教えてヨーコ先生

ヨーコ先生こと中曽根 陽子（なかそね・ようこ） 数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストであり、幸せな子育てを探究するマザークエスト代表。東洋経済education ✕ ICT、プレジデントオンライン、中学受験ナビなど多くのウェブメディアで執筆。『成功する子は「やりたいこと」を見つけている　子どもの探究力の育て方』（青春出版社）他著書多数。

イラスト：さぶぼーぼ（Instagram／<a href="https://www.instagram.com/sabubobo.i/" target="_blank" rel="noopener noreferrer">@sabubobo.i</a>）

子どもが本を読みたいということは、親としてもいいことだと思っています。でも、寝る時間になっても夢中で読み続ける息子の気持ちと、睡眠時間を確保してほしい 気持ちの間で毎晩葛藤しています。
これからも、興味を持ったことをどんどん伸ばしたいと思いますが、時間の使い方が難しく悩んでいます。

お子さんの興味があることを伸ばしたいと思っていらっしゃるのは、とてもいいことですね。しかも、お子さんは本が好き。知的好奇心が旺盛なのですね。
本を読まない子が増えているといわれているなか、羨ましいと思われる方も大勢いらっしゃるかもしれません。
しかし、「時間の使い方が難しいと悩んでいる」ということは、読み出したら止められない状態なのかなと思います。

そうです。一度集中するとこちらの声も聞こえないようで、寝る時間が来てもやめさせるのが大変なんです。

そうなんですね。集中力があるのはいいことですが、時と場合によってはそれが困りごとにもなりますね。

興味があることはどんどん伸ばしたいとはいえ、日常生活にしわ寄せがいくのは考えものです。 特に成長過程の子どもにとって、生活リズムはとても大事。脳の健全な発達のためにも、睡眠をしっかり取ることは欠かせません。ですが、子どもは単に「早く寝なさい」と言われても、それを守ることは難しいと思います。子どもはまだ時間の概念を理解していく途中の段階にいるので、伝え方には 工夫が必要です。 ここは親が主導権を握って、寝る時間と起きる時間を決めてください。ただ、脳が立派に育つためには、頭ごなしに「○時には寝なさい」と決めるのではなく、睡眠がどれだけ大事かを子どもが納得できるようにきちんと話すこと、そして、寝る時間を決めたら、必ず守ることが大切です。 こうして、からだに睡眠のルーティンを覚えさせること。これがひとつ目の工夫です。

次に、時間の感覚を身につけさせる工夫です。 子どもが時計を読んだり時間を言ったりできるからといって、時間の感覚が身についているわけではありません。 特に、集中していて時計を見ていない場合は「あと〇分」と言葉で伝えても頭に入らないでしょう。そんなときには、タイマーを使って音で時間を知らせるのも有効です。 「音が鳴ったら本を読むのをやめて寝る準備をする」と約束して、できれば自分でタイマーをセットできるようにするといいですね。 集中していると声をかけても聞こえないかもしれませんが、タイマーの音なら気がつくのではないでしょうか。

また時間の感覚を身につけるには経験が必要です。 1分はどのくらいなのかを、たとえば砂時計を使って時間を可視化する、ストップウォッチを使って時間を測るなど、日ごろからゲームのように時間の感覚を身につけるようにするといいですね。子どもの興味関心を応援することはとても大事なことですが、なにごとも健康なからだと心が育ってはじめてできることです。 子育てでは、子どもの気持ちに寄り添うところと、毅然と対応するところをきちんと分けることも大切です。

最終的にお子さんが自分で時間のコントロールができるように、少しずつでもいいので取り組んでいきましょう。

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