教えてヨーコ先生

ヨーコ先生こと中曽根 陽子（なかそね・ようこ） 数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストであり、幸せな子育てを探究するマザークエスト代表。東洋経済education ✕ ICT、プレジデントオンライン、中学受験ナビなど多くのウェブメディアで執筆。『成功する子は「やりたいこと」を見つけている　子どもの探究力の育て方』（青春出版社）他著書多数。

イラスト：さぶぼーぼ（Instagram／<a href="https://www.instagram.com/sabubobo.i/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">@sabubobo.i</a>）

小学校1年生の習い事の適正量ですね。
お子さんによっても違うとは思いますが、学校という新しい世界に飛び込んだばかりの1学期は特に、学校に行くだけでも疲れてしまってはいませんか。

<h2>小学1年生は毎日が緊張の連続</h2>学校生活の決まりを覚え、大勢のお友だちと一緒に長い時間座って授業を受ける。それだけでも毎日が緊張の連続だと思います。 元気そうに見えても、大人の想像以上にストレスは受けていると思ったほうがいいでしょう。大人と同じで、新しい生活に慣れてきたころに体調を崩しやすくなったりします。もちろん、これまで続けてきた習い事もあるでしょうから、それは続けるとして、1学期は自由時間を多めに持ったほうがいいのではないでしょうか。 少なくとも、新しい習い事を始める時期は、学校生活に慣れてきた6月以降がいいですね。余談ですが、実際日本では、古くから歌舞伎、能、狂言など伝統芸能の手習いを、6歳の6月6日から始めることが「吉」とされていました。 もちろんいまは、もっと早くから習い事を始める人が多いと思いますが、子どもの脳の発達と照らし合わせると、五感を司る大脳皮質が発達し始めるのは6歳くらいからなので、一理あると思います。

<h2>負担のバランスで習いごとの適正量を判断</h2>

そうなのですね。
確かに、一度にいろんなことを始めるのは子どもにとって負担になりそうですし、急ぎすぎないほうがいいですね。
ただ、本人はいろいろなことに興味を持っているので、経験はできるだけさせたいと思っています。
習い事の適正量はどのくらいでしょうか。

習い事の適正量を判断する材料としては、<ul><li>子どもの意欲と心身の負担</li><li>親としての思いと金銭的な負担</li></ul>この2つのバランスかと思います。お子さんの負担になっているかどうか判断するには、回数だけでなく、本人が楽しんでいるのかどうか、様子をよく観察することが大切ですね。習い事には当然お金がかかりますから、どこまでお金をかけられるかはご家庭によって違うでしょう。予算をあらかじめ決めておき、その中で優先順位をつけられたらいいのではないでしょうか。ちなみに文部科学省の<a href="https://www.mext.go.jp/content/20241225-mxt_chousa01_000039333_1.pdf">令和5年度子供の学習費調査の結果</a>によると、公立小学校に通わせている保護者が支出した1年間・子ども1人当たりの学習費総額（保護者が子どもの学校教育および学校外活動のために支出した経費の総額）は、336,265円。そのうち学校外活動費が216,107円でした。その内訳を見ると、公立・私立小学校ともに、「補助学習費」（自宅学習や学習塾・家庭教師などの経費）の支出が最も多く、続いてスポーツ・レクリエーション、芸術・文化活動となっています。 <a href="https://benesse.jp/kosodate/202403/20240329-1.html">ベネッセが実施した、全国の小学生とその保護者3,096組に聞いたアンケート調査</a>によると、およそ3人に2人が有料の習い事をしていて、そのうち、2つ以上習い事をしている小学生が54.7%、1か月あたりの習い事の平均費用は16,676円でした。

また、金銭的な負担に加えて、子どもの習い事の場合、送迎が必要かどうかで親の時間的な負担も変わりますね。

幼稚園のときには、同じ場所で教室が開かれていたので送迎の負担はなかったのですが、これからは送迎も必要になります。
確かに、長く続けるには、そういう条件も考える必要がありますね。

そうですね。お子さんのやりたいという気持ちを大切にしながらも、できることとできないことは親がしっかり線引きをした上で、何を優先するのかを決めることは大切です。なお、複数の習い事をする場合には、家庭で練習が必要なものと、習い事の時間だけやればいいものを組み合わせるのもコツです。 本人がやりたいと言ったので始めたものの、家でまったく練習をしない子どもにイライラする、というのは習い事のお悩みあるあるです。ただ、最近は「コスパ」や「タイパ」という言葉が流行っていて、何かと効率を重視する風潮がありますが、子育てにおいても、子どもが自由に過ごせる時間が少なくなっていることが気になります。 ほぼ毎日何かしらの習い事をしているということも珍しくないですが、私は詰め込み過ぎるのはお勧めしません。実は、脳科学でも、子どもの発達には余白の時間はとても大切だということがわかっています。 子どもたちは自由な時間の中で遊びを創造したり、ぼーっとしている時間に空想の翼を広げたりしているかもしれません。そんな時間が子どもたちを育てていくのです。お子さんのやりたいという気持ちと、向き不向き。 親のやらせたいという気持ちと、どこまで時間とお金をかけられるのか。 それらのバランスをとりながら、ご家庭にとっての適正量を見つけていってください。

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