、友だちに嫌われないか心配ということですが、具体的にはどんな行動をするのでしょう。 改めて「わがまま」とはどういう意味なのか調べてみると、<ul><li>他人や周囲などの都合や事情を考えずに、自分勝手に振舞ったり発言したりすること</li><li>自分の都合を中心に物事を考え、行動するさま。他人の都合を顧みないさま<a href="https://www.weblio.jp/content/%E6%88%91%E5%84%98" target="_blank" rel="noopener noreferrer">＊引用：Weblio辞書「わがままの意味・解説」</a></li></ul>とあります。 「自己中心的で他者への配慮が足りない」というネガティブな意味で使われることが多い言葉ですので、きっとお子さんの自己中心的な振る舞いや発言が気になっているのでしょうね。

そうです。 
お友だちと遊んでいても、自分のやりたいことを主張して喧嘩になることが多いので、このままでは誰も遊んでくれなくなるのではないかと心配です。

そうなんですね。それは確かに気になりますよね。 ただ、多かれ少なかれ、子どもというのは自己主張をし合うものです。特に、10歳未満のお子さんにとって、周りの状況を見て振る舞うことは簡単ではありません。 なぜなら、全体を見て行動することや感情のコントロールを司る脳の前頭前野は、10歳ごろから発達しはじめるからです。ほかの人の立場も考えながら、取るべき行動を自分で決められるようになるには、それなりに時間がかかります。&nbsp; とはいえ、人との円滑なコミュニケーションは、放置していても身につくものではないですよね。ですから、周りの大人が根気強く教えていかなくてはならないでしょう。&nbsp;

<h2>自立を促す会話のルールを知っていますか？</h2>大事なのは、そのときの言い方です。 頭ごなしに「そんなわがままを言っていると、お友だちが遊んでくれなくなるよ」と決めつけたり「そんな言い方はやめなさい」と命令しても、その場限りになりがちです。 自立を促す会話のしかたにはルールがあります。 日本を代表する教育学者の汐見稔幸先生は、「聞く」「共感する」「考えさせる」「励ます」というプロセスを取ろうと提案されています。&nbsp;

でも、子どもの話は言い訳に聞こえて、そこに同意はできないです。

そうかもしれませんね。 しかし「共感」というのは、同意・同感・同情とは違います。 「あなたはそう思ったのね」と相手の気持ちをそのまま受け止めることです。親から見た子どもの困った行動も、子どもなりの理由があるかもしれませんよね。 そこを無視して、わがままと決めつけられたら、子どもはどう思うでしょうか。 もちろん、わざと人の気持ちを傷付けるなど、してはいけないことに関してははっきりと親の考えを伝える必要がありますが、相手の気持ちや取るべき行動については、本人に考えさせましょう。 &nbsp;<h2>子どもの話をしっかり聞き、共感し、考えさせて、励ます</h2>指示や命令を減らすと、余計わがままになるのではと心配されるかもしれませんが、反対に、子どもの困った行動に対して、ただ頭ごなしに叱ったり禁止したりしても、すぐに行動が変わるわけではありません。そして、同じような場面が繰り返されるほど親もイライラしますし、言われた子どもも反発したり、反対に萎縮したり、双方にストレスが溜まる一方です。

理由はどうあれ、子どもも、自分のわがままな行動の結果、お友だちと楽しく遊べないという経験をしたら、悲しい気持ちになるはずです。 そのときに、親から頭ごなしに否定されたら、反発したり、自分を守るために言い訳を考えたりするかもしれません。反対に、話をしっかり聞き、共感してもらえたら、安心して次はどうすればいいか考えることにつながります。 最初は、なかなか親が期待するような改善は見られないかもしれませんが、親から信頼されていると感じれば、その信頼に応えようとするはずです。 ですから、まずは子どもの話をしっかり聞き、共感し、その上で子ども自身に考えさせ、励ましてみませんか。 その繰り返しで、だんだんどうすればいいかを考えていくはずです。 脳が発達してきたら、感情のコントロールもできるようになってくるでしょう。ところで、わがままの語源「我儘」は我がまま（儘）。つまり、私の思うがままという意味です。 わがままと主体的に考えて行動することは紙一重ですね。焦らず、決めつけず、「聞く」「共感する」「考えさせる」「励ます」というプロセスを繰り返しながら、お子さんの成長を見守っていきませんか。&nbsp;

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